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第6話 慈悲なき天使 〜1〜

  「しかし、この辺はまだモンスターも弱いなぁ…。まだレベル13って…。」

  「きゃぁぁぁあ!!」

  「ッ!?悲鳴?」

  瞬時に聞こえた方向へ走り出した。そこには低レベルモンスターゴブリンの群れに囲まれた中級プレイヤーと見られる女性が顔を青ざめながら戦っていた。

  「大丈夫ですか!?」

  「あ、ありがとうございます!」

 

  ゴブリンの群れを倒した俺は彼女と暫く話をした。

  「…でも、なんでゴブリンなんかに?」

  「お恥ずかしい話、私魔力が切れてしまい…。魔法使い系統の職なので魔力が底を尽いてしまいますと、ただの人になってしまうのです…。」

  「なるほど。そうだったのですね。」

  「この先のマキア王国に向かいたかったのですが…あそこの国境を超えますとモンスターも格段と強くなります。私はひとまずサルヴァナに戻り魔力の回復を待つしかないですね…。」

  「…でしたら!僕とマキア王国に行きませんか!?僕もマキア王国に用があるので!」

  「いいんでしょうか?私…魔力無いのでただのお荷物ですが…。」

  「大丈夫ですよ!多分僕強いので!」

  「ありがとうございます!お言葉に甘えます。」

  「それじゃあ行きましょうか!」

  こうして2人はマキア王国に向かうことになった。

  彼女の名前はエリナ。彼女は5ヶ月程前からこのゲームを遊んでおり、マキア王国へは友達に会いに行くのだそう。

  「それにしても、シンさんは本当にお強いのですね!レベルなんかは私よりも下なのに…。」

  「あはは!スキルのお陰なんですよー。」

  しかしゲームの中とはいえ、とても容姿の整った人だ。綺麗な髪に大きな瞳、そして、なんと言っても!このボンキュッボンの神スタイル!このゲームでの容姿は現実とほぼ同じである。システム上現実と異なってしまうと挙動がバグを起こしてしまうためである。

  「…最高だ…。」

  「へ?」

  「あ!い、いやいや!なんでもないです!あはは!」

  「シンさんシンさん!見えてきましたよ!!」

  「おぉ!でっかいなぁ!」

  「本当ですね!」

  子供のように無邪気にはしゃぐ彼女が揺らした胸に僕は見とれてしまった。

  「…デカいなぁ。」


  マキア王国では闘技大会が開催されることもありサルヴァナとは比較にならない程に栄えている。

  「見てくださいシンさん!このポーション品質が良いですよ!!こっちのは解毒と麻痺直し…。凄いですね!」

  「なんて可愛らしいのか。」

  ええ!素晴らしい品ですね!

  「え?あ、あの…。」

  あれ?

  「あ!す、すみません!その、なんというかエリナさん凄く綺麗なお方なので、つい…。」

  僕としたことが、思ってることと言おうとしたことを逆に言ってしまうなんて……。

  「あ、ありがとうございます。嬉しいです!」

  「そ、そんなことよりも、エリナさん友達に会われるのでは?」

  「あっ!そうでした!………宜しければ、シンさんもどうです?」

  「え?いいんですか?」

  「はい!友達にも報告したいんです!新しいお友達が出来たこと!」

  友達。

  女性の友達だと!ととても嬉しかったし興奮した。

  「ありがとうエリナさん!うん!僕も行きます!」

  「やったぁ!では行きましょうか。この路地の向こうです!」


  「こっちです!…あっ!久しぶりー!」

  「…ッ?」

  大通りから少し離れた喫茶店に佇んでいたのはプレイヤーではなくNPCだったのだ。

  「…紹介がまだでしたね!彼女はセレン!私の友達です!」

  「こんにちは。セレンです。驚かれましたか?私はNPCですから。」

  「いや……えぇまぁ。」

  と、はにかんで見せた。

  「セレンはね!私がまだ始めたての頃、それこそ、シンさんみたいに助けてくれてそこから友達なんです!」

  「うふふ…そんなこともありましたね。」

  NPCがプレイヤーを救った?そんなこともあるのか。

  「あ、あの、失礼な質問なのは承知で伺いますが、セレンさんのようにNPCの方がモンスターと戦われる事はよくある事なのですか?」

  「えぇ良くあることです。私達もこの世界では貴方達と同じようなものなのです。」

  「そうだったのですね…。すみませんでした。」

  「お気になさらず。私達は嬉しいのですよ。」

  彼女は暖かい顔でそう言った。

  「嬉しい?」

  「えぇ…。あなた方がこの世界に存在してくれるおかげで私達もこうして生を実感出来ているのです。」

  「セレンは私と、そうした垣根なく接してくれるのですよ。」

  「いい友達ですね。」

  彼女達は見つめ合い笑いあった。そこには種族を超えた絆が見えた。

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