52.新たなる騒動
王都へと帰還してすぐに俺達は自分達の拠点へと別れた、なんだかんだで4ヶ月以上リブムントから離れていたからな
俺達が王都にいたところで特にやる事は無い、貴族達の処罰はほぼ決まっているし、ココに至る経緯や事情などは今更判明した所で大した意味は無い
そんな訳で早々に解散したのだった
まぁ後日王宮から呼び出される事は確定しているのだが、それまでにリブムントで溜まっているであろう仕事を片付けておきたい
ただしアローネにはリブムントへ帰る前に一度会っている、結婚式の準備はすでに終わっているとの事だ夏頃に一度リブムントへ行きたいとアローネは話していた
リブムントへと帰ると俺とアーデルハルト、黒狼の事を冒険者達が迎えてくれた
更に領城からリブムント公爵の呼び出しがあり俺とアーデルハルトだけで無く黒狼達も領城へと向かう
俺達が着くとすぐに会見の場へと案内された
「ミューラー伯爵よ此度の事、王族の一員として感謝する、そしてミューラー伯爵に領地が与えられる様に国王陛下にも話しはしてある、楽しみにしていてもらいたい」
『えっ?、イヤ、失礼しました、領地ですか?』
「此度の事で貴族領が余っている状態だ、此方の貴族への恩賞として与えられる分はあるが、それでもかなりの領地が領主のいない状態だ、活躍の度合いを考えても、伯に領地が与えられるのは当然の事だろう」
『それは・・断る訳にはいきませんかね?』
リブムント公爵は驚いている
「領地はいらんと言うのか?」
『そうですね、このままビクター殿下の元で側近として政治に関わるよりも、もう少し冒険者として見聞を広めたいと思っております、その為には今領主になるのはどうも上手く無いと言うか・・』
「ふむ、そうかまだ冒険者を続ける事を考えていたのか、それならば確かに領主としての仕事は出来んな」
『はい、それに爵位は頂きましたが元々貴族としての知識自体有りません、その様な私が領地の経営など出来るとは思えないのですが』
「経営自体は問題無かろう、王宮からも人を出すはずだからな、問題は冒険者を続ける事よ、流石に領主が冒険者として各地を飛び回るのは問題が出るであろう、わかったこの事は私から王宮へと伝えておこう」
『よろしくお願いします』
「そうか、実はな黒狼も読んだのは領主になる事も絡んでいたのだ、リブムントは伯爵と黒狼が抜けてしまうと厳しいと考えておってな、黒狼だけはリブムントに残しておいて欲しいと言うつもりだったのだよ」
「それも必要無さそうじゃな」
『なるほど、確かに私が領主として黒狼を取り立ててしまえばリブムントの冒険者ギルドでも手薄になりましょう、ただ、今は何かあれば転移の魔法陣で移動も出来るのでそれほど大きな問題は起きないでしょう、それに領主になるつもりも私には無いので大丈夫だと思いますよ』
「私としては助かる、リブムントの安全を担保する事こそが私の仕事だからな」
こうして会見は終了した
俺とアーデルハルト、黒狼達は翌日からギルドの仕事をこなしている、ただ思った程依頼は溜まっていなかった為に俺とアーデルハルトは2人で蒼炎達が拠点としているゲスタラントへと移動する
蒼炎達から相談を受けたからである、なんでも最近ゲスタラントで魔物だけでは無く魔獣が増えて来ているとの相談だった
ゲスタラントへと移動すると蒼炎達が待っていて早速現地を案内してもらう
モンスターが増えている場所は王国の国境辺りの森で10キロ四方が森林地帯となっている場所であった
その森林地帯の向こう側はフランドル王国と言う国になる、過去にはブルグムント王国と領土問題で争っていた事もある国だがここ50年程はお互い手出しせずにいる
その為、今では互いの商人の行き来もあり関係としては良くも無いが悪くも無いと言ったところだ
俺達はそのまま森の中へと入り状況を確認する
2時間程経ったが、確かに魔獣が多い、既にリザードエイプなど20体を超える魔獣を討伐しているのだ
『これは普通じゃないな、一旦ゲスタラントへと戻り冒険者ギルドとの話し合いが必要だろう』
そう言ってゲスタラントへと戻った
ゲスタラントの冒険者ギルドはそれほど大きな規模では無い、せいぜいCランクパーティーがいる程度だ
俺の勘が正しければ大変な事になりかねない
ゲスタラントへと戻るとすぐにギルドマスターとの話し合いをする
『この状態はスタンピードの兆候なのではないかと思うのですが、ギルマスのお考えはどうでしょう?』
「スタンピード?、本当なのか?、もしそうならゲスタラントだけでは対応出来ないぞ、王都やその他の地域からも応援を手配しなければならないな」
『ゲスタラント子爵にも連絡をしておきましょう、対応には領主にも参加してもらう必要があるので』
「わかった、至急連絡する、悪いがミューラー伯爵には先に行って子爵との面会をして頂きたい」
『わかりました』
そこからは早かった、1時間後にはゲスタラント領城にビクターを筆頭とした対応会議室が出来ていた
メンバーはビクター、俺、ゲスタラント子爵、ギルマス、マクシミリアン、マリオ、アーデルハルト、領軍の幹部達と言った面子である
その他にもジグムント公爵、リブムント公爵、ベルガー伯爵、マイヤー子爵へと話しは通っている、明日には蓮花の盟、マイノリティー、マクシミリアン以外の夜明けの光メンバー、マリーナ、バーネット、リアムが此方へと来る予定になっている
リブムントからは領兵も1000程送られて来る予定だ、王都からも魔法団長を中心に500名の魔術士が送られてくる事になっている
俺はベルグラットでの経験から近隣の街や村の防衛施設を作る事になった
領軍達は森の周囲を警戒しながら拠点とする場所を決めて行く、冒険者達やクランのメンバーは森から出て来るモンスターの討伐を担当する
そこから1週間程である程度の体勢は整備されていた、街や村を囲む壁を作り、拠点を前線に2箇所作りそこへ兵を入れる、少し後方にも拠点を作りそこにはビクターや回復魔法使い、救護兵などが詰めている
ベルグラットの時に拠点である砦からベルグラットまでの距離が離れすぎていた事で多くの兵や冒険者達に犠牲が出た事を教訓とした準備だ
ゲスタラント領軍2000とリブムント領軍1000、それに王都魔法団500を前線の拠点に配置してゲスタラントの冒険者達がその補助をする
森の中へ入り新たに出来たであろうダンジョンを叩くのは俺達の仕事だ
ベルグラットの時より早く発見して対応する時間があった事は不幸中の幸いだった
また、黒狼、雷神の槌、ウロボロスは予備戦力として各地で待機してもらっている、貴族達との内乱から完全に立ち直っていないだけに、この事を幸いと蠢動する馬鹿が出ないとも限らないのだ
俺達が森へと入るのは明日早朝からだマリーナ、バーネット、リアムが参加してくれているのは頼もしい限りだった
翌日になり俺達は森へと入る、俺の武装はリボルバーを腰のホルスターに刺し、両手に短刀のスタイルだ、リアムも小回りのきく片手剣に柄の短いバトルアックスをチョイスしていた、また本人の希望で俺達と同じコートを貸し出している、武器には気を使っているが防御面にはそこまで金をかけていなかったらしい
リアムとマイノリティー、蓮花の盟を前にだしてその後ろを俺、マリーナ、バーネットが進み、後衛に夜明けの光と蒼炎がつく形で森を進む
50体を超えるモンスター達を蹴散らしながら進んでいると森の中心部へと到達した、そして俺の勘が合っていた事が証明された
そこには地下へと続く洞窟が出来ていた、俺はマルチチャットでビクターに確認して貰ったところ、この森には元々地下への洞窟など存在していなかった
これが新しく出来たダンジョンだろう、元々地下に埋まっていた物なのか、ベルグラットの時の様に強い魔獣が新たに作った物なのかは入って見なければわからない
俺達は迷わずに突入を選んだ
中に入ると10メートル程の幅がある洞窟になっている、そこに魔物と魔獣がひしめいていた
「今回はベルグラットの時とは違うね、元々埋もれていた洞窟がダンジョン化してモンスターが増えた事でダンジョンが地上へとモンスターを吐き出す為に埋もれていた部分をモンスターに開けさせたのだろうね」
『ならベルグラットの時みたいに必ずしもダンジョンのボスを倒す必要は無いって事?、ある程度間引きをすれば良いのかな?』
「多分ね、ただどの程度間引かなきゃいけないかは、ダンジョンの規模にもよるわね」
「そうじゃな、このダンジョンがもし100階層ぐらいあるのなら相当な数を討伐しないと落ち着かんよ、まあ100階層あるダンジョンなど聞いた事も無いがネ」
『なるほどね、とりあえずは目の前のモンスター達を倒しますか』
そう言って俺は短刀を一本鞘に納めてリボルバーを抜いた、そのまま眼前のモンスターに弾丸を撃つ
それを合図に魔術士達は魔法を放ち前衛組は魔法などで傷ついたモンスターを狩り始めた
リアムを先頭にクララやガーラムなどは長柄やバスターソードから片手剣に持ち替えていた、狭い洞窟では長物は邪魔にしかならない
洞窟の幅は10メートル、4人が並べば埋まる程度の幅だ
『前衛はなるべく前後互い違いになる様にして、互いの距離を詰めすぎない様にね』
俺とマルコは洞窟の壁の出っ張り部分を俺の壁で補強してその上から弓矢と銃で離れたモンスター達を狙って攻撃していた魔術士組は前衛組にバフを掛けたりしながら隙間に向かって魔法を放っている
数が数だけに時間はかかりそうだ
かと言って狭い洞窟内でバーネットの爆裂魔法などは使えない、下手をすると俺達が酸欠で倒れてしまいかねないからな
こうして、着実な戦いからスタートを切る事となった
読んで頂きありがとうございます
早速投稿出来ずに申し訳ありません
しばらくは不定期になると思いますが、よろしくお願いします




