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城壁のガンナー  作者: tw
54/60

54.愚者の弟子

『・・・愚者の弟子』


「グルガールの・・魔導王の弟子と言う事か・・」


バーネットが俺の言葉に反応してつぶやくと



黒地に銀色の刺繍がされたローブを纏ったアンデットが反応した


「お主等は魔導王陛下を、アルフレッド・ヴァイス陛下を知っているのか?、更にこの聖殿は地下に封印されていたはず、どうやってここまで来たのだ?」


フードをかぶった骸骨まで黒く染まったリッチはやはりグルガールの関係者の様だ


バーネットが対応するだろうとそちらを見ると、バーネットは目で俺に対応しろと圧力をかけて来た



『私達は以前、他の聖殿にて魔導王陛下と謁見する機会を頂きました、とは言えグルガール魔導国が滅びてすでに千年が過ぎた今、魔導王陛下も貴方の様にリッチとしての御姿でしたが』



「なるほど・・あの陛下ならばそう言う事もあるか」


『因みにこの場所は長い年月の中でダンジョン化し、モンスターが増え過ぎた事でダンジョン自身が外へとモンスターを吐き出す為に地上へと繋がったと思われます、ところで貴方はいつからその姿になったか覚えていますか?』



「さて?五百年は経つと思うが正確なところはわからぬ、ところで陛下は・・お主等が倒したのか?」


『陛下はここには来ていない仲間が陛下の意向で解呪し天国へと旅立ちました』



「そうか、陛下は迷わず行けたのか、またもこのガスバールを置いて行かれるのですな」


そう淋しげに呟くと、バーネットが


「!!・・そ、其方、今ガスバールと言ったか?ガスバール・ムガトとは其方の事か?」



「ふむ、某の生前の名はガスバール・ムガトではあるが何故、我が名を知るのだ?」



「其方が生前書いていた日記が現代では〈ガスバールの書〉としてグルガール魔導国の名と滅亡を伝える唯一の書として伝わっておるのだ、そして魔導王陛下からも其方の名を聞いている、ムガトの性に関しては陛下から聞かねば分からなかった真実じゃ、其方の日記には名しか書かれていなかったと伝わっておるからな」



「なるほどな、あの日記が後の世まで残ったのか」


「ああ、故に魔導王陛下は今の世では愚者の王として伝えられておる、其方が日記にて魔導王陛下を魔導に堕ちた愚者と記した事でな」


「そうか、愚者の王か!フッハッハハハ、それ故に我は愚者の弟子か、皮肉なものよ、弟子でありながら陛下を裏切りあの時も、そして今回も置いて行かれるとはな」



『陛下も貴方を魔導研究の友であり裏切り者と仰られていたのですが何があったのですか?』



「我はアフラーダ教国の第一王子の護衛であり魔導の師として仕えていたのだが、王子が17才の時にアフラーダ教国内にてクーデターが発生したのだ、そして第一王子と我等側近はクーデターから逃れる為にグルガールへと亡命した、その2年後グルガール魔導王からの援助もあり王子はアフラーダ教国の王として戻る事が出来たのだ」



「ほう、それほどその第一王子は優秀だったのだな」



「確かに第一王子は優秀だった、しかし魔導王が惜しげも無く援助をしてくれた理由は我との密約があったからだ、無事王子がアフラーダの教王になった暁には我が魔導王の側近として仕えると言う密約がな」


『あの魔導王が求める程の人材ですか・・』



「この姿になり失われてしまったが、生前の我は教国の秘技とも呼べる魔導の術を納めた数少ない者の内の1人だった、魔導王は自身の持つ魔導の知識に我の知識と術を得る事で更なる高みへと昇らんとしていたのだ、我は王子が即位して教国がある程度安定を取り戻した所で密約に従い魔導国へと赴いた」


『王子は、新王は認めて下されたのですか?』



「素直に言えば反対されるのは分かっていた、なのでクーデターの情報を我が自分の利益の為、意図的に王子へ知らせずにいた事にして他の側近に我を罷免する様に頼んだのだ、そして事後に想定される事を書き残してその側近へと託し我は魔導国へ向かい魔導王の弟子兼魔導の研究員として10年に渡り魔導王と共に研究を続けたのだ、だが我にはその研究の先にある物は人の手に余る物としか思えなかった、だから魔導王へも引き返す様に直言もしたが王は聞き入れる事無く、次第に我を疎んじる様になる、その様な時にアフラーダに残った元の同僚から教王が事実を知り我に帰参する様にとの手紙が来たのだ」



『それで貴方は教国へと・・』


「ああ、魔導王が我への信頼が無くなって行く中で故郷への哀愁もあり、我は置き手紙を残して教国へと帰ったのだ、我が残っていたからと言って何が変えられたか分からぬが魔導王の最後を聞いた時に我は王をいや友を裏切ったのだと気がついたのだ、何故・・我はあの時に残って魔導王を止められなかったのか、何故一度や二度諫めて聞き届けられなかったからと言って側を離れてしまったのかと、魔導の研究をしていた時は魔導王に取っても、我に取っても間違い無く掛け替えの無い時間だったのだと、真の意味での友だったのだと知ったのだ」



『それで貴方は日記に記して・・』



「そうだ、本当の愚者は我なのだ、友を見捨てそして己の命さえも捨てた愚者、最早語る事も無し、求める事も無し其方達には迷惑な話と思うが我を消し去ってもらいたい、そして迷惑料としてこの書を受け取って出来れば今の世に役立てて貰いたい」



愚者の弟子(ガスバール)はそう言うと俺に向かって書を投げてよこした、そして聖殿の間で膝を付き祈る様に手を組んでその時を待っている様だった



「アンタもアンチカースで逝けるのかい?」


「いや反撃はせぬ故、信仰魔術で無くとも其方達なら我を倒せるだろう」


「アンタが言う信仰魔術ってのはアタシ達の言う求道魔術のことだろうね、魔導王陛下はアンチカースで逝ったんだアンタもそれで逝かないと陛下にあの世で会えないだろ、暫く待って貰うよ」



バーネットはそう言うと俺にリナを呼ぶ様に言う、そして王宮からある物も取り寄せる様に言った






俺はマルチチャットでビクターへと連絡してリナと例の物を用意してもらう事になる


用意が整うのは早くて明日の朝、俺と蓮花の盟は一度ダンジョンを出て前線の砦へと戻る事にした



バーネットとリアムは聖殿の間でガスバールに昔の話を聞く事にした様だ、マリーナも参加するとの事で問題だったボス部屋の扉もガスバールの意思で開け閉め出来るらしい、是非バーネットには頑張って多くの情報を引き出しておいて貰いたいものだ



こうして俺はダンジョンを一時離れていった






読んで頂きありがとうございます


少し短くなってしまいましたが楽しんで頂けると幸いです

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