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おめめを拝借 小話の公園

俺でいいの?俺がいいの?

作者: 松本遊心
掲載日:2026/03/28

—7

 出社してすぐにその視線には気づいた。

 俺も正直なんとなく彼女のことは気になってた。

 同期の彼女も入社から一年経ち、後輩もでき、仕事にも慣れ、周りの人物に視線を送る余裕も出てきたってことか。

 隣のデスクの後輩との日々の会話で、俺にいま彼女がいないことは耳にしてるだろう。

 それにしても今日は見てくるな。完全に俺をチラ見してるな。

 昼休憩も終わってしまった。アクションは何もない。タイミングを計ってるのか、はたまた、俺から来てほしいと暗に匂わせているのか。

 わかってる。そのちらちら上目目線が物語っているものを。

 わかってる。もう少し時間をくれ。退社までにはなんとかするから。

 だめだ。朝から仕事をとちりまくって話にならない。手につかない。トイレが近い。

 そっちから来てくれたらOKするから。頼むよ。

 ちらちらと、今日はアプローチが激しいってば。誰か他の女が俺のこと狙ってんのか?先を越される心配?

 今日、はっきりさせたいわけだね。わかるよわかる。だけど俺にも心の準備ってもんがあんだよ。

 おいおい、得意先を間違えて電話しちゃったよ。会社名と担当者に取り次いでもらったけど、今日は何も用はないのよ。

 彼女が斜め前のデスクからチラ見してるから、ダサいところは見せられない。どうする?どうしたらいい?

 あーあ。わけわからず、例の件でこれから伺います。とかいっちゃったよ。

 は?なんのことですか。とかいわれちったよー。そりゃそうだよ。

 だけど平静を装ってひとまず会社を出るしかない。

 隣の後輩に五時までには戻るから、っていったら、は?って顔してるし。お前は殊勝に、いってらっしゃい、とかいっとけばいいんだよ。彼女が見てんだよ。

 よし、ともかく五時まで心の猶予ができた。

 しかし、今日の俺はデスクにいるだけで仕事は何一つしていない。それどころか逆にいらない仕事を増やしてる。上司に何もいわずに会社を出てきたことに今さら気づいたがもう手遅れだ。彼女が席を外してるのを見計らって土下座して謝ろう。

 心配するな。明日からの俺は心は晴れ、もうギャグ漫画みたいにテキパキ仕事をこなしてるはずだ。

 さて、用無しの得意先には間違い電話のテルを入れよう。ん?待てよ、電話はめんどいからメールでいっか。そうしよう。

 さて、時間潰しはどうするかなー。デート用の服でも買いに行くか。うん、そうしよう。高校生のとき以来、服買ってねーわ。

 あっちゃー、上司から掛かってきちゃったよ。出る?無視?出る?無視?よし、電車に乗ってることにしよう。きっと、なんとかなるさ。

 こうなってくると、帰社はかなりまずい展開になるな。上司に怒鳴られてるところを彼女には絶対に見せるわけにはいかないなー。どうするかなー。


 あーあ。会社近くのスタバで時間潰してたら、あっちゅーまに五時過ぎちゃったよ。

 まだ彼女は社屋から出てこないなー。おかしいな。残業してんのか?

 考えた末、偶然すれ違い作戦で行くことに決めた。早く出てこないかなー。店はそろそろ出ておくか。

 あっ、ラッキー。彼女がちょうど出てきた。しかも一人。

 心を落ちつけて、さり気なく、平静に、冷静に、商談がうまくいった様子で……。

 よし、うまく気づかれたぞ。さりげなく髪をかき上げて、うんうん、お疲れさま。おっとー、そっちから手招きが入りましたか。OKOK。ちょっと壁際まで行きましょうか。

 ちょっと待ってね。いま壁に片肘ついて足を4にするから。

 す〜〜〜っ、はぁ~~~っ。よし、どうぞ、話は何かな?



















「鼻毛出てるよ」

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