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城壁のガンナー  作者: tw
49/60

49.王国と内乱 #4


貴族側の拠点を一つ潰した後、俺はマリーナとレオンを連れて部隊から離れていった



クランの他のメンバーもリアムと共に別行動をとる


奪った拠点には通信機と魔法陣を設置して王都からリブムントの領軍を呼び守備を任せて国軍八千はマグナッド領都へと向かう




クランメンバー達はマグナッド領の外縁にある此方側の拠点へと転移していた、そこからの動きはこの作戦の肝となる、流石のリアムも多少の緊張感は隠せていなかった





[リアム視点]



全くラインハルトの小僧はなんて事を考えるんだよ、しかもその仕事を自分では無く俺に託すとか頭が逝ってんのか?


自分のクランメンバーを俺に預けて、自分は別行動とかまともじゃねーぞ、俺は面倒事が嫌だから1人で動いているって言うのに



文句を言う相手がいないのがより俺のイライラを募らせる



そんな所に



「アラ?、流石のSランカーも大きな作戦になると緊張するものなのね〜」


「あん?緊張なんかしてねーだろ!」



「そ〜なの?、そうやって大声出しているのが図星をつかれた証拠じゃないの?」


ガーラムが笑いながら言うと


「・・まあ、余裕ではねーか、俺は基本的にソロで活動してたからな、これだけの人数を指揮する行動もほとんど経験ねーし」



「ふふっ、案外素直なのね、でも大丈夫よ、ラインハルトちゃんはねアレで中々策士だからね、貴方なら出来ると思ったいるから私達の指揮官にしてるのよ」



「チッ!あの小僧に使われるのは癪だが、任された以上作戦を失敗なんて事になったら俺の価値を下げちまう、全く嫌になるぜ」




「大丈夫よワタシやクララ、バーネットもいるしマクシミリアンちゃんもそれなりのモノよ」



「確かにな、このクランメンバーの能力はある程度わかっている、作戦通り頼むぜ」


「任せてちょうだい」




俺は少し落ち着いたか、どうやらアイツの言う通り緊張していたみたいだな




「おや?、緊張は取れたみたいダネ、これなら大丈夫ダネ」


このクランのヤツ等はお節介が多いのか?




「俺は任された事をする、あんた等もしっかりヤッてくれよ」


「任せときな、まだアタシも足手纏いになるほど耄碌しちゃいないさ」



バーネットが笑う、その後にはクララの姿もみえる


俺が他人に心配されるなんざ何時振りだ?



本当にこのクランのヤツ等は、そう思いながら笑っている自分に気がつく



「案外誰かとツルムのも悪くねーな」



俺の発言にクララやバーネットだけで無くガーラムも驚いた表情を浮かべていた



「そんな、変な事言ったか?」



「アンタの噂を聞いた事がある人間なら誰だって驚くサ」



「そうね〜、リアムと言えば天上天下唯我独尊を体現する者の代名詞って事になっているわよね〜、そのアナタがそんな事を言えば誰だって驚くわよ〜」



「・・・」



確かにな



俺も不思議な気分だった









[ビクター視点]



ラインハルト達が別行動に移ると、私達は軍を纏めてマグナッド領内を進み始める



ラインハルトが立てた作戦通りに行けばマグナッド侯爵達を一網打尽に出来るはずだが、一つボタンをかけ違えれば、簡単に瓦解しかねない危うさもある、決して気を抜く事など出来ない状態だ




「どうだ、作戦通りに行くと思うか?」


私が騎士団長に問うと


「ミューラー伯の作戦は一見危うく見えますが、ビクター殿下の身の安全だけは確保されております、ですので私はこの作戦こそが最も有効だと考えます」



「そうだな、たからこの作戦を採用したのだったな、すまん、私の発言は忘れてくれ」


「はっ!」




出会ってからずっとラインハルトは私の友として、そして学園を卒業してからは私の右腕として陰日向無く支えてくれていた


私に出来る事はラインハルトの信頼を裏切らぬ事だけだ、何が何でもこの作戦を成功させて彼に報いなければならない




移動速度は少し遅いが、余裕を持って期限までにはたどり着くはずだ、ただ早すぎても駄目なのでこのペースで良いだろう



この一戦で王国の禍根を断つべく、我々は決戦の地へと向かう








[マリーナ視点]


私達は決戦場に隠密行動でたどり着いた



貴族側の者達はここにはまだいない、ここまではラインハルトの予定通りに進行していた



それにしてもこの子は何なのだろう、自分の子ではあるものの、明らかに異質な存在なのだ、自分だけで無くこの世界の誰も持っていないであろう知識を持っている


幾多もの魔導具作りに関する助言などは、本人曰く偶々思い付いたと言ってはいるがそれは嘘だ、母親だから解るがあの時のラインハルトは嘘を付いている時の顔だった



この国を出た事も無く、かと言って学園以外で誰かに学ぶ事も無い息子が誰も考え付かない事をあっさりと提案して、しかもその提案は外れた事が無い



ため息の一つもつきたい気分よ



子供の頃から妙に冷めていたと思っていたら、学園で殿下と友好を結びその殿下の為に己の人生を掛けて支えている、我が子ながら理解出来ないわね・・




まあ、今は私もやるべき事をやらなきゃね、この子の事を考える時間はこの後幾らでもあるのだから








[マグナッド侯爵視点]


「王国軍は前線を突破しました、そのまま領都へと進む模様」


前線からの報告が入る



「そうか、予定通りだな、これで王族のヤツ等に一泡吹かせる事が出来そうだ」



「流石はマグナッド侯爵様、作戦通りですな」



「ふふっ、最後までそうありたいものだなソーンダーク伯」




2人の満足顔に周りにいる側近達は己の栄達を夢想するのであった











マリーナ、レオンと共に決戦場に到着すると俺とマリーナでいくつかの仕掛けを用意する



まずは地面に壁を倒す形で作り、マリーナがその壁に時空の部屋に繋がる扉を開く、その部屋の中に転移魔法陣を2つ設置しておく、外見からは分からない様に三角屋根をその壁に被せて屋根には土や砂をかけて構造物を隠す




1キロ程南に離れた場所に先程作った魔法陣の対になる魔法陣を設置してそれも隠蔽工作しておく




もう一つは決戦場から北に2キロ離れた場所に地下部屋を作りもう一つの対になる魔法陣を設置する




更に仕掛けをつくるが、それはその時に成らなければ実際に使うかは分からなかった





これで粗方準備は終わり、俺達はその場を離れる








[リアム視点]



さて、ラインハルトからは準備が整ったと連絡がきた、俺達も動く事になる



拠点の大部屋にみんなを集めて作戦を伝えた




深夜になり俺達は動きだす、まずはクララ達蓮花の盟とウロボロス、それと黒狼が隠密行動で敵の拠点に近づいていく



その後方から他のメンバーを俺が率いて近づく、クララ達は西へ、俺達は東へ移動して拠点を東西から挟む



開幕の攻撃はバーネットの婆さんだ



婆さんは上級爆裂魔法で分厚い扉を吹き飛ばすと、俺を先頭に各パーティーの前衛部隊が拠点内部へと入っていく



敵の警戒は薄い、本隊がマグナッド領内へと向かっている事は隠していない為、ここが襲われる事など余り考えていなかったのだろう



ただしここにはマグナッド侯爵達がいると諜報機関からの情報で判明していたのだ



それを考えると貴族達の警戒の甘さに笑えてくる



よほど自分達の思惑通りに動いた此方の本隊の行動に浮かれていたのだろう


急な騒動に敵兵が慌てて飛び出してくるが、マトモな武装をしている者はほとんどいなかった



俺達は飛び出して来るヤツ等を個別に倒して、拠点の中枢に向かって急ぐ、ここで侯爵を捕らえる事が出来ればそれでこの内乱は終結するのだ



ただ絶対に捕えなきゃいけない訳でも無い、ヤツ等を巣穴から追い出す事が出来ればいいし、簡単に捕えられるとも思っていないしな


実際ラインハルトは捕らえられない事をメインに作戦を考えていた、まずは追い出す事が先決だ



少しづつ増える兵士達を殲滅しながら進むと、中枢の建物から6人の冒険者らしいヤツ等が出て来た



「ふ〜ん、結構強そうだね」


「そうか?、先頭のヤツだけじゃねーか?」


「あのドワーフ達もそれなりにはヤリそうだけどね」



出て来たヤツ等が好き勝手に話している


後にいたリーダーらしき男が



「なあ、先頭のアンタ!アンタもしかしてリアム・ダヴァエールか?」



「そんな酒みたいな性じゃ無いがな、俺はリアム・ダバエルだ、王国冒険者なら覚えておけ」



「そうか、やはりリアムが来たか、ただ残念ながら俺達は王国の冒険者じゃ無いからな、アンタの性までは正確に伝わってこなかったのさ」




「ほう!ではお前等はどこの馬の骨なんだ」



「俺達はドラゴニア王国の〈天上の使い〉さアンタも聞いた事ぐらいあるだろ?」



「ああ、そんな名前の使いっ走り達がいる事は聞いた事あるぜ、今回はわざわざ王国まで来てマグナッド侯爵の使いっ走りにされてるのか、大変だな」



「なに!」


「おい!安い挑発にのるな馬鹿か!」


「馬鹿とは何だ、リーダーだからって言っていい事と悪い事があるんだぞ」




「なぁ、アンタ等、悪いが漫才なら田舎に帰ってからやってくれ」


バーネットが吹き出す



「まあ、いいさ、俺達の実力を見て同じ事が言えるか確かめるがいい」




やべーぞ、ドラゴニアの〈天上の使者〉って言えば真竜を討伐した事があるって話だ


コッチの戦力だけじゃ部が悪いかもしれねえ



天上の使者のメンバーは戦闘体勢を整えると



「かかって来な!、王国の犬共」


そう言って6人が隊列を組む





コッチは俺とマイノリティーのメンバーを中心に右手側に夜明けの光、左手側に蒼炎、マイノリティーの後ろにバーネットが付いている




天上の使者は前衛にリーダー含めた4人が並びその後ろに魔術士2人がつく形だ




蓮花の盟をアッチに回したのはミスったか、アイツ等がいてくれれば五分以上の戦いに出来たはずだ、マイノリティーは大丈夫だと思うが夜明けの光と蒼炎のメンバーは何人かヤられるかもしれねーな


そんな事を考えていると



「リアム、大丈夫だよ、アタシが両翼を面倒見るからアンタは全力で相手のリーダーを叩きな」


「ガーラム達は他の前衛を抑えてリアムと敵のリーダーに近づけるんじゃ無いよ、両翼はガーラム達のサポート、魔術士は奥の2人に目を光らせな、全体の指示とサポートはアタシがやるよ」


「マクシミリアンは好きに動きなノエルは夜明けのメンバー達を守りな」



バーネットが指示出しをしてくれるのは助かる



「なら俺は俺の仕事をしなくちゃな」



「任せたよ、ボーヤ」


ニヤニヤしながら俺に向かって言う



「よく見ときな婆さん、王国最強の武技を見せてやるからよ」








読んで頂きありがとうございます

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