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VRMMOと他ゲーと現実  作者: AKI アヤカ
『カイラル:RS』と『トライリッター』とスポーツ大会(クラス選考)
6/38

5話


 家に着いたのは14時。

 学校近くまで高速の乗り口が無いため、遅くなった。

 帰っている間、AIへ話しかけていたのだが、職務放棄しているのか返答はない。

 駐車場に着いた頃、ようやく返事した。


「帰りながら言ってたけど、準備した?」

『しています。ARゴーグル、ジャージ、木刀、屋内運動施設の予約。お風呂の準備もしています』


 地下駐車場に下りながら、それ以降の予定を提案してもらう。


「どういう予定だ?」

『14時10分頃から運動、15時15分にはお風呂、15時30分頃アカウントとキャラクター設定』

「2、3時間は掛かるだろうな」

『18時30分頃に食事、19時頃第1陣の情報収集とセルバでAI用の強化アームを購入、もしくは「週刊AI用のロボットを作る」をシリーズ購入する』


 バイクに充電プラグを接続しながら、わざとらしくため息を吐く。

 今回はまだマシな方だ。

 朝に聞くと大体排便の予定が立てられている。

 それに朝の内は俺の目が覚めてないのを良いことに、セルバのアプリから欲しいものリストやバスケットに、商品を追加していたりもする。


「今のアームでも問題ないだろ。お前を強化するよりも冷蔵庫とか全自動調理機とか、買いたいんだけど」

『料理はアームで出来るため問題ありません、お金の無駄です』

「分かってるよ」


 俺のAI排除計画はバレているようだ。

 家に着き、玄関でヘルメット、手袋を渡す。リビングでジャージに着替え、インナージャケット、制服を渡す。

 ARゴーグルをつけ、木刀袋を肩に背負い、ミントタブレットを2粒口に入れた。


『15時30分には予約が入っていましたから、住民に会いたくなければ早めに帰りましょう』

「そうだな」


 部屋を出てエレベーターへ向かう。

 エレベーターには1階から4階、B1の駐車場、B2の屋内運動施設へのボタンがある。こういうのはローテクなのがいいらしい。

 B2へ移動し、結局15時15分まで運動した。



 予定よりも5分遅れて風呂に入り、冷蔵庫の中にあったスコーンをコーヒーのお供に頂く。

 ゲーム部屋に入ってPCの電源を入れた。


 学校の机みたいにディスプレイが出てくるものではない、普通の机だ

 結局、これだけで何でもできますって物は多様性を得る代わりに重くなる。だから物が手に収まるくらい小さくない限り多機能な物は学校等の場所でしか使われない。

 机にスコーンとコーヒーを置き、キーボードに手を伸ばす。


『アカウントとキャラクター設定はVRですよ?』

「ゆっくりしたい気分だから、情報収集に変更」


 家で飲むコーヒーの匂いが、今の状況をリラックスタイムだと認識させてくれる。

 キーボードに伸ばした手を動かそうとして止めた。

 スマホを接続して、話しかける。


「カイラルの情報収集頼む」

『はぁ。わかりました』


 器用にため息を吐き返事をすると、画面上に大量の検索結果が表示された。

 表示がドンドン入れ替わり、20秒くらい経って止まる。


『情報が出揃いました』

「1個ずつ見せてくれ」


 最初に見せられたのは、俺もよく見た公式サイトの画面だった。

 背景は草原の先に山があり、空から光が差しているというものだった。


『メニューに正史という項目が増えています』


 開いてもらうと、どうやらワールドクエストというものに関わった、プレイヤー達の活躍が記されているらしい。


「最初の町ファーストを魔物の脅威から守った者達。大ン根、マヨープ、ケチャネーズ、出汁・デジル」

『あなたがつけそうな名前ばかりですね』

「次は?」


 スルーして先を促した。

 表示されたのは動画サイトだった。

 カイラル第1陣の生放送のアーカイブで、カメラは4か所にあり視聴者は視点変更可能のようだ。


 見ていると、この配信者は運動に慣れていないのか動きが悪い。

 コメントが5分くらいで荒れだして、どんどん視聴者は増えていった。


「何が気になったんだ?」

『ここからです』


 シークバーをAIが動かし、再生される。

 戦闘が始まるところらしい。


 大剣を握ってスライムのようなものと相対していた。

 スライムに向けて一歩踏み出し、大剣を横に振る。

 スライムは後ろに躱して、大剣を振り切った体に突進した。


『痛っ!』

『これです』

「痛覚の事か?」

『はい』

「これはあれじゃないか、ギリギリまで痛覚上げてるんだろ?」

『いえ、どうやら違うようです。他のゲームより痛覚吸収の最低値が低いのかもしれません』


 VRの中でも一般的な制限の1つ、痛覚制限。

 あまりにもリアルな痛みがVRの肉体だけでなく、本物の肉体に痛みを与えたと錯覚し、亡くなった人がいるらしい。

 その他、いろいろ制限はあるが、痛覚制限よりも重要なものはない。


「気にしなくていいだろ、次は?」


 それから30分くらい情報収集を続けた結果、どうやら第1陣でも始めるのが遅かった人は、クリアされたワールドクエストをなぞってストーリーを進めていくらしい。

 ワールドクエスト以外にもメイン、サブ、シークレットなど多種多様なクエストがあるようだ。


「VR起動しといて」

『わかりました』


 トイレついでにマグカップと皿を下げた。すっきりした机の上、小型VR機に有線でスマホとPCをつなぐ。

 頭頂部の空いている、ヘルメットのような小型VR機を被る。

 首元まで伸びている小型VR機を座りの良い位置に調整して、ベッドに寝転がった。

 起動可能になるのをボーッと待っていると、耳元からAIの声が聞こえる。


『VR機使用可能です。始める場合は合言葉をどうぞ』

「VRゲーム、サイコー」


 眠すぎて舟をこいだような感覚の後、目を開けるとVR部屋だった。

 桜の木の下にあるベンチに座り、左手を振る。


 白いメニュー画面が表れて、その中から『カイラル:RS アカウント・キャラクター作成』を探し出す。


『どのようなキャラクターにするか決めていますか?』


 この空間に響いているかのような声に返事をする。


「いつもみたいなキャラだ」


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