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第七話:ガールフレンズ・ワンダーランド(後編)

 ピィー


 と、音程調節用のパイプが鳴り、演壇の上では、二十人ばかりの少年少女たち――下は六・七才から上は十三・四才の子どもたち――が、手にした聖歌集を持ち上げようとしていた。


「五十一番を」


 と、小柄な、すこし夜明けのにわとりを想い起こさせるような年配の女性が、右手をあげ、振り、彼らにこう告げた。


「うたの意味を、よく理解して」


 すると彼らは、


《わすれないで――》


 と、楽器の伴奏、あるいは妨害なしに、歌を、うたい始めた。


 彼らの歌声はうつくしく、感傷におぼれず、わたしの隣りのミスターは、よほど感動したのだろうか、いまにも涙を流さんばかりだった。


《だけどいつか――》


 二番がはじまり、その最初のところで、最年少の男の子と女の子が、仲良く音程を、すこしはずした。


 しかし彼らは、すぐさまそれを持ち直したし、逆にそれが、「うたの意味を、よく理解して」歌う助けともなり、夜明けのにわとりのような女性の、難しい顔をほほ笑ませた事は、彼女のうしろに座るわたしにもよく分かった。


《わすれないで――》


 そうして三番がはじまり、よっぽど感極まったのだろうかミスターが、キュッとわたしの手をにぎり、そっと肩を寄せて来た。


 はいはい。


 と、わたしは彼の肩をかるくなで、自分も同じように感動している旨を彼に示した。


 示したのだが、それでも彼は、


 トンッ


 と今度は、わたしの肩に自分の肩を当てて来た。なのでわたしは、


 はいはい。


 トントンッ


 と、こんどはちょっと強めに、彼の肩をたたいてやった。


 が、しかしそれでも彼は、まだ同意が足りないとでも想ったのだろうか、こんどはすこし勢いをつけて、


 トンッ!


 と、わたしの肩に肩を当て、そのままわたしの首元にくちびるをよせて来た。


『え? いや、ちょっと待ってよ、ミスター』


 途端にわたしは硬直した。首にかかる、彼の呼吸を感じながら。


『え? なに? どういうこと? え? いや、たしかにわたしも、あなたのことは好きだけれども、それはその、友人と言うか、こどもの頃からの知り合いと言うか、そういう意味での好きであって、男性として、と言うか、そもそもわたし、男性全般に興味はないし、って言うか、それにそもそも、アナタが本当の男性かも怪しいし、ってか、それ以前にあなた、この後またどこかに飛んで行っちゃうハズだし、あ、なに? また離ればなれになる前にってこと? え? いや、でも、それでも、ここ、こんな教会のまん中で、マリア様も見ている前なのに――』


 と、まあ――ほんと、我ながら恋愛経験の不足が嘆かわしいが――そんな感じに思考を混乱させてしまったのだが、もちろん、これはわたしの勘違い、早とちりで、


「ヤスコちゃん」と、そんなこちらのドギマギには気付きもせずにミスター。「ゆっくり、しずかに、気付かれないように、」と、わたしにだけ聞こえる声でささやいた。「席のうしろを、見てごらん」


 わたしは――あかくなった顔を彼にさとられないよう注意しながら――言われた方をふり返って見た。


 すると、そこの教会の一番うしろの席には、背の低い、うすい頭の、身なりのよい老人が、ひとり孤独にすわっているのが見えた。


「はい。とても感じが出ていましたよ」


 うたが終わり、にわとり顔の女性がながながとした指導をはじめた。


「たしか、」ミスターは続けた。「彼がそうだよ」


     *


 ガリガリガリガリ


 ムシャムシャムシャムシャ


 モグモグモグモグ


 クチャクチャクチャクチャ


「ねえねえ、ヤッチ」


「うん? なに? エマちゃん」


 パクパクパクパク


 ボリボリボリボリ


 ムシャムシャムシャムシャ


「あれ、大丈夫かな?」


「あれって?」


「あそこのお客さん」


「お客さん?」


「ほら、あそこの、たっくさん注文した」


 ガリガリ、ムシャムシャ


 パクガリ、パクガリ


 ムシャムシャムシャムシャ


 ムシャムシャムシャムシャ


「ねー、まるで何週間もたべてなかったひとみたいよね」


「ランチ用のごはんがあまってたからいいんだけどさ、お金とか大丈夫かな?」


「身なりもいいし、大丈夫なんじゃない?」


「でも、かなり若く見えるしさ」


「え? おじいちゃんでしょ?」


「は?」


「うん?」


 ムーシャムシャムシャ


 ムシャムシャムシャ


 ゴークゴクゴクゴク


 ゴクゴクゴク


 プッハー


「おじょうさん!」


「あ、はーい!」


「すまんが、お水をもういっぱい!」


 と、言うことで。


 こちらは、冒頭のわたしとミスターから南西に八kmほど下った? 上った? ところにある、町のちいさな喫茶店、青い扉の『シグナレス』。いま会話をしていたのは、前編の時よりも更に背が伸びた、我らがヒロイン、赤毛の佐倉八千代ちゃんと、彼女の友人、絵描き志望の木花エマちゃんであります。


 昨日の雨から一転、この日の空は晴れわたり、お店の窓越しに見える前の通りでは、うかれ模様の犬たちが、主人に飛びつき跳ねまわり、季節を違えた恋人たちは、なにやらうたでも歌い出しそうな雰囲気であったりします。


「たくさん食べましたねー」と、八千代ちゃん。問題の少年あるいは老人のコップに水を足しつつ、「おいしく食べてもらえてなによりですよー」そう言って彼にほほ笑みかけてくれます。


 すると、問題の老人あるいは少年も笑顔になって、


「うん、うまかった!」と言ってコップを受け取ると、「食事の楽しさなんぞ、ついぞ忘れておったからな」


 そうして、また、


 ゴクゴクゴクゴク、


 ゴクゴクゴクゴク、


 プッハー


 と、ひと息でその水を飲み干すのでありました。


「これから、どこかにお出かけですか?」と、八千代ちゃんは訊き、


「うん、まあ、ぶらぶらとな」と、少年あるいは老人は応えます。「こんなよい日に、外に出んヤツの気が知れんよ」


     *


「たいへん恐縮では御座いますが、旦那さま、お出かけになることは叶いません」


 と、執事姿の男性あるいは御使いは言った。


 こちらは今度は、先ほどの八千代ちゃんたちから西北西に六キロほど行った高級住宅地、その中でもひと際目を引く巨大な西洋風屋敷の一室で、ここには、先ほどの執事あるいは召使いの言葉に、


「うるさい!」


 と、ベッドの上から叫ぶ、老人あるいは少年の姿がありました。が、


 ゴホゴホゴホゴホ


 ゲホゲホゲホゲホ


 と、彼はせき込み、呼吸をみだし、


 ハアハアハアハア


 ゼイゼイゼイゼイ


 と、苦しまぎれに見上げた、慣れないその天井も、老いさらばえた彼の目には結局、とおくぼやけて見えるだけなのでありました。


「私に無断で外出などされるからです」と執事あるいは使用人、「お身体には、くれぐれもお気をつけください、旦那さま」


 そう言って、彼の身を気づかってくれているようではあるが、


「ふん」と、少年あるいは老人は、上質のカシミヤ毛布を頭からかぶりながら、「うるさい」と、そんな彼の下僕あるいは御使いに背を向ける。「僕は、君のダンナさまなんかじゃない」


 が、しかし、この言葉に、執事あるいは“この世の光を愛せざるもの”は、


「契約書が御座います」と、声にも表情にも出さぬままに嗤った。「旦那さまと、まえの旦那さま、おふたりの同意により、私のいまの旦那さまは、あなたさまなので御座います」


     *


「それじゃあ、あの執事さんが?」とわたしが訊くと、


「うん。けっきょくは仮の姿だけどね」と、わたしの肩越しに下を見ながら、ミスターは応えた。「それでも、先生のマンガにそっくりだ」


 と、言うことで。


 こちらは、そんな彼らよりも数メートル上方、ミスターが持つ秘密道具 《通りぬけトイホープ》で、このお屋敷の屋根裏に忍び込んだわたしとミスターなワケでありますが――ねえ、その秘密道具、本当に使って大丈夫なヤツなの?


「うん? なんで?」と、ふしぎな顔でミスターは訊き返し、「あ、やば、またしまい忘れるところだった」


 そう言って、腰に巻いたチェック柄のウェストポーチに、そのトイホープをしまい始めるのでありましたが……、


「この 《四次元ウェストポーチ》も、そろそろ中身を整理しないとな」


 と、どうやら、彼のこのウェストポーチの内部は、“見た目よりもすっごーく中がひろい”異次元多層構造になっており、ほぼほぼ無限に荷物を入れておけるそうで――って、ほんとゴメン。そのポーチもポーチで、ネーミングにしろ形にしろ、色々おこられそうな感じだけど、本当に大丈夫なのよね? 使って。


「だから、なにがだよ?」とミスター。本当になにも知らないイノセントな感じで、「でもこれ、カワイイだろ?」


 と、うれしそうにそのポーチをわたしに見せびらかします。


「ずっと白無地にしてたんだけどさ、それだとなんだかお兄ちゃんのヤツそっくりだし、だから、妹のド〇ミちゃんのにならって、赤白チェックに変えたんだ」


 って、分かってんじゃねえか。


     *


 カアン!


 と、金属バットのひと際おおきな音がして、男の子の打ったボールが、油断していたセンターの上をおおきく飛び超えて行きました。


 が、このバットの音と手ごたえに、もっともおどろいたのは、それを打った当のご本人で、彼は、自分でも信じられないのでしょうか、飛んで行くボールのあとを、バットを持ったまま、ボーっと見詰めていたのですが、そこに、


「なにやってんだ! カツトシ!」


「はしれ、はしれ!」


「三塁も狙えるぞ!」


 と怒鳴るチームメイトたちのさけびに我にかえると、


「ご、ごめん、ごめん、ごめん」


 と、手にした金属バットを放り出し、一塁へと向かいます。


 息を弾ませながら白球の行方を追うと、それは、ライトとセンターのはるか後方へと落ち、いまも転がり続けている。


 これなら、うまくすれば、三塁どころかランニング・ホームランだって狙える勢いだ。


 と、カツトシ君は想い、


 それと同時に、


「あら、お客さん」


 と、バイト帰りの佐倉八千代ちゃんが、ベンチにすわる少年あるいは老人に声をかけます。


 そのため、我々のカメラは、ボールとカツトシ君から目をはなし、


「どうしたんですか? そんなに真剣に野球なんか見て」


 と言う八千代ちゃんと、彼女に声をかけられた、老人あるいは少年の姿を追うことになります。


 ここはふたたび、問題の屋敷から東南東に五・六キロほどもどった石神井公園A地区野球場、その横の、くぬぎ広場にある木製ベンチ――のひとつであります。


「ああ、これはお嬢さん」と、問題の少年あるいは老人はふり返り、「いや、じつはな――」


 と、彼女になにか言おうとするが、ここで今度は、


「やった!」


「でかした! カツトシ!」


「これで同点だ!」


 と、グラウンドから少年たちのさけび声が聞こえ、ホームにもどったカツトシ君のあたまやら背中やらを彼らが、ペシペシ、パシパシ、バンバンバン、と叩いているのが見えました。


 すると、そんな彼らの様子を、ベンチの上の老人あるいは少年は、すこしの間、無口に、無表情に、ながめていたのですが、


「じつはな、お嬢さん」と、なにかの罪を告白、あるいは懺悔するかのように、こうつぶやくのでありました。「私は、野球というものを、まったく、全然、やったことがないんだよ」


     *


「それじゃあ、いきますよー」


「お、お手柔らかにな、おじょうさん」


 と、言うことで。


 それからしばらくして彼と彼女は――その距離は、10mも離れていませんでしたが――広場のはしっこを借りて、キャッチボールをすることになりました。


 グラウンドの少年たち――彼らと八千代ちゃんの関係については、低学年用の小さな金属バットが関係してくるのですが……、これもまた長い話になりますし、それはまた別の機会に書くこととして――そんな彼らから、ボールとグローブを借りたかたちで、その為、試合と関係のない年少組なんかは、なんだかとってもへっぴり腰な少年あるいは老人のすがたを見て、


「まずはボールをミットに当てて!」とか、


「だめだよ! ちゃんと目をあけてないと」とか、


「おねえちゃんにわたすつもりでかえすんだよ」とか、


 きっと彼らも、その先輩たちから言われて来たのであろうキャッチボールにまつわるアドバイスを、彼に与えるのでありました。


 なのでそのため、


 ポスッ、


 パス、


 ポッ、


「おっと、すまん」


 ポスッ、


 パス、


 ポスッ


 パ、


「あ、ごめんなさい」


 と、最初はぎこちなかったこのやり取りも、


 ポスッ


 パス、


 ポスッ、


 パス、


 ポスッ、


 パス、


 ポスッ、


 パスッ、


「すごい! ちゃんとやれてるじゃないですか」


「どうやらからだは、ずっと、動きたがっておったらしい!」


 と、そんな風に、段々キャッチボールらしいキャッチボールへと変化して行き、


 ポスッ、


 パス、


 ポスッ、


 パス、


 ポスッ、


 パス、


 ポスッ、


 パスッ、


 ポスッ、


 パスッ、


 ポスッ、


 パスッ、


 ポスッ、


 パスッ!


 と、ただただ、ボールが行き交うこと、なげたボールがもどって来ること、そのことだけがうれしく、たのしく、くり返されていくようでありました。


     *


「いやはや、こんなにからだを動かしたのは、うまれてはじめてだ」


 と、それから数十分ほどがして、老人あるいは少年はつぶやきました。


「ありがとうな、お嬢さん」


 が、このとき彼は、くずれるようにベンチに座ろうとしているところであって、また、こちらのお嬢さんもお嬢さんで、少年たちに借りてた道具を返しているところであって、


「えっ?」


 と、彼のそんなつぶやきは、どうやら彼女の耳には届いていないようでありました。


「なにか言いましたー?」


 そのため、このあわれな老人は、


「いや、」


 と、あらためて、先ほどの感謝の言葉を、彼女に、伝え直そうとしたのですが、そのとき、


 たそがれに気付いた街灯や、


 ためらうように家路につく少年たちの影、


 まちを横切るあまい記憶、


 そんなようなものに、


 まるで、


 生まれてはじめて気付いた、


 そんな子どものような気分になって、


「なんでもないよ、お嬢さん」


 と、かすれた声でこたえるのみでありました。


「どうかしたんですか?」


 ベンチにもどりながら、少女が訊いた。


「なにがだね?」


 と、老人は応えた。


「なんか、泣いてません?」


 と、ふたたび少女が訊いた。


 どうやら彼は、自分でも気付かぬうちに、なみだをひとつ、こぼしていたようすであった。


「え?」


 と、ふたたび老人は応えた。


 なみだはふかず、夏の終わりに置いて来た、いくつかの、かたちにもならなかったのぞみ。そんなようなものを、想い出すように。


「きっと、しあわせすぎるんだよ」


 こんどはさっきよりも、すこし、はっきりとした口調だった。


「なんですか、それ?」


 少女がわらった。


 夕暮れが影をのばし、


 うかび上がるちいさな窓からは、


 一度も現在になったことのない、


 そんな過去たちが、


 幾十、


 幾百、


 幾千にも重なり、


 しめし合わせて、


 彼に、


 その姿を見せていた。


「いつか、お嬢さんにも分かるさ」


 少年は、応えた。


 何年も、何十年も経ってから、


 取りかえしのつかないことを、


 幾つも幾つも、かさねてから、


 空のあおさや、くものしろさ、


 つきの匂いや、星のかがやき、


 鳥のなきごえ、風のささやき、


 小さな子供の、くすくす笑い、


 そんなものを、すべて失くしてからな。


「ありがとうな、お嬢さん」


 そう、老人は応えた。


     *


「それじゃあ、あの子が?」とわたしが訊くと、


「うん。前編の最後に出て来たおじいさんの、若返ったすがただ」と、わたしの隣りに座りながら、ミスターは応えた。


 と、言うことで。


 こちらは、そんな彼らがすわるベンチの十メートルほど後方、先述の屋根裏から、こちらもミスターの秘密道具 《何処にでも開き戸》で、この公園まで来たわたしとミスターなのだが――ねえ、ほんとに、ほんっとーに、この秘密道具、著作権的にだいじょうぶだったりするのよね?


「だから大丈夫だって」とミスター。「まったくもう、心配性だなあ、ヤスコちゃんは」


 なによ? なぜだか水田〇さびさんを彷彿とさせるその声は?


「いいかい? この 《何処にでも開き戸》は、特にこの東銀河ではポピュラーな長距離瞬間移動道具のひとつで、十光年の範囲であれば、このドア……じゃなかった、開き戸に内蔵されている宇宙地図に従い、好きなところに一瞬で行けるという優れものなんだよ、のび〇くん」


 あ、いま、「の○太くん」って言った、「○び太くん」って。


「だから大丈夫だって」と、今度は大○のぶ代さんを想い起こさせるような声でミスター。「小説だからかたちは見えないし、カラバリだって、七色ある中から念のため、本家のピンクと被らないブルーにしてあるんだから」


 と、なんとかかんとか、知らぬ存ぜぬを貫こうとしたいようだが、アナタいま、「本家」って言ったからね、「本家」って。


「はいはい、いいからヤスコちゃん、お話の続きを見ないと」


「あー、うん、まあ、そうなんだけどさ」と、一抹の不安を感じながらもわたし、「確かに。わたしが書かないと、読者の人たちも続きが読めないもんね」


 そう言って、あらためて八千代ちゃん達のすわるベンチを見ようとするが、ここで今度は、


「あ、ねえ、ゴメン、ヤスコちゃん」


 と、別の時間と空間にいる猪熊先生がわたしに声をかけて来た――ほんと、どうなってるんですか? その能力。


「お取り込み中のところゴメンだけど、一瞬、こっちの『シグナレス』にもどって来れないかしら?」と先生が訊き、


「え? でも、わたし、いま八千代ちゃんのお話を」と、そう言って返すが、


「あ、それがほんと偶然なんだけどさ、その話に関係する人が、ちょうどここに来ててさ」と、とにかく戻って来い的テンションで先生は続ける。


「関係するひと?」


「ヤスコちゃんにも、いちど紹介しておこうと想ってたところなのよ」


「はあ」


「ほらアナタ、契約関係が苦手だって、ずっと言ってたじゃない?」


「え? あ、まあ、それは、そのとおりですけど」


「出版社とかとの契約もさあ、しっかりしておいた方がいいし」


「は? え? あの、すみません、先生。いったい何のはなしで、いったい誰が、そこにいるんですか?」


「あ、ごめんなさい。ほら、石橋さんよ」


「石橋さん?」


「私のマンガにも時々出てくれてるでしょ? 『こまった時には気軽に相談、あなたの街の法律家』 預言の力を持った、行政書士の、石橋伊礼さん」



(続く)

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