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【連載中止】魔族が悪というのは偏見です。  作者: 天野 星屑
魔界    
22/35

22:会話


「へ~、じゃあ四人は別の村で生まれてるのか。なんでこの街に来たんだ?」





「この村の周りには魔物が多いらしくてな、人助けは出来るし、金は稼げるし冒険者としては文句無い環境だ」



四人はそれぞれ生まれ育った村は違えど、冒険者になってすぐの頃から一緒にいるらしい。




「そもそも、冒険者が生まれた村以外で仕事をするのは珍しくないぞ」






「えっ、そうだったのか?」






「ああ、生まれた街だと、良くも悪くも知り合いが多すぎてな」




良くも悪くも、か。要するに、知り合いが多すぎるから、仕事としてではなく、知り合いへの頼みごと、というかたちになることが多いんだろう。






「カケルはどうなのよ」





「えっ、俺?」


さっきまでアルに絡んでいたイリアが、急に質問してきたので驚いた。



 アルは机に突っ伏して寝てるな。よほど酒に弱いんだろう。南無。




シュラインはまだ目が覚めていて、イリアと同じく興味津々でこっちを見ている。



取り敢えず、俺も聞きたいことがあったし、聞いてみることにした。それが俺の目的の説明にもなる。





「みんなはさ、人間とか獣人についてどう思う?」





「どう思う、って別に敵意はないぞ。向こうの国とうちの国は仲が悪いが、獣人そのものは悪いやつじゃねえしな」






「そうよね、やっぱり仲良くはしたいけど国同士がこんなに仲悪いとね」





「どうしたよ、急に神妙な顔して?」




シュラインはそう聞いてくる。が、こいつ目が笑ってない。多分気づいてるんだろうな、俺がしたいことに。


バレてもいるようだし、仕方ないだろう。






「実はな、俺は人間にあって来たいと思っている」





「良いんじゃないか?」





「一回会ってみるといいわよ、とくに獣人は」



思いのほか止められなかった。もう少し止められるかと思ったんだが。この世界の種族間の関係は、結構複雑なようだ。〈かんこ●人〉は日本を好きで旅行にも来るが、〈かんこ●〉という国は、日本に凄まじい敵対心を抱いているのと似ている。

 どこの世界も平和とはいかないのか。






「人間は?」






「当たり外れ多いからね、人間は」




当たり外れ、ってひどい言い様だな。言いたいことは分かるが。夢を追っかけてる奴と、殺人を平気で出来る奴を一緒にしては、どちらにも失礼だろう。






「わかった」






その後もワイワイ騒ぎながら酒をのんだ。結局解散したのは、アルが三回目に眠った時だった。すぐに起きるくせにすぐ寝るなよ。酒に強いのか弱いのか分からない。アークいわく、けっこう強い方らしい。ちなみにイリアとシュラインは、相当強い方らしい。差が分からんな。まだそんなに酒も飲んだことないし。

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