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城壁のガンナー  作者: tw
29/60

29.卒業と指名


冒険者として第一歩を踏み出したのだが、本人である俺達自身が困惑する自体になっている



『本当にどうするかな〜』


「とりあえず、親父は俺達との専属契約が出来ないか聞いてきたぜ」


「フェリックスの父親からすれば、そうなるよね」


「指名依頼は有難いけど、国外への護衛は時間的に無理があるわよね」


『ああ、俺達はこれでもまだ学生だからなぁ』


「すでに授業自体は出なくても、問題にはならないけど、海外までは無理ですよね〜」


『それに、もうすぐ武術大会もあるしね、リブムント辺りへの護衛依頼でも一月近く拘束されるのはキツイね』



色々と考えたが、とりあえずは全て学生である事を理由にして、断る事にした





また、夜明けの光とウロボロスはそれぞれEランクへ昇格を果たしていた、Dランクも卒業までには上がれるだろう


ただウロボロスに関しては、タンク役を置かない編成からか、一度の遠征で討伐数を稼ぐのが難しいと言った問題がある


そう言う事も予測はしていたので、夜明けの光とウロボロスは王都にて強力しながらランクを上げて行く方針になっていた



蓮花の盟はジグムントで今後の拠点となる家をすでに借りて活動する所まで話が進んでいた


元々Bランク冒険者達だからジグムントの冒険者ギルドでも、かなり期待されている様だ、今は復帰してCランクからの再出発となっているがクララ先生達なら、すぐBランクへ再昇格するだろう




レベルも順調に上がっている


俺が18、エミリーとミハエルが16、フェリックスとリナが15だCランク冒険者の平均が大体15だとクララ先生が言っていたので、Cランクへ上がっても最低限は戦えるだろう


因みに、〈夜明けの光〉マクシミリアンは15、ノエルとアンナが14、ガデス、ヘンリー、ルイスは12


〈ウロボロス〉レオン、レニが14、カイエル、ルイーザが13、フィンとハンナが11


〈蓮花の盟〉クララが29、ノアが24、エミールが22、ラウドロスが21



やはり今の俺達の中では、蓮花の盟が人数は少ないが頭一つ抜けて強い


エミールはクララがいた〈金の鐘〉のメンバーだった人で土と水魔法を得意とする魔術士だ


ラウドロスはノアのいた〈竜の息吹〉のメンバーで、盾持ちのタンク役だが武器がこの国では珍しい1メートル程の片刃の刀でへの字形に湾曲した物だった


前世ではククリ刀などと呼ばれていた物を少し大きくした形だ、更に先端が鉤爪の様になっていて、敵を鉤爪で引っ掛けたりしてバランスを崩す事も出来るようになっている、見た目以上に凶悪な武器だ



そして今更だがクララのメイン武器が斧槍でサブに片手剣も使う、その気になれば弓も使えるが接近戦の方が好みの様で弓を持つ事はほぼ無い


ノアは探索魔法と土魔法の使い手だが短剣でも戦える、魔術士タイプのスカウトだ、俺の持つ短刀に興味があるのか使い勝手などを聞かれる事がある



クララが物理のアタッカー、エミールが魔法を使った後衛の砲台、ラウドロスがタンク、ノアが万能型のスカウト、かなりバランスが良いパーティーだ




生徒組の直近の目標はランクを上げながらレベルでもクララ達を追いかける事だな







武術大会は俺の3連覇で幕を閉じた


優勝、ラインハルト

準優勝、ミハエル

3位、マクシミリアン、エミリー


去年の雪辱に燃えていたミハエルがエミリーを下して決勝まで残り、マクシミリアンは1年の時同様に準決勝で俺に敗れた、3年間で俺にしか負けてない事で実質的に学年2位だと見られている



2年の部はマルコが1年の時に続いて優勝


1年の部はアーデルハルトが優勝した


ただ、アーデルハルトの同級生を気になる人物がいた、悪い意味でなのだが、バーゲル・ソーンダークと言う、王国北部の領地を持つ貴族家の三男で


彼にはバイスと言う兄がいるのだが、そのバイスは()()聖剣のメンバーなのだ、その影響なのかは分からないがバーゲルもまた、かなりの貴族選民思想の強い人間だった


クラスでも中々の問題児らしくアーデルハルトを始めとした平民達の生徒を侮蔑する発言をしているとの事だ


そういう輩には周りにも同種の人間が集まるらしく、そいつらは〈薔薇の旗手〉と言うパーティーを組んでいる


アーデルハルトには軽く捻られていたが、あの馬鹿達との絡みで、余計なちょっかいをかけて来なければいいのだが・・



アーデルハルトには注意しておいてもらおう







卒業式前日


俺達は久々にあの喫茶店へと集まった

もちろんオスカーさんが出迎えてくれた


(まだここにいたのか)


2年以降も偶に来る事はあったが、3年に上がるとその数はかなり少なくなっていた



「私達のスタートはこの場所だったから、最後も此処がいいだろうと思ってね」


ビクターの一言と共に、すぐに店員さんやオスカーさんがお茶とお菓子を用意した




『こうして城壁のメンバーだけで集まるのは久々だな』


「そうね、最近は私達も色々と忙しかったしね」


「ところで殿下は、卒業後は何処へ所属するのですか?」


「ん〜、とりあえず軍の内部に入る予定となっているよ」



「殿下は軍か、やはり将来の為に経験を積むのが目的ですか?」


「それもあるけど、王族は基本一度は軍に所属するのが先例となっているからね、ただ私はより中枢を抑える様にと父には言われているよ」


「正直みんなが来てくれたら、助かるのだけどね」




『ビクター・・』


「解っているさ、ラインハルト達が何故、冒険者として力を付けて、その階段を上がろうとしてるかはね」


『今はまだ、俺達が助けてやれる事はほとんど無いが、必ず3年以内には力と名声を上げて、ビクターの力になれる様にする、それを待っていてくれ』



「もちろん期待させてもらうよ、私にもまだラインハルト達を引っ張り上げる力は無い、ラインハルトが3年と言うのなら、私はその3年でみんなが自由に動ける場所を作る事に専念するよ」


「そして、その時にはみんなの後ろ盾になれるぐらいには、力を付けておかなければならないしね」




こうして俺だけで無く、ここに居た全員が改めて覚悟を決めた



俺達がビクターを、そしてこの国を守るべき〈城壁〉となる事を








           *







卒業後、俺達は護衛の依頼をこなしてCランクへと昇格すると、リブムントを中心に精力的に活動する


時に夜明けの光やウロボロス、蓮花の盟とも協力して討伐依頼をこなしつつレベル上げに勤しんだ




そして俺がレベル20へと上がると、俺のスキルのスロットが新たに解放された、それが





☆マルチチャット〈熟練度1〉


・パーティーメンバーと魔法で会話が出来る(範囲限定)

・自分以外のメンバーどうしを繋ぐ事が出来る(範囲限定)

・複数のパーティーと繋ぐ事が出来る(範囲限定)

・決まったメンバーと魔法で会話が出来る(ただしあらかじめメンバーを登録しておかなければならない)




これはまた使い勝手の良いスキルたった



実はマリーナ達の研究所が通信の魔導具を開発していたのだが、実用できたのがとても持ち運びには適さない大きさになったのだ


なのでその魔導具は都市間の通信用として、今は王都、ジグムント、リブムント、ベルグラット、マイヤード、ゲスタラントの6都市間だけで使われていた


そして転移魔法陣もその6都市間を繋いでいる、魔法陣の情報自体は他の貴族や国へも出しているが、製造や販売はしていない、あくまでも情報を与えているだけだ(もちろん転移魔法陣全ての情報では無い)



このスキルで登録出来る上限が現在は10名


ただし戦闘中に決まった範囲内であればパーティーメンバーは登録しなくても使える事が分かると


マティアス、マリーナ、ビクター、クララ、マクシミリアン、レオン、マルコ、アーデルハルトの8人を登録した



この登録したメンバーとは距離に関係無く会話が出来るがMPの消費が激しい、とりあえずは緊急用だな


緊急時以外は通信の魔導具を使う事で足りるしね




後にメンバー漏れしたバーネットには文句を言われたのだが


バーネットには悪いが、万一の為に枠は空けておきたいのだ







そして今俺達はミハエルの故郷であるベルグラットに集まっている


ミハエルの実家で、この地の領主であるクライン・ベルガー伯爵からの指名依頼が入ったのだ



指名依頼は通信機を通して伯爵から俺に直接連絡が来た、その内容はモンスターのスタンピードが起きる兆候が見られるとの事だった


その内容を聞くと、俺はすぐに王都とジグムントへ連絡して蓮花の盟、夜明けの光、ウロボロスを転移魔法陣にてベルグラットに転移してもらえる様に頼んだ


マリーナが王宮と掛け合って了承をもらうとすぐにクララ、マクシミリアン、レオンに連絡を入れる


そして2日後に揃ってベルグラットへと転移した





俺達がベルグラットに転移するとすぐに領主のベルガー伯爵と会う事が出来た


伯爵の話ではベルグラットの西にある山脈で魔獣を含めたモンスターが急増しているとの事で、今はこの地の冒険者と領軍が共同で監視と討伐をしているが一行に数が減る気配も無いらしい



現状はまだスタンピードにはなっていないが、いつスタンピートが起きても不思議では無い状態だと言う


モンスターの中にはBランクの魔獣であるワイバーンが出る事も確認されている


ドラゴンの亜種であり空を飛ぶワイバーンはかなりの脅威となり近くの町や村では既に被害が出始めている


主に家畜を連れ去っているらしいが、人も数名連れ去られているとの情報が上がっていた





予想以上の内容を聞き、俺はマリーナとバーネット先生に連絡を取る、そして2人は翌日にはこちらへ来てくれる事になった


マリーナとの連絡後、俺達は領軍が駐屯している前線に案内してもらい現状をその目で確認した




前線の砦には怪我をした軍兵が多く、その治療に回復魔術士が忙しなく動いていた


想像より状況は悪そうだ



モンスターの数も多い、俺は砦を出てモンスターの数を減らす為の作戦を実行する



まずはこの砦の外に壁を作る、距離にして五百メートルに渡って壁を作ったが4ヶ所程、間を空けておく



その空いた部分を俺達4つのパーティーで守る事で、対応が楽になるはずだ


それぞれのパーティーが配置につくとマルチチャットを繋げて情報を共有しながらモンスターを狩っていく、強い魔獣が現れた時に対応しやすい様に


中央の2箇所に蓮花の盟と城壁がそして左右に夜明けの光とウロボロスを配置した



今の所は上手くいっている、モンスター達は狭い隙間に殺到して数の優位を生かせてはいない


更に俺達の行動を見た地元の冒険者や領軍の兵士が後方から壁の向こう側に魔法や矢を放って支援してくれている



モンスターの進軍が切れた事で今日の戦いは終了した、結果その日は約100体程のモンスターを討伐できたが、俺達はスタンピードの恐ろしさをこの後嫌と言う程味わう事となる







読んで頂きありがとうございます

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