19:逃走
「やべぇ、あの数はキツい……!」
『逃げてねぇで戦えよ!』
今何をしてるかというと、モンスターに追いかけられてます。ゲームで言うと“トレイン”ってやつだ。そろそろ次の集落も近づいてきたし、この辺で倒しとかないと行けないんだが、
「誰だよ、繁殖期のモンスターにちょっかいかけたのは……!」
『てめぇだろ!!』
「俺は悪くねぇよ!あんなとこで繁殖しようとしてるあいつらが悪いんだ!」
そう、繁殖中のモンスターの巣にはいりこんでしまったのだ。街道沿いに進んでいれば良かったのだが、通る者がいないのか、街道が分かりづらくなっていて、思いきり道から外れてしまった。
「しゃあねえ、迎え討つか!」
『とっととしろ!』
背中から戦斧をおろし、つっこむ。モンスターの数はおよそ40匹。初めに引っ掛けたモンスターから逃げる間に、雪だるまみたく増えていたのだ。
トレインはだめ。絶対に!!!
「“ファイアボルト”」
「そこ、抑えろ!」
一人でのんびり戦っていると、近くにいた冒険者が助けに来てくれたようだ。
というか俺が人の近くまでトレインしてきたのだが。
※※※※※※
「大丈夫か?」
「ああ、すまない大丈夫だ。そちらは?
「こっちも大丈夫だ」
俺の掩護をしてくれたのは、四人パーティーのようだ。盾持ちの前衛職、弓持ち、魔法職、槍持ちの中衛職といったところか。
「こんな所では話しにくい。近くの村まで付いてきてくれ」
四人の中でもどうやらリーダーらしい盾持ちの人が言うので、付いていくことにした。
「わかった。俺はカケルだ。よろしく」
「俺はアーク、そっちの杖持ってるのがアル、弓持ちがイリア、槍持ちがシュラインだ」
俺達自己紹介をしてる間に残りの三人が魔物の後始末をしてくれていた。
「では、行くぞ」
「ああ」




