表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
城壁のガンナー  作者: tw
50/60

50.王国と内乱 #5



天上の使者はこの時点で相手側の戦力を甘く見過ぎていた



確かに夜明けの光、蒼炎の2つのパーティーメンバーは20歳にもなっていない若僧だったが、彼等は彼等で濃密な時間を送ってきたのだ




「はははっ、王国最強の武技とはどの程度なのか試させてもらおうか、我々Sランクパーティーを相手にどこまでやれるかな?余り時間をかけ過ぎると若いのから死んでいくぞ」



「はっ!いらぬお節介ダネ!、精々ババアと小僧達にやられない様に気をつける事ダネ」




リアムと向き合っている相手のリーダーは名前はカリウス・マクベール38歳、見るからに切れ味が良さそうな両手剣を持ち構えに隙は無い、防具もドラゴンの鱗を加工した物で作られている



実力は間違いないのだろうが、過信が有ったのも間違いなかった



リアムは右手にオリハルコンの片手剣、左手に以前も使っていた細剣を持ち、両腕をダラリと下げていて構えと言うには余りにも隙のある形だ



リアムとカリウスが睨み合う中、それ以外の面子はそれぞれの戦いを始めていた、ガーラム達はタワーシールドを構えてジリジリと相手との距離を詰めている、マクシミリアンはガーラム達のサポートをする為に横から相手の隙を伺っている



相手前衛の残り3人は笑みを浮かべて、ガーラムやマクシミリアンの動きをただ眺めていた、それぞれは槍使い、片手剣にラウンドシールド持ち、それと湾曲した大刀持ちだ




「ワタシが大刀とヤルから槍をアルナとサイードで、片手剣はグリムとマクシミリアンちゃんで抑えてちょうだい」



そう言うとガーラムは大刀使いとの距離を一気に詰める、相手はガーラムの盾を蹴りつけガーラムの勢いを削ぐと大刀を横殴りに振った、ガーラムは盾で大刀をいなしながらバスターソードで敵の足元を狙う、それを軽々とバックステップでかわすと



「反応は悪くねーが剣の方はまだまだだな」



「あら?そうね、ワタシ達は剣術なんて習っていないからかしらね〜、盾も剣もワタシ達にとっては打撃武器でしか無いのよ〜」



そう言って更に踏み込むと剣を大刀にぶつける様に振り相手の大刀を弾く、そのタイミングでタワーシールドを左ストレートの要領で叩きつけた



「チッ、出鱈目な戦い方だな」


「ワタシ達は戦い方も性別も出鱈目なのよ〜、神様は悪戯っ子よね〜」



そう言いながらも1対1で相手を出来ている時点でコッチの作戦通りの展開である



アルナとサイードは槍持ちを相手にアルナが接近戦を仕掛け、サイードは横からバスターソードで一撃必殺とばかりに振り回す、距離を取れない槍持ちは完全にペースを握られている



グリムとマクシミリアンは片手剣相手に2人揃って接近戦をしていた、グリムがラウンドシールドへ盾をぶつけてバランスを崩すとマクシミリアンが剣で相手の片手剣を封殺する、剣技だけならマクシミリアンは負けないだけの技術は持っていた、それに加えて今はグリムがいる此方も優勢に戦いを進めていた



相手魔術士2人も見ているだけでは無く、バーネットやマイノリティーの魔術士相手に魔法合戦をしているが夜明けの光と蒼炎の魔術士や弓でマルコが参戦すると流石に手数が追いつかなくなってくる



特にバーネットは魔法の使い方に関してはマリーナと同じレベルの技術や知識がある、魔法研究所でお互いに意見をぶつけて研究を続けた結果、バーネットは王国最高レベルの魔術士になっていたのだ



ただマイノリティーの魔術士2人は不機嫌な顔を隠さず戦っていた、何故なら



「「あの婆さん、攻撃ばっかで若い両翼の防御に関して一切手伝わないじゃない!、アタシに任せろって言ってたのはなんなの!」」



結果2人は同族のバーネットの代わりに夜明けの光と蒼炎のサポートに回る事が多くなっていた


この2人の名前はスラーフとスラーラ姉妹のエルフだ、歳は58と51でエルフではまだ若手の部類だった



本来は攻撃的な戦い方を好む2人だが、両翼のサポートに忙しく好きに戦えない事にイラつきながらも、キチンとサポートしている辺り真面目なエルフなのだろうバーネットと違って



全体的に押し気味に進む中でリアムが流れを決定付ける動きにでた



カリウスは周りの動きに焦りを感じ始めていた、若かったとは言え真竜を倒したパーティーメンバー達が名も知らない王国冒険者達に押されている事は少なからず想定の範囲外だったのだ




ほんの一瞬だが味方を助けに行くべきか考えていたその一瞬が明暗を分けてしまった



リアムはカリウスが自分との戦いに集中出来ていない様子を見て先手を取る事にした、両腕は下げたまま相手に突っ込んで行く



カリウスは考えていた分反応が遅れる事となる



リアムは片手剣をワザと大振りしてカリウスに剣で受けさせると左手の細剣で首を狙って突きに行く、相手は何とか躱わしたものの体勢が崩れてしまっていた



そこに更なる突きが胸を襲う



カリウスは躱しきれずにリアムの細剣は鎧を貫いていた、とは言えカリウスも伊達にSランクまで上がった訳ではなく左手で細剣の軌道を晒していた



結果細剣はカリウスの脇腹を貫通する、致命傷と言う程では無いが動きは確実に鈍るし細剣を払いに行った左手からは血が流れていた



それでも右手一本でリアムの片手剣での追撃をしのぐ辺りは大した者だったが、その後を追う様に細剣がカリウスの首を切り裂いていた



この辺はソロで己の技術を高めていたリアムと、パーティーでの戦いで力をつけて来たカリウスとの差が出た形だ、どちらが強いと言う事では無く1対1の戦いになってしまった時点で、カリウスは持ち味である仲間との連携が出来なかったのだ、作戦勝ちと言った所だろう



カリウスが討たれると残りのメンバーは一気に劣勢に追い込まれた、時間稼ぎをしていた所にリアムが参戦して来る以上、そこからは一方的な展開になるのは間違いが無かった


何とか残りの仲間との連携をとり挽回しようにもその頭であるカリウスはすでにいない、逃走も数で押されている為に無理がある




カリウスが討ち取られてから20分後には残りのメンバーの内3人が討ち取られ、2人が大怪我を負わされて捕縛されていた




「コッチは何とかなったな、クララ達はどうなったかね」



「大丈夫ダヨ、アノコ達もそれなりのモンだからね」



バーネットは軽い感じで返すが、すぐにマグナッド侯爵達の元へと向かう事にした



幸いそれほど大きな怪我をした者は此方にはいなかった




すると拠点の中枢部からクララ達が現れた、そこには

数名の捕まった貴族が担がれている姿が見えた、捕まった中にはノイマン子爵とランゲ伯爵家の次男、クライン男爵家の四男などが含まれていた



「マグナッド侯爵とソーンダーク伯爵には逃げられてしまったわ、ソッチはどんな感じ?見たとこ大怪我はしてないみたいだけど」


クララが聞くと



「コッチはドラゴニア王国のSランクパーティーが来たぜ、まあ何とかなったけどな」



「流石はリアムって所ね」



「数で優っていたからな、それに思った以上にこのクランのメンバーが強かったって感じだな」




こうしてマグナッド侯爵とソーンダーク伯爵は逃したものの拠点は制圧出来た、まずは最低限の仕事はしたのだった










[マグナッド侯爵視点]



何故だ、何故私が逃げているのだ



作戦は完璧だったはず、これから王国軍を包囲して殲滅するはずだったのに、何故あの拠点に私がいる事がわかったのだ・・




一緒に逃げ出せたのは側近含め20名程だ、とりあえずは近場の拠点へと向かって味方と合流すればまだ巻き返せるはずだ、我々はまだ負けた訳では無いのだから




甘すぎる夢に向かって、今はただひたすらに逃げる事だけを考えていた










[ビクター視点]



マグナッド侯爵達が籠っていた拠点の制圧は完了した



予想外だったのはドラゴニア王国のSランクパーティーがいた事だ、確かにマグナッド領の北にあるアーベルバッハ領はドラゴニアと国境が接している



とは言えすぐにSランクパーティーなど呼べるはずは無いのだ、かなり前から繋がっていたのか?



ここまでは想定通りに進んでいるとは言え、この想定外の援軍がいた事は私を悩ませていた、果たして相手の援軍は冒険者だけだったのだろうか?、それともドラゴニア軍も関わっていて、何処かに来ているのだろうか



考えても答えは出ないが考える事を止める訳にはいかない問題だった、諜報機関にはもう一度マグナッド領内を回って貰う必要があるな、こんな時こそラインハルトが側にいて欲しかったのだが・・









ビクターからの連絡で拠点の制圧は済んだ事を告げられた、ただ予定外の事もありビクターは迷っているらしいが俺は気にするなと伝える



ドラゴニア軍が大規模な援軍を組織して来ていれば必ずその痕跡は残るし噂にもなる、何より寝返った者達からもその様な話は出ていない、流石に冒険者パーティーだけで無くドラゴニア軍が関わっていれば何処かしらから話ぐらいは聞いているはずだ



実際に今までの情報は全て正確な物だった、ドラゴニアの事だけ知らないはずは無く、冒険者に関してもマグナッド侯爵の案では無くアーベルバッハ家が独自に手を打っていた事が、たまたま今回の件に繋がったと考えた方が納得出来る



貴族側にはもう切り札は無いと見て良いだろう




ヤツ等の動きは読めている、すでに詰んだ局面を挽回する事など出来るはずも無く



後は此方の策に嵌めるだけなのだ



その為の餌も撒いてある、実った果実も刈り取る用意は出来ている



手順さえ間違わなければ終幕まであと一歩




決着の時はすぐ近くまで来ていた






読んで頂きありがとうございます




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ