39.1つめと2つめ?
祝賀会当日
朝早くから魔法陣を使い、ベルグラットに転移してマチルダさんに髪型をセットしてもらいに来た
「ラインハルトさんおはよう御座います、準備は出来てますので此方へどうぞ」
俺はマチルダさんのヘアサロンへと入ると椅子の前と左右の斜め後ろに姿見の様な大きな鏡が置かれていた
彼女に勧められるまま椅子に座ると、彼女の仕事道具が入ったベルト型の道具入れを腰に付けている
「では、始めさせてもらいますね」
『お願いします』
彼女は慣れた手つきで俺の髪を櫛ですきながら
「ラインハルトさんの髪の毛は本当に綺麗ですね」
「ただ、髪は御自分で切られてました?」
『わかりますか?』
「そうですね、場所によって微妙に長さにばらつきがありますね、少しハサミを入れても良いですか?」
『どうぞ、と言うか短くして頂いても良いですよ?』
「いえ、これだけ綺麗な髪なら長い方がお似合いだと思います、なので揃える程度にしておきましょう」
そう言うとハサミで全体的な長さを調整していく
「髪型は全て私に任せて頂いても大丈夫ですかね?」
『はい、全てお任せします』
マチルダさんは右側のサイドの髪を後ろへ向かって五本の細い三つ編みにして、一度纏めると一本だけはサイドに垂らした
左側は編み込まずに半分程そのまま垂らして、残りを編み込んだ右側の4本と共に後ろで軽く纏める様に縛る、縛る紐は黒がベースの暇に金色の紐を編んだものだった
前髪は整髪料を軽く付けて左側へ流すようにセットする、これはとてもじゃ無いが自分では再現出来ないな
「どうでしょうか?、余り派手な感じにはならない様にしてみましたが?」
『いや、やはりプロにやってもらうと違うものですね』
「ラインハルトさんは、素が良いのでどんな髪型もお似合いになると思いますよ」
などと話していると、ガーラムがサロンの中に入ってくる
「あら!ラインハルトちゃん良いじゃ無いの〜、ただちょっと派手さが足りないんじゃない〜」
「サイドの編み込みにも後ろで纏めている紐を編み込んでみたら〜?」
『充分だと思うけど?』
「あ〜、良いですね!、紐の色を変えても良さそうですね」
「そうね〜、色を変えても良いけど、ラインハルトちゃんの銀髪には、この黒に金の差し色が入った紐の方があってると思うのよね〜」
「やってみましょう」
『いや、そこまでしてくれなくても・・』
「あら?、ダメよ〜私達のクランのリーダーが王宮での祝賀会に呼ばれたんだから、バッチリ決めて行かないと」
『・・・はい』
マチルダは垂らした一本と4本の内2本の編み込みに黒と金の紐を編み込み直しもう一度まとめ直す
「やっぱり、コッチの方が良いわね〜」
「そうですね、ガーラムさんのおかげで良い感じになったと思います」
斜め後ろの鏡を近くに寄せて見せてくれる
『マチルダさん、ありがとうございます、これで大丈夫です』
俺がお礼を言うと、マチルダさんはどう致しましてと返事をする
「ラインハルトちゃん、今度お礼にマチルダちゃんとデートでもして来なさいよ!」
『え?え?』
突然のガーラムの発言に驚いていると
「そんな!、私がやりたくてやった事なので気にしなくて良いですよ」
「ガーラムさんも変な事言わないでくださいよ〜」
「そ〜う?、ワタシはお似合いだと思うんだけどね〜」
マチルダさんは若干顔が赤くしながら手をバタバタと動かしている
「ラインハルトちゃんには浮いた話が無いわよね〜、せっかく美形に生まれたんだから、浮いた話の1つや2つは無いとね〜」
『ははっ、以後努力してみるよ』
こんな感じでやり取りは終わったが、マチルダさんの恥ずかしがる姿は俺の印象に強く残る
着替えも終わりクランのコートを着て王宮へと転移するだけとなった
「ラインハルトちゃん、楽しんで来てね〜、変な女に引っかかるんじゃ無いわよ、じゃあねワタシは先に抜けるわね」
『ガーラムさん、色々ありがとう』
「いいのよ〜、ワタシも楽しかったしね」
ガーラムが帰るとマチルダさんと2人だけになり
『マチルダさんにも、本当にお世話になってしまいましたね、有り難う御座いました』
「・・・」
『?』
「・・・その、あの、・・」
『はい?』
「・・もし良かったら、暇な時で構わないので、食事にでも行ってもらえませんか?」
顔を再び真っ赤に染めながら彼女が言った
『喜んで、では近い内に予定を立てにまた来させてもらいますね』
「本当ですか!、待ってます!!」
その約束をして俺は王都へと転移する為にベルグラットの城へと向かった
前世の時も女性との食事などは行っていたが、大半は仕事関係者だったので、こんな感じは久しぶりだった
一応、ビクターに連絡してから王都へと転移すると、そこには軍幹部が待っていて、俺を王宮内の接客室へと案内する
珍しいな?、普段ならメイドさんが案内するのだが今日は軍幹部?
接客室に入ると
「ラインハルト様、お久しぶりで御座います」
そこにはビクター付きのオスカーさんが待っていた
『オスカーさん、お久しぶりですね』
「はい、私も今はビクター殿下の元で、ラインハルト様の御活躍を聞かせて頂いております、どうぞこちらへ」
と勧められ、ソファーに腰をかけると、オスカーさん自らお茶の用意をしてくれている
あの喫茶店からようやく解放されたのかな?
どうでも良い事を考えながら、お茶を飲んでいると
「やあ、ラインハルト早かったね、今日は随分と気合入れて来たね」
『ビクター、まぁ王宮での祝賀会だからな、ところでこんな所に来ていて良いのか?』
「大丈夫だよ、今日の仕事はこの後の祝賀会だけだからね、もう少しすればエカテリーナも来るはずだよ」
『そうか、エカテリーナさんとは一年振りか?』
「去年のリブムントでの結成式以来だね」
ビクターとたわいない話しをしていると、エカテリーナさんが入室して来た
「ラインハルトさん、お久しぶりで御座います」
『えっ?エカテリーナさんもしかして・・』
「はい!、ビクター様の子供を授かりましたの」
「そうでしたか!、エカテリーナさんおめでとう御座います』
『おい、ビクター!そう言うのは先に教えておいてくれよ、なんのお祝いも用意して無いじゃ無いか』
「ラインハルトを驚かせたかったからね、それにお祝いなんて要らないよ」
『そうは言ってもな、まぁビクターもおめでとう』
「ありがとうラインハルト」
エカテリーナさんは本当に幸せそうな笑顔で俺達をみていた、ただオスカーさんはそれ以上に嬉しそうな表情をしている
「実はビクター殿下は早くラインハルト様にこの事を伝えたがっていまして、ここ最近は仕事にも手がつかなかったのですよ」
「オスカー、そう言うのはやめてもらいたいのだが・・」
「ふふっ、そうですね、ビクター様はずっとソワソワしていましたものね」
「エカテリーナ・・」
俺は思わず吹き出した
大切な仲間に新しい家族が誕生すると言う事に俺までフワフワとした気持ちになる
『ところで予定はいつなんだ?』
「春頃かな」
『そうか、どちらかは分かっているのか?』
「いや、魔法で調べる事は出来るが私は調べない事を選んだよ、どちらでも良いのさ、元気に産まれてくれさえすればね」
「私は男の子が良いのですが、ビクター様が気にし過ぎるなと」
「これで最後と言う訳でも無い、まずは元気な子を産んでくれ、エカテリーナ」
『はいはい、ご馳走様です』
俺達やオスカーさんも笑う
そうやって歓談していると
「久しぶりでは無いか、ラインハルト!、もっと俺にも顔を見せに来い」
国王や王妃、王女が入って来た
『これは、国王陛下におかれ・・』
「ああ、そう言う堅苦しい挨拶は不要だ、それに先の戦ではビクターを手伝ってくれたのだ、気にするな」
「そうですよ、ラインハルト殿、以前に王から余計な事を吹き込まれ、悩まれていた事は聞いています、その上でビクターの助けとなってくれた事、わたくしからも感謝します」と王妃が頭を下げる
『いや、やめてください、自分で選んだ事です、ビクターからもやりたい事をすれば良いと言われましたしね』
「ビクターは良いわね、良い友人を持てて、私など学園でも家柄しか取り柄のない者達しか近寄ってこなかったものよ」
「それは姉上がその様な者達に対して優しく接し過ぎたからなのでは無いですか?」
「私は王族として分け隔てなく接していただけよ」
アローネ様が頬を膨らまして怒っているが、周りはそれを見ながら笑っている
「ああラインハルト、俺からも改めて感謝する、今後もビクターを支えてやってくれ」
『俺は俺が思った事をするだけです、感謝される事ではありませんよ』
「そうか」
「ところでラインハルトは結婚相手は見つかったのか?」
『今その話し関係あります?』
「なんだ、まだいないのか、だったらアローネはどうだ?、ラインハルトより年は上だが容姿は悪くないだろ」
みんなが余りに突然の発言に驚いていると
「決まった相手はいないのだろ?、これで案外アローネも気立のいい娘なのだぞ」
『私はただの平民ですよ?、アローネ様とでは身分が違い過ぎますよ』
俺は焦って言うと
「何を言うのだ、ラインハルトはビクターが王になった際の宰相筆頭候補だと軍幹部の前でビクター自身が言ったのであろう?、ならば少なくとも法衣貴族として伯爵位ぐらいは与えられよう、問題などないでは無いか」
「貴方、そんないきなり進めては纏まる話も纏まりませんよ」
「うむ、急ぎ過ぎたか?」
「急ぎ過ぎです、それにアローネ自身が大変な事になっていますよ」
アローネ様は真っ赤になって口をパクパクしている
「・・父上、その話は一旦置いておきましょう」
「そうか」
何かとんでもない話になっていたが、何とか話題を変えなければ・・
『ところで、エカテリーナ様の御懐妊は発表されないのですか?』
「ああ、それについては今夜、祝賀会の中での発表となる、祝いの席にはピッタリの話題になろう」
何とか、みんなも話題が変わり落ち着いてきたがアローネ様だけはまだ真っ赤なままだった
ビクターが小声で
「姉上はまんざらでも無さそうだな」
と俺だけに聞こえる様に呟いた
俺はどうしたものかな・・
読んで頂きありがとうございます
ハーレムルートに行くのでしょうかね?(笑)




