28.ランクと商人
冒険者登録が終わると、俺達はそれぞれのパーティーに分かれて薬草などの採取をしながら、ランク上げの為に依頼をこなしていく
時折ゴブリンやスライムなどの魔物を発見して倒しながら、ひたすら薬草の類いを採取しておく
Gランクの依頼は薬草5株、毒草5株、ゴブリン討伐3体、スライム討伐5体など、複数で一つの依頼達成扱いになるので、俺のアイテムボックスに収納しながら数を稼ぐ、まずは10の依頼を達成するとランクが上がる
3パーティー揃って3日でFランクへ昇格する
長期休みに入るのでそれぞれのパーティーで別れてランク上げをする事になった、ビクターは婚約者と卒業後に結婚する事がすでに発表されていて、式も来年6月に行われる、その為の準備と婚約者の機嫌取りで王都に残る
俺達〈城壁〉はリブムントへ
〈夜明けの光〉はマクシミリアンの実家であるランドブルーム家の領地ゲスタラントへ
〈ウロボロス〉は王都の東南部にある山岳地帯のランベルクと言う街へ
またこれとは別にクララ達〈蓮花の盟〉は今後の拠点となるジグムントへと連携訓練を兼ねて旅立つ
因みに転移魔法陣はまだ設置が完了していない、まぁ完了していても魔法陣自体が機密情報のためにまだ、利用出来ないがね(設置完了後、俺個人なら利用可能、ただし屋敷からは出られないが)
俺達はリブムントへ到着するとそのまま冒険者ギルドへ顔を出すと
テンプレは無かった
それどころか俺の銀髪で最近このリブムントのギルドマスターに昇格したマティアスの息子である事がバレて、別の意味で騒ぎになった
「おう!到着したのか」
ギルドの奥の部屋からマティアスが出てきた
『今さっきね』
「黒狼達が何処へ引き摺り回すか計画を練っていたぞ」
『その本人達は?』
「今は森の奥から山岳部にかけて回っているはずだ」
「ところで何か依頼を受けるのか?」
『簡単なヤツあるかな?』
「ラインハルト達ならリブロの森でキラーアントかアーミーワプスの群れが1番点数稼ぎになるだろうな」
『だよね、ただあそこってDランク以上じゃなかった?』
「今更だな、ラインハルトは11歳の時から行ってただろ」
『イヤまぁね、俺もギルドに登録したしね、一応聞いてみた』
マティアスとのやり取りを終えて、そのままリブロの森へと向かう、この辺はギルマスの匙加減で許可を出せる範囲だEランクへ上がる為の条件である魔物20体の討伐を目標に森を進む
結果、俺達はマッドベアーがアーミーワプスの巣から蜂蜜を取ろうとしている所へ出くわして両者を殲滅、マッドベアー1体とアーミーワプス28体を討伐した上に蜂蜜を確保する事に成功した
蜂蜜は100cc程の小瓶で30本程取れた為マリーナへのお土産も出来た
これによりEランクへ上がった
Eランクからは討伐件数よりも貢献度が高く評価の対象になるが、たまたまギルドでアーミーワプスの蜂蜜採取の依頼があったので、瓶で15本分の蜂蜜を出してこの依頼をクリア、この蜂蜜は巣自体が余り見つからないので貢献度が高めに設定されていた
後は討伐50体と実技試験を通ればDランクへ昇格となる、俺はマティアスに3日間で50体討伐するので、4日後に試験を受けられる様に用意しておいて欲しいとお願いしておいた
そして2日後、俺達はハウンドウルフ27体、キラーアント24体、マッドベアー2体、アーミーワプス9体を討伐した
野営してまでハウンドウルフの群れを追いかけた成果だ
予定を1日早めて実技試験を行い無事にDランクへと上がった、冒険者登録して1か月経たずにDランク昇格はリブムントでは初の事だったらしい
ちゃんと調べていないが王国でも最速記録になりそうだとマティアスが言った
DからCへの昇格には護衛依頼を10回以上達成とDランクの魔物を100体討伐と流石にこの休みの間には達成出来ない内容となっていた
とりあえず俺達はDランクの魔物を求めて森を回っていた
数日回って18体と、ここに来て足止めされる
そして年末になり今年も年始の祝賀会はギルドを上げてのお祝いとなった、その場で黒狼達へ今までの感謝と昇格のお祝いを兼ねて王都で見繕った武具をプレゼントした
ゲーリッツにはミスリルの槍
ディアーナにはミスリルの短剣と防具
クライムにはグルガール施設の触媒などが置かれた部屋に有った火属性の魔石を使って作った杖
ハンスにはミスリルの盾
アリアにはミスリルの双剣
黒狼達はめちゃくちゃ喜んでくれた
「本当なら命を助けられた俺達がラインハルト達へ何か贈るのが当たり前なんだが、黒狼が貰ってばかりで悪いな」
「ディアーナだけ、2つ」
などと多分喜んでくれている・・よね、アリアも双剣だから2つだよ?
『俺やアーデルハルトが世話になった分もあるし、大きな声じゃ言えないけど、例の事件の時も迷惑をかけたし、魔導具の件で儲かったしね』
そう言えばバーネット先生にはきちんとお金を返してある、俺達の転移事件でギルドへ依頼を出して貰った際のお金の事だ少し迷惑料を乗せて返したよ
そうこうしてると今年もリブムント公爵が姿を見せた、そしてその場で俺達〈城壁〉が卒業後このリブムントを拠点に活動する事も伝えられると
その場にいる冒険者達も「新たな冒険者仲間に乾杯!」と喜んでくれている
まぁ、リブムント公爵には
「リブムント領軍に入ってくれたら尚良かったのだがな」
などと言われたが、そこは笑顔でスルーしておいた
祝賀会も終わり、次の日から俺達は森の奥や山岳部付近まで、野営をしながら魔物を狩りまくった
その結果、1月20日にはDランク100体を達成した、後は護衛依頼だ
学園が始まるから戻らなければならないが、そんな事を考えていると2日後出発で王都までの護衛依頼が出ていた
もちろん受ける、依頼主は王都の商人で予定よりリブムント滞在が伸びてしまい来た時の冒険者達は別の場所へ移動してしまったらしく、新たに冒険者を探していた
しかも、素晴らしきご都合主義の様な展開で、その商人とはユールゲンと言う、フェリックスの実家で番頭を努める人物であった
ユールゲンさんと会う為、彼の宿泊している宿へ出向くとフェリックスを見るなり
「坊っちゃま!」
そう来ましたか、俺達(フェリックスを除く)が笑いを堪えていると
「ユールゲン、いい加減坊っちゃまはやめろと言ってるだろう」
フェリックスが真っ赤になって怒っている
怒られた番頭さんは頭を掻きながら謝っている
必ず次も言うだろうと俺達は思っているが、ここは話を進めたい
そこでユールゲンさんに俺達が護衛の依頼を受けたいと申し出ると
「坊っちゃまに護衛なんてしてもらったら、私は王都の店を追い出されますよ」
と速攻でフラグを回収してきた
フェリックスは怒るのを諦め、俺達の状況を説明する、そして今は商家の長男では無く、イチ冒険者として活動してる事を伝えると、知らない冒険者に護衛されるよりは良いか、とユールゲンさんも了承してくれた
出発の前日、フェリックスが俺にユールゲンの前でアイテムボックスを使うのか?と尋ねてきた
俺は確かに!と思い少し考えたがフェリックスの家だし構わないだろうと返事をした
もうすでに俺はアイテムボックス無しの長距離移動など考えられなくなっていたのだ
フェリックスはなら容量は絶対に明かすな、商人からの依頼でとんでも無い距離の護衛依頼がひっきりなしに来る事になるぞとアドバイスをくれる
リブムントから王都までは野営する事無く行ける
なのでテントなどは持って無い事にして、着替えなどの荷物だけアイテムボックスへ収納してある事にした
当日ユールゲンさんは俺達の格好を見て、即座に荷物が少な過ぎるとフェリックスに聞いてきた
フェリックスが俺のアイテムボックスへ収納してある事を伝えると彼は目を見開いて驚き、どれほどの収納が出来るのかを尋ねてきた
俺が『手荷物が少し入るだけの小さなモノですよ』と言うと、まだ荷物は入るか聞いてくる
もうほとんどスペースは無いと言っても、ではこれだけでも収納して欲しいと小さな箱を出す
それは南方の国から運ばれた真珠だった
10センチ四方の箱に真珠が綿に包まれて5個入っていた
貴重な物だからと再度お願いされ
俺は仕方なくアイテムボックスへ収納すると、フェリックスがそれは依頼内容には無い案件なので別料金だとユールゲンさんに言う
ユールゲンさんは少し考え、フェリックスが提示した大銀貨一枚を追加で払うと言う事で話がまとまった
別にそれぐらいサービスで良いけど、とは言わなかった、これもフェリックスから絶対にアイテムボックスの使用は別料金をとれと、そして基本的には断れと言われていた、今回はフェリックスが交渉するが今後は俺が事前に交渉して断っておくべきだと、散々言われたからな
万一を考えれば、商人からしたらアイテムボックス内の俺達の荷物を馬車に乗せ、自分の商品や金をアイテムボックスに収納する事を提案して来る者が必ず来る
その時に無料で了承すればハイエナの様に集って来るぞと脅されている
なので今回はフェリックスの実家だから特別に了承したと言ってある
しかしこの手の話は広まるものである
王都に帰り暫くすると俺達への指名依頼が山の様に来たのだ・・・
「どうするの?この依頼の数」
エミリーは呆れながら聞いて来るが
俺だってどうすればいいのか教えて欲しいよ
読んで頂きありがとうございます




