表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シオンの涙雲(改訂版)  作者: 居鳥虎落
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/76

第十一話『何でこっち見るんだよ!』

あけましておめでとうございます!

本年もよろしくお願い致します!m(_ _)m

そして!これからもシオンの涙雲をお楽しみ頂けたら幸いです。


皆様の2025年が幸多い一年になりますように!


「お前があの人の事を殺したいとかどうでも良い。コウさんの事を話せ」

「…そんな人間知らない」

「……写真を見たら思い出すか?」


 お気に入りだった人間の裏切りに嘆いている施設長をこれまた無視してクリーム髪のヤクザが似顔絵の書かれた1枚の紙を見せると施設長は目玉がこぼれ落ちるんじゃなかってくらい見開いた。



「……ねぇ、もしかして施設長って幸太郎さんの事忘れてたの?」

「……どうやらそのようですね?」



 最低な人だとは思ってたけど、あんなに血眼になって探していた人間の事を忘れるってマジかこいつ。

 まぁ、施設長自身の手で殺したわけじゃないからそれで覚えてないって感じなのか?でも普通忘れるかな?

 施設が出来て以来の結構やばい出来事だったと思うんだけど…



「知っている事を全て話していただけますか?」

「コウのことを言って、商品のところに大人しく案内してくれりゃこれ以上何もしねぇからよ」

「……わっ、わたしは…!わたしはなにも知らない!!……しッしら、ないんだ……知らない、私は、どうすれば…どうすればいいんだ……なにか、だれか……………………………あっ」


「サイモンさん、これって目合ってないよね?」

「いえ、合っていますね」


 

 私が呆れて頭を抱えていると施設長の気の抜けた声が聞こえてきて顔上げたら目が合った。

 現実逃避したくてサイモンさんに確認をしたらあっさり否定をされたし…。

 でもまだ施設長にバレただけだし、このまま素早く撤退すれば……



「あ?お前何処見てんだぁ?………なんだ?いつからいたんだ、あの爺さんとチビ」

「……困った事になりそうですね〜」


 

 移動する間もなくヤクザ全員がこちらに目を向けてしまい目が合ってしまった。

 隣のサイモンさんはなんだか楽しそうにニコニコしている。

 何楽しんでんだ……ちょっとは焦れ!



「……サイモンさん、これって雛菊との約束破った事になると思う?」

「…なるんじゃないでしょうか?雛菊は見つからないように気をつけてと仰っていましたし。まぁ今の段階で関わらないと言うのは無理そうですね。見つかった時点で逃げ切れる気がしませんので」

「ですよねー」



 施設長が私達のいる扉側を凝視した為にヤクザ達に存在がバレてしまった。

 ヤクザは私達を見て不思議そうに首を傾げたり、納得したような顔をしたり怪訝そうな顔をしたりと様々な表情をしている。


 不味い、雛菊に絶対に見つからないようにするって約束したのに早々に破る事になった。

 逃げ切れる気は私も全然しないけど、頑張って逃げるしか約束を死守する術はない。

 しかし、私は体力にも足の速さにも自信がないし、サイモンさんも私よりは走れるってくらいでこんなこと言いたくないけど、若々しくガタイのいいヤクザ達に勝てるほど元気では無い。


 最悪だよ!施設長がこっち見なければ気付かれる事なく雛菊の元に帰れたのにぃ!

 そろそろ戻ろうかなとか思ってたのに、戻ったら雛菊にバレずに帰った事を褒めて貰おうと思ってたのに!



「ッッ!柊!今すぐに走って2号棟から出来の悪い奴何人か連れて来い!誰でも良いからコイツらを殺せる奴だ!」

「あ"あ"?」

「サイモン!お前は肉壁になれ!売れ残りの役立たずがようやく私の役に立てるチャンスだぞ!」



 施設長の言う事を聞くのは癪だし、サイモンさんを毎日散々こき使っておいて売れ残りの役立たず…?チャンス……?

 あっれぇ?自己紹介でもしてるのかなぁ?

 施設長の発言には怒りしか沸かないけど、雛菊との約束を守る為にはこの場を離れなければいけないので言う事聞いた風にして地下に戻ろう。

 捕まる気しかしないけど……精一杯頑張る。

 決意を固めて私はすぐにその場から駆け出した。

 私の考えを私が走り出す前に理解していたサイモンさんもほぼ同時に駆け出した。

 しかし、やっぱり私は壊滅的に遅いので一緒に走り出した筈のサイモンさんに抱えられて逃げることになった。


 サイモンさんの肩に担がれる事で後ろがよく見えるようになったんだけど、青髪青目のガタイが良いヤクザが猛スピードで追っかけてくるのが見えた。

 えぇぇ、めちゃ早過ぎて怖いんですけどぉ!!



「サイモンさん、野生動物並みに早いバケモノが追いかけて来るよぉ!」

「いや〜これは困りましたなぁ」



 だから焦れって!全然困ったように聞こえないよ!

 のんびり走っているようにしか聞こえない……けど、抱えられてるから分かる。

 サイモンさんの心臓爆発するんじゃないかってくらい鳴っている。

 ごめん!走り以外で必ず役に立つから!


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ