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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

曖昧

作者: 涼那
掲載日:2026/02/15

電話越しに伝わる君の声

『…この先どうしたらいいのかな?このまま仕事続けられるのかな…』

「うーん、サチはどうしたいの?」

『わからない。でも頑張らないと…この先も楽しいこといっぱいしたいし。』

「そうだなぁ…楽しいことって例えば?」

『タケルと色んなとこに旅行しに行きたいし、普通に遊びにも行きたい。結婚とかもしたいし…』

「そうだね、俺もしたい。まぁ、そんなに難しく考えずにもうちょっと適当に生きてみたら?」

『…うん。そうだね。あ、ごめんね。今日はここで電話切るね。』

「わかった。」

プツリと電話が切れる音が耳に反射した。

最近、彼女のサチが仕事が上手くいかないと悩んでいるみたいだ。

…明日お互い休みだし直接会いに行ってみるか。



翌日、コンビニでサチの好きなアイスを買い、家に向かう。

合鍵は貰っているけど、一応インターホンを鳴らす。急に鍵が開いたら俺でもビビる。


『ピンポーン』


…でも一向に反応がない。


「あれ?どこか出かけてるのかな。サプライズじゃなくて連絡入れてから来れば良かった。」


メールで一通連絡を入れる。

『昨日の話ちゃんと聞きたいから、家に来たけど出かけてた?サチの好きなアイス買ってきてるから家で待ってるよ。』


鞄から合鍵を取り出し、扉に手をかける。

…違和感。鍵がかかっていない。

「またかけ忘れたのか?」

サチはよく鍵をかけ忘れる。

「まあ、いいか。メールで伝えとこ。」


扉を開ける。

自分の家の扉を開けるような速さで。


空気が外に逃げ出してきた瞬間、背筋がゾッとする。嗅いだことのない…いや確かには知っている、食欲が失せるような臭いが。


「うわ、なんだこの臭い。」


靴を脱ぎ奥の部屋へ。

リビングに足を踏み入れた瞬間、片手に持っていたコンビニの袋が床に落ちる。


「え。は、え…?」


その光景がようやく脳で処理される。

サチだ。首を支えにして、足が浮いてしまっているがサチだ。それと足で蹴ったであろう椅子が部屋に倒れている。


俺の声が出る。数年ぶりに聞く、自分でも驚くような声をあげながら、ゆっくりとサチを下ろした。

「どうして…どうして……」


綺麗な首に痣を作って目を閉じているサチの顔に涙が落ち続ける。

「今日ゆっくり話に来たんだよ?サチの好きなアイスだって、ほら、買ってきたんだよ?」


返事はない。


鏡に映った自分。姿を映すのは彼女を抱きかかえた自分だけ。

何とか冷静を装い、警察に連絡し、事情聴取を受けて帰宅する。


一睡もできず朝を迎えた。

カーテンを開け日差しが目に刺さり、反射的に目を閉じる。


その瞬間昨日の自分の姿が脳裏に過ぎる。目を開けた時には涙が溢れていた。


喪って気づいた。まだ全部サチのこと知れてなかったんだ。まだ知っていく最中で、答え合わせをしていく時間だったんだと。


「…どうして。」


俺は床に崩れ落ち行き場のない気持ちをただ、ゆっくりと飲み込むしかなかった。

初投稿で拙い文章でしたが、ご覧頂きありがとうございました。

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