25:先代
「お前には、最高の武器をやろう」
「ありがとう」
年の差故に、敬語を使いたくなるが、初対面の相手にそれでは、確実にナメられる。まあなめられてもいいのかもしれないが、俺なりの考えだ。
「その代わりに、儂の話を聞いてけ。お前のためにもなるはずだ」
「…………わかった」
結構悩んだが、聞くことにした。この爺さん、うそをつくの、下手くそだな。嘘をついてねえってのが、わかるから、少しでも嘘ついたら、その表情でわかる。
そして、じいさんのはなしが始まった。
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お前は、英雄王と呼ばれた“先代の勇者”のことを知っとるか?
ふむ、知らんか。じゃあ少し説明するとしよう。あいつのことを一言で言うと、性格まで英雄だった。弱きものを救い、救われぬ者の味方であった。
じゃが、アイツが魔族の勇者であるために、絶対に戦わなならん相手がおったんじゃ。
人間の勇者だ。互いに仲が悪くて、そのせいか、ひとつもわかり合おうとしなかった。
そして、二人共消えた。全力で相殺しあったらしい。空間を巻き込んで消滅しやがった。
あいつは、人間とか獣人のことを何も知らずに逝ってしまった。
じゃから、お前は気をつけろ。この世界の姿を自分の目で、絶対に見ろ、いいな




