14:ダンジョン
「さてと、今日はちょっと遠出をしたいんだがどうだ?」
「どうせ拒否権はないんでしょ?行きますよ」
メリアリオと出会ってから早くも一ヶ月がたとうとしていた。その間はひたすら剣や槍などの武器の訓練や魔法の勉強をしていた。一般兵士ぐらいになら勝てるようにはなった。たいちょうさんは?たまに勝てたり負けたりだ。特に大きな部隊の隊長ほど強い。近衛隊など化物の巣窟だ。俺よりもよっぽどチートだろう。
「じゃ、さっそく飛ぶぞ“転移”」
召喚の時と似た感覚がして視界が歪む。次に視界が整ったときは洞窟の正面だった。
「よし、逝ってこい」
所見のダンジョンに放り込むとか鬼かよ!?しかも今、いってこいっておかしかったよな?
「いきなりですか?」
「当たり前だ。お前の実力なら心配ない。近衛隊の連中よりは弱い」
「気軽に言わないでください。そもそも戦い方が違うでしょう?」
「それがわかってれば大丈夫だ。じゃ、しばらくしたら迎えに来る」
そう言って一人転移でどこかに消えるエルダラムさん。
…待て待て。俺は転移を使えないぞ?悪意を感じる。仕方がない頑張るとしよう。
「その前に装備の確認、とダンジョンの確認か」
装備はいつも道理の革鎧にメリアリオ。いつ壊れるかわからないので予備の剣もある。他には用意させられたサバイバル道具などだ。これだけあれば大丈夫かだろう。
次にダンジョンの確認だ。ダンジョン、その言葉で多くの人が想像するのはファンタジーに出てくるモンスターの溜まり場だろう。その認識は間違っていない。だが、ダンジョンといえばもう一つあるだろう。そう、宝箱などのレアアイテムだ。そしてそれらは大概運営側の都合によって存在するものだ。つまり運営の存在しないこの世界には存在しない。さらにレベルという概念の存在しないこの世界においてダンジョンは危険な場所であるという印象しかない。
「それだけに訓練には向いてるよな」
さっそくダンジョンに侵入する普通のダンジョンにはボスなんていないし心配ない。はずだ。
そしてしばらく進むと初めての魔物に遭遇した。
「ギャギャッ」
それは子供の背丈ほどで暗い緑の肌をした、魔物。
そうファンタジーの定番、ゴブリンだ。




