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第5話 決闘

  「ウラァ!!」

  ハルクは手にした両手斧を振り回し突進攻撃を仕掛けてきた。

  「…な!?はっや!」

  重量感のある両手斧を振り回してるとは思えない程のスイングスピードに思わず仰け反ってしまった。

  「ハッハッハッ!どうしたひよっこ!伝説級の力見せてくれや!オラァ!」

  辛うじて躱せてはいるものの、一撃でも当たれば痛いじゃ済まないだろう。ここは一旦、後方に引いて…

  「隙ありッ!!」

  ハルクは相手が距離を取ると読み、間合いを詰め立て直す隙を与えなかった。

  「ウラァ!!!」

  【ハルク・上級発動 "横一文字斬り"】


 ブンッ!


「し、しまった!」

  音を置き去りにした斧の攻撃を避けることは出来ず、左脇腹に鋭い衝撃が走った。

  「うぐッ!!!」

  が、HPは一割程しか減っていないのだ。

  「ウッソ!今の結構本気の一撃なんだが…ハハ。」

  反逆者により高められたのは攻撃力だけではない。HP、防御力等耐久面においてもまさに伝説級の強さを見せつけた。

  「…ったく!認めるぜ!ひよっこなんて言って悪かったな!…シン、俺も出し惜しみはなしだ…。」

  そう言い放ち、ハルクは詠唱を始めた。

  「鎖よ我に加護を与えよ。鎖よ我に祝福を与えよ。鎖よ我に勝利を与えよ。……鎖よ!対象者シンを拘束するのだッ!!"白鎖捕縛はくさほばく"ッ!!」

  【ハルク・ 超級レアスキル発動 白鎖捕縛】


  シュンシュン ビシッ!


  ハルクの詠唱が終わると同時に地面から無数の白い鎖がシン目掛けて襲いかかってきたのだ。

  「くっそ!」

  決闘中は如何なる場所においても直径30メートルより外からの干渉を遮る特殊な膜が広がる。ただし外から中の様子を伺う事はできるのだ。

  「お、おい!あれ"白鎖のハルク"じゃねぇか!」

  と、一人の中級プレイヤーが足を止め他3名も足を止めた。

  「と、やり合ってるのは…知らねぇやつだな…。」

  「白鎖捕縛か〜!俺も闘技大会であのスキルにやられたんだよなぁ…。」

  「俺もだ!あの拘束状態からの斧の重たい一撃はハルクの得意技だからなぁ!」

 

  「シンッ!間違いなくお前は強い!強くなってからまた来い!いつでも相手になってやるぞ!!」

  ハルクがトドメを刺しに歩き出したその瞬間。

  バキィッっと音がしたと思えば、シンを拘束していた白い鎖は、砕かれたドライフラワーの様に散り散りになり消滅した。

  「…は?なんだと!」

  「拘束状態は状態異常になるんだなぁ!知らなかったよ!」

  そう言うとハルクの後ろに音もなく回り込み、下腹部に拳を叩き込んだ。

  「ガハッ!!!先刻よりも数倍速く!」

  拳はハルクの装備した鋼鉄製の鎧をも貫通し、ハルクを吹き飛ばしたのだ。

  「グハッ…!!」

 

  【ハルク・ステータス状態 瀕死】


  【決闘を終了します 勝者 シン】


  「う、嘘だろ…。ハルクが負けた…?」

  「あいつ、ランキング3位だろ!?」

  「あのプレイヤー何者なんだ…!」

  この事はプレイヤーの間に瞬く間に広まった。ランキング3位が見ず知らずのプレイヤーに決闘で敗北した。と。


  「いや〜!完敗だ!まさかここまで強いとはな!シン!」

  「いや!ハルクさんこそ!白い鎖に拘束された時は本当に焦りましたよ!」

  「よく言うぜ!俺を軽く吹き飛ばしてくれてよ〜!これでも俺ランカーの中じゃ耐久力だけは高い方なんだぜ…。」

  「え…?」

  確信した。

  僕、最強かもしれない!


  「っていうかよぉ!勝負はついたんだし、スキル構成教えてくれねぇか?一発でやられたことなんか無いんだよ俺!」

  そう頼まれたので、スキルの能力を事細かに教えた。

  「…えぇ?3つとも永続スキルなの…?」

  「あはは…。」

  「本当に化け物スキルだなぁ…。こんなバケモンが闘技大会になんか出たら、注目の的だろうな…。」

  「ん?なんです?その闘技大会って。」

  「あ、あぁ、闘技大会っつーのはな、プレイヤーだけの大会なんだ。ルールは決闘方式を採用していて優勝者には豪華な報酬もあるんだよ!俺も二回は優勝してるぜ!優勝報酬は毎度変わってるけど、大体は通常じゃ手に入らない超絶レアもんなんだよ。」

  「へぇ〜。そんなのもあるんですね。」

  「次の優勝報酬は確か…モンスターを使役できる指輪?だったか…」

  「どこでいつ開催されるんですかッ!!」

  「す、すげぇ食いつくね…。」

  昔から動物が好きだった。しかし、不幸体質により動物を飼うことは諦めていた。それは、もし動物に自身の不幸が影響を及ぼしたらどうしようと思ったからである。しかし、ゲームではその心配はないはず!

  モンスターを使役できる指輪…。是が非でも欲しい!


  ハルクさんに開催日時、場所を教えてもらいその場で解散した。

  「今日はありがとうな!またお互い強くなって決闘しような!…あ、そうそう、フレンド登録しないか?」

  「フレンド登録?」

  「あぁ、フレンド登録をすればチャットでコミュニケーションも取れるし位置情報もわかる!とにかく便利なんだよ!」

  「分かりました!登録しましょう!」

  こうして、ハルクとフレンドになった。

  これが俺とハルクとの初めての出会いである。


  次の目的地は決まった。マキア王国。

  サルヴァナからは2日で着く距離。3日後の闘技大会に向け、足を進めた。

超級レアスキル 白鎖捕縛・・・獲得条件〈レアモンスター '絡み付くカットレス'の討伐〉

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