prologue1
【シーンとした廊下に私の足音だけが響く……いや、響いていた__途中までは】
【『話しかけないでって言ってんだよ!!』】
【皆が、拍手をした。】
【『私は一体、何を犯したっていうの?犯罪者は___……』】
【『もうさ、いらないんだよね。』】
【『大正解!!さすが、私の選んだ特別ってだけあるわぁ!……でもね、君は間違っているよ。』】
【『私は、お姉ちゃんだけいればいいの。たとえ会うことが許されないとしても……』】
【『 消えて 』】
【赫い朱い赤い、アカイ何かが止まらない。それは、まるで昔写真の中で見たマリア像の涙みたいで___】
【『 ようこそ、復讐部へ……歓迎するわ。』】
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ねぇ、☓☓は私と、はじめて会った時の事を覚えてる?
月がキラキラと輝く夜に☓☓は私の髪を見て、褒めてくれたわ。
”君には素質がある”って……
すごく嬉しかった。
今まで、勉強も運動も全て平均点以下だった私に、特別なところがあるって教えてくれた気がして、幸せな気分だった。
でも、私は気付いてしまったの。
☓☓が、”素質がある”と言ってくれた髪も、二人だけの不思議な関係も、秘密も……
全て、幻だったの。
月の力が魅せた、夢だったの。
夢から醒めた私は、何の変哲もない普通の少女のままだったわ。