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孟母四遷(?)


 孟子がまだ幼い頃、家が墓場の側にありました。

 そのせいでしょうか。このあたりの子供の間では葬式ごっこが流行っていました。


「次、おまえがキョンシーね。ハイ御札おふだ

「キョキョキョ、キョ~ンシ~!」

 それを見た孟子の母は、ここは子供を育てるのにふさわしくないと感じ、引っ越しました。



 引っ越した先は市場の近くでした。

 ここでは子供達は商人ごっこをして遊んでいました。


「やあ親方、良い魚が入ったよ」

「おおそうかい。で、幾らだい?」

すうの刀貨3枚です」

「そりゃ高いねえ2枚にしな!」

 すると商人を見下していた孟子のお母さんは、ここもふさわしくないと、また引っ越しました。



 次に親子が引っ越してきたのは学門所の側でした。

「ここなら我が子も生徒達が学ぶ祭礼や作法の所作を真似た遊びをすることでしょう」


 ところが生徒達の間で流行っていたのは、仲間の一人をいじめて虫の死骸を食べさせたり、縛り上げて口を塞ぐ強盗ごっこなど、およそ学問所としてはふさわしくないものでした。

 さすがに見かねた孟子のお母さんが、学長さんにそれを話すと、「あれはただのケンカですよ」と取り合ってもくれません。


「こんなところに我が子を住まわせるわけにはいかない」

 孟子のお母さんは、ついに三度目の決断をしました。



 つぎに引っ越したところは、仙人が住む桃源郷でした。

 一年中桃が実り、釣りをすれば食べきれない程の魚が釣れるといった所で、

 人々はろくに働かなくてもいつもお腹いっぱい食べられたので、誰もが親切でした。


 後に孟子は「人は誰でも他人の不幸を見過ごせない良い心を持っている」といった性善説をとなえましたが、もしもひどい学問所の側に住んでいたら、とてもそんな甘い考えには至らなかったことでしょう。


 なお孟子は「本を読んで、それを真に受けるなら読まない方がいい」とも言っています。


 だから、こんな話は信じないで下さいね。


    ( おしまい )



  ※・・・この話はもちろんフィクションです。


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