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シオンの涙雲(改訂版)  作者: 居鳥虎落
第一章

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第十五話『化け物的な天才』


 保弘さん達すごい!大当たりだよ!

 私達はこの施設に来た初日に絶対に手術を受けさせられる。

 サイモンさんの言ったように赤ちゃんやアレルギーを持っている人は例外で受ける事が出来ない。

 でも、埋め込まれていないだけでピアスや首輪を嵌められる。

 手術で何をされているかと言うと頭の中にマイクロチップを埋め込まれる。

 このマイクロチップは脱走防止の為に付けられ、ピアスや首輪にも同じマイクロチップが付いている。

 行動制限機能とGPS機能の2つが主な機能。

 マイクロチップは施設長が自由に操作する事が出来るので、私と雛菊とサイモンさんマイロくんは施設長の仕事を手伝う事が多いので商品保管区域から施設長室までは出入りが自由に出来る設定にされていた。


 そこで気になる事が一つ、マイクロチップがあったのに結衣さんが逃げられた理由。

 それは簡単な話マイクロチップを結衣さんから死体に移したから、ルゥの魔法でマイクロチップだけ転移させた感じかな。

 そんな事可能なのかと言ったらもちろん可能、だってルゥは天才だからね!

 移しても問題なく動いてるから施設長にバレることもない。

 海斗さんに話したつもりでいたけど、思い返してみると聞かれた事にしか答えてなかったから言ってなかったかも。

 あの頃は敵かどうか分からなかったから伝えるか迷っていて、サイモンさん達にも相談しててその間に海斗さんはいなくなったから伝えて無かったんだよね。



「体の中に何か入れられてるとしたら、怖いね」

「こわい?」

「だってどんな機能があるのか分からないんでしょ?」

「ある程度は予想出来るだろ。あのゴミが考える事なんて単純だろ、この施設からの脱走防止とかそんなところだろ」

「それが妥当だろう。それ以外の機能があるなら早急に取り除く必要があるな」

「取り除けるの?」



 隆之介さんの推測は概ねあっている。

 そして保弘さんの懸念も合っている。

 この人のんびりしてる人っぽくて鈍感そうなのに全然そんな事なくて切れ者だなぁー。

 それにしても取り除くって出来るのかな?

 さっきは簡単に移した風に言ったけど、ルゥでも難しいってちょっと苦戦していたのにどうやって取るんだろ。



「あのね、うちの組には優秀な解析班と医療班がいるんだよ!柊ちゃん達の体内にある物を調べて直ぐに取ってもらおうね」

「わぁー!そんな凄い人達がいるの?かっこいい!会いたい!」


 

 柊が素直に賞賛の声を上げると一樹は腰に手を当てて胸を張り得意げな顔をして笑っている。



「ふふーん!凄いでしょ!」

「お前は説明してるだけで何もしてないだろ。威張るな」

「痛ッ!」



 威張っていた一樹さんの頭に隆之介さんの拳骨が落とされて静かになった。

 一樹さんは涙目で隆之介さんを睨んでいるけど、隆之介さんはどこ吹く風、全く気にしていない。

 人の頭から鳴って良い音じゃない音が鳴ってたもん…ありゃ泣くよ。


 そうやってシリアスになったりふざけ合ったり?している間に商品保管区域の入り口が隠されている部屋までやって来た。

 


「隆之介」

「はい」


 保弘さんが隆之介さんを呼ぶと部屋の中を一周見てから奥にある本棚の方に一直線で向かって行く。

 隆之介さんは本棚の前に立つと1番下の段の真ん中の本を数センチずらした。

 その途端本棚が奥に引っ込み横の窪みに仕舞われた。

 本棚の奥はさっきいた場所と同じ様に広い空間が広がっていて、施設長室のある方を本館とした場合こちらが別館みたいな扱いを受けている商品保管区域と呼ばれる場所に入れる様になった。

 本館と違うのは湊崎組の人達が来るというトラブルによって、天井を閉め忘れられた中庭から日光が入って来て自然の明るさがある事だろうか。

 まぁ、そのせっかくの自然光も目の前にある鉄格子で台無しだけど。


「変な構造の建物だよね、商品保管区域って至る所に鉄格子があって逃げられない様になってるのに、中庭があるんだよ」

「海斗さんが聞いた話だと前にいた施設の人間が我儘言って作ったらしいぞ?」

「へぇ〜よく許可されたね」



 あ、誰だ。

 海斗さんに変な情報教えたの。

 中庭はここにいる全員で施設長に殴られながら暴言吐かれながら交渉して作ってもらったやつでしょうが、確かに施設職員の誰かの希望って言った方が説得力あるのは分かるけど、絶対面白がって嘘教えた奴いるだろ!



「隆之介」

「はいカードキーです」



 また保弘さんが隆之介さんの名前だけを呼んで今度はゆっくりと手を横に出した。

 すると隆之介さんは名前を呼ばれただけで理解したようで、施設で実際に使われているマスターキーにそっくりなカードキーを保弘さんに渡した。

 

 こいつらなんなの?さっきから、熟年夫婦かなんかなの?

 おいって言っただけで意思疎通出来るのと同じで名前だけで理解出来るんか。

 私は若干引いた様に顔を顰めて2人を見て、一樹さんの様子を伺ったけれど真顔だし、何にも言わないからきっといつもの事なのだろう。


 保弘さんは素早くカードキーを受け取って扉に付いている装置にカードキーをかざす。

 扉は整備されていないので激しい音を立ててゆっっくりと開いた。




「我々自身がカードキーという事をご存知なかったのでどうやって扉を開けるのか興味深かったのですが、カードキーの複製を作られていたのですね」

(うち)には化け物的な天才がいるからな、ある程度の情報で完璧なレプリカを作れちまうんだよ」

「すごい!化け物の天才!会ってみたい!」

「基本的にラボに籠ってるけど、偶に出てくるからその時に会えるよ!」

「楽しみ!」


 

 化け物的な天才か、ルゥに似てるのかも。

 今度ルゥに言ってみよ……いや直ぐに会わせろって言ってくるだろうし、最悪の場合こっちに来るとか言い出しかねないから頃合いをみて伝えよう。

 それに湊崎組さんのところの天才さんがどんな感じの人か把握してからじゃないとルゥとタッグ組まれた時に殺戮兵器作られても困る。


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