24:過去
「は?何ですかいきなり」
なんだよこの爺さん。こっちの話を聞かずに勇者だとか変なことを言ってきた。まあ間違えてはいないが。いくら魔族とはいえ、勇者ということがばれたら面倒くさい。
というかそもそも、何で勇者と呼ぶんだ?別に勇気ある奴らばかりでは無いし、むしろ、チートだよりのしょぼい奴らばかりなのでは無いだろうか。
「人違いですよ。俺はそんなに大したやつではありません」
「人違いっちゃ人違いだがな、儂の知っとる勇者と違うが、お前もそんなとこじゃろ」
この爺さん、先代の勇者を知ってんのか。道理で、勇者だと勘違いされるわけだ。今の俺は、ただの冒険者だしな。
「そいつと、よく話してな。勇者は気配で分かるんだよ」
気配でわかるとか、なんとも呆れた爺さんだ。兵士でもやってりゃ相当優秀だったろうに。
もしかしてまだ剣を振ってるのかもしれないが。腕の切り傷や、剣だこがある。
「だったらどうしたんですか?」
「やっぱり勇者か。良かろう、付いてこい」
そう言って、店の奥に消えていく爺さん。これは付いてったほうがいいのかな?まあ、取り敢えず付いていこう。
付いてった先は、狭い部屋だった。
「お前は武器が欲しいんじゃろ?」
「ああ」
「良かろう」
そう言って椅子に座る爺さん。
「最高の武器を用意してやるから、その前に話を聞いてけや」
拒否権は……………ないですね、はい。




