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シオンの涙雲(改訂版)  作者: 居鳥虎落
第一章

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第二十四話『湊崎総一郎』

PV数が1,000行きました!ありがとうございます!

拙い小説を読み続けていただき大変感謝しております!

至らぬ点も多いと思いますが、これからもよろしくお願いいたします!

 手招きをされたらそれはもう入室を許可されたという事なので遠慮なく入らせてもらおう。

 無視するのは失礼だからね。

 決して廊下が寒いから暖かい部屋に早く入りたかったからではないよ。



「「失礼します!」」

「元気がいいな!お前らが噂の双子か、本当にそっくりだな」

「うわさ?」

「うわさってなに?」

「そうかお前らは知らなくて当然だな。海斗が報告書を送って来る時も帰って来てからもお前らの話ばかりしてきてな。幹部連中は耳にタコが出来るほど聞いてんだよ、だから幹部連中の間でお前らは有名人って訳だ」

「わあ!そうなの?柊、雛菊達有名人だって!」

「柊達は知らないのに知られてるって変な感じだね!」



 海斗さんがベラベラ話した事によって私達の存在は湊崎組だけの有名人になってしまっていた。

 考えてみると施設で秋巴さんに名前言っただけで双子かって聞かれたからもしかしてとは思ってはいた。海斗さんが話してたってのも聞いてたけど、報告書にまで書かれているとは聞いてないよ。

 なんでだ……何も突飛な事はしていない…ひっそりと生きていただけなのに。

 しかも若衆とか下の人間じゃなくて幹部っていうそれなりに力がある人に認知されてるのって結構面倒方が起こりそうで嫌すぎる。

 てか、私達が挨拶してないとか関係なくこの組長が会いたいってだけで私達連れてこられただけでしょ。

 


「あっ!柊!みて!」

「ん?あれ?!」



 噂をすればなんとやら?

 入り口からでは見えづらかったし、保弘さんで隠れていて見えなかったけど、保弘さんの側に寄ったら組長さんの斜め後ろに見覚えのある男性が座っていた。

 目が合うと微笑まれたので声を掛けようとしたらジェスチャーでしーっとされた。

 今は喋るなって事かな?じゃあ話しかけるのやめよ。

 

 それから他にも人がいて、見覚えのある男性の隣にはやたらニコニコしている髪がド派手すぎる青年とさっきから保弘さんとバトっていたローズゴールドの髪と翡翠色の瞳を持つ女性が座っていた。


 ローズゴールドの美人さんは保弘さんと喧嘩をしながら私達を見定める様な警戒した様な目線でガン見してくる。

 器用だな。それにしても女性の構成員って珍しいよな、日本では男社会って感じで女性なんて奥さんとかしか聞いた事ないし、物語とかでも見た事ない。

 …でも……なんだろ?この人なんか違和感があるんだよな。 

 見た目も口調も女性なんだけど……女性っぽくないっていうか…なんでだろ?



「お前ら取り敢えず触れ。立ってたら話も出来ねぇだろ」



 そうだった2人の喧嘩を眺める為に来たんじゃなくて顔見せしに来たんだった。



「俺は湊崎(みなとざき)総一郎(そういちろう)だ。組長をしている、よろしくな!俺の事は好きに呼んでくれて構わない」

「よろしくです総お兄さん!雛菊です!」

「よろしくね総お兄ちゃん!柊だよ!」



 総一郎さんが好きに呼べというので雛菊は総お兄さんと略して呼んだ。

 挨拶をする時も雛菊はフランクではあるけどちゃんと頭を下げて挨拶したのに対して、私はそれよりもフランクにお兄ちゃんと呼び頭を下げる事なく軽く手を振って挨拶をした。

 挨拶を変えたのは、単純に雛菊が挨拶をした際に総一郎さんの後ろにいるローズゴールドの女性が雛菊を睨みつけてきたから。

 雛菊に敵意を向けてくるのなら私に敵意が向くようにすればいい。

 案の定私がお兄ちゃんと言ってろくに頭を下げない行動に女性は顔を歪めた。

 そして女性は雛菊など忘れたかの様に柊に視線を集中させて苦言を呈す。



「助けてもらった分際で、総一郎様に馴れ馴れしいんじゃない?」

「…まだ子供だろ。礼儀なんか考えず無邪気なのが子供だ」

「駄目よ。子供とか大人とか関係なく、助けられたのだからまず頭を深く下げて、助けていただきありがどうございますと言うべきだわ。それをタメ口で馴れ馴れしい上にお兄ちゃんなんてありえない。湊崎総一郎様と言うべきよ。いえ、名前を呼ぶ事すら無礼だわ」



 なんだ、この総一郎さん強火オタクは。

 女性の苦言に直ぐに保弘さんが反論をしてくれたし、強火オタクではあるんだけど、まぁ普通に正論は言ってるんだよね。通常助けてもらったら頭を下げてお礼を言うものだし。

 でも、そこまで感謝は感じてないからそんなに丁寧にお礼をするつもりはない。もちろん感謝はしているけど()()の邪魔されたし7割くらいしか感謝しないよ。

 あと感謝していても馴れ馴れしい態度は辞めない、天使の様に可愛い雛菊を最初っから敵意剥き出しで見て来た人の言う事聞くのなんか癪だから…!

 これからも私に視線が釘付けになる様に無礼な子供を演じさせてもらう。



「そっか!助けてもらったのにお礼言わないなんて失礼だった!総お兄さん、雛菊達を施設から出してくれてありがとう!」

「柊も!ありがとー!」

「なに、お前らを連れ出したのはついでだ。子供がんな事気にしなくていい」

「…ふん、雛菊だけは礼儀を分かってるみたいね」



 総一郎さんは気にするなとか言ってくれたが、女性は雛菊"は"、と強調して柊と明らかに区別した様な言い方をした。

 良かった、正直双子だからやる事全部2人の責任って考えの人もいるのでこの女性がそういう人とは違う考え……私と雛菊を別の人間として見てくれる人で良かった。この人普通にいい人だと思う、言葉がキツイし、礼儀に厳しいだけで。

 良い人でも今はこの人の認識は礼節がある雛菊と全くない柊と分かられた事だろう。



「柊はとってもいい子だよ!数年ぶりにお風呂に入ったからふわふわしてて眠たいのかも!」

「…」

「そうかしら?眠くてもしっかり挨拶出来る子供はいるわよ。親の教育がなってないんじゃないかしら?親の顔が見てみたいッ…」

「健剛」



 突然始まった雛菊と女性のレスバを止めようと動こうとした時女性の口から私達の親の話が出て来て雛菊もちょっと(オコ)ッみたいな顔をした直後に総一郎さんの低く重たい声が女性の言葉を遮った。

 その場にいる全員、じゃないか…保弘さんは何考えてるか分かんない顔でジッと前を見てるし、海斗さんは困った様に笑ってる。

 これはいつものことなのかな?



「健剛、俺が好きに呼べと言ったんだ。俺達は礼を言われる為にやってるわけじゃない。ガキに一々礼言わせてるって知れたら俺が器の小せえ人間だと思われんだろうが」

「しかし…」

「それになぁ、健剛。誘拐された子供がようやく解放されたのに直ぐ親の事責められたんじゃしんどいだろ?」

「…それは、軽率でした」

「だよな?子供は伸び伸び過ごすもんだ。好きに生きさせてやれ、こいつらはちゃんと礼儀が何なのか理解してる」

「……私にはそう見えませんが、総一郎様がそうだと仰るのなら私はこれ以上口出し致しません」



 初対面の総一郎さんの印象は柔らかいお兄さんって感じだったのに今の対応を見るとちゃんとヤクザの親分なんだなって改めて思う。

 なんにせよ、尊敬する総一郎さんにあれだけ言われたんだからちょっとでも敵意が薄まるといいな。

 ……今もこっちを不満気に睨みつけているから無理そうだけど……言葉にしなくなっただけいいと捉えようか。

 女性の敵意よりも今少し不安なのは、総一郎さんには私がやって来た事、やっている事が全て見透かされているのではと言う不安が拭えない事。

 考えたところで直接聞く事も鎌かける事も今の私には出来ないけど。


 それから総一郎さんの圧で気にしてらんなかったけど、女性の名前は健剛さんというらしい。

 苗字なのかな?そうだとしたら変わった苗字だよね?

 それとも男の子に女の子の名前を付けるのと同じ様に女の子に男の子の名前つけちゃったみたいなやつ?


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