第2話 伝説級
上級 弱者・・・獲得条件〈最下位モンスターと戦闘し100回死亡する〉
超級 不屈・・・獲得条件〈同じ個体と2000回対戦する〉
伝説級 反逆者・・・獲得条件〈戦闘回数10000回以上であり死亡回数10000回以上であり与ダメージが0であること〉
10001回目の戦闘にして遂に宿敵、スライムの討伐に成功したのだ…。
「なんて嬉しいのか…これが勝利か!リアルでは何かしらの不幸が働いて勝てた試しがなかったからな!」
「なんだ?あのプレイヤー…。誰でも倒せるスライム倒して喜んでるぞ…?」
「知るか。ほら!行くぞ。」
「お、おう!」
そういえば…なんかスキル?手に入れてなかったか?
「あ、これか!…って!こ、これはぁぁぁあ!!
…分からん!」
だが、これでようやく先に進める。恐らく不幸体質はゲームにも影響してくる。これは最悪な事態ではあるが、僕にとっては、そんなことよりも"スライム"に勝った!この事実が嬉しい!たかがスライム!されどスライムだ!今まで僕はジャンケンでもドッヂボールでも徒競走でも勝てた試しがなかった!ゲームの中とは言え、こんなにも嬉しい事はない!
「しっかし、このスキルはどんな効果なんだろ…一つ、桁違いに強そうなのあるし…。まぁ分からないしとりあえず街に行くか!」
中央都市サルヴァナ。各国と繋がっており、各国の特産品などが集まる大都会。
「うぉーすっげぇー…プレイヤー多いなぁ!でもスポーン地点から一番近い街だしみんな初心者だろうけど。」
ていうかこのゲーム何するんだ?どうすれば全クリなんだろ。とりあえずブラブラ歩いてみよー…
「あぁ!スキル鑑定場!?なんてタイミングだ!行くしかねぇ!!」
「いらっしゃ〜い!本日はどのようなご用件かしら?」
あれ?お店だったからNPCかと思ったらこの人プレイヤーじゃないか。おっぱいでかいし。
NPCとプレイヤーの違いは、視点を注目した際にプレイヤー情報が表示されるかされないかだ。
「あれ?お姉さんもプレイヤーなんですか?」
「不思議?ウフフ 」
「いえ、てっきりお店だから…」
「なるほどね〜!私はレイラ、鑑定士って言う上位役職なの〜。だからぁ、この鑑定場で働いてるのぉ。これでも有名人なんだよ?ウフフ 私みたいに街でお店を出してる人も世界には沢山いるわ?」
「そうなんですか〜。あ、じゃあ僕のスキル鑑定してもらってもいいですか?」
「いいわよぉ〜!御新規様だし今回はタダでね♡」
「ありがとうございます!」
「じゃあいくわよ?」
そう言うとレイラさんの目が水晶玉のように光出した。
「…えーっと…"上級の弱者"と"超級の不屈"ね…凄い珍しいわねぇ。初心者がこんなの付けてるなんて。」
「強いスキルですか!?」
「…雑魚ね。」
「…ええええ!!!」
「まず弱者はねステータス100パーセントダウンの代わりに取得経験値2倍の効果。そして、不屈はステータス変動、状態異常の効果を受けると効果をかき消して全ステータスを100パーセントダウンする代わりに1度だけHPが0になる攻撃を1で耐える。」
「ええ…」
「しかも自動発動ねこれ。」
「ええええ!困りますよぉ!僕ずっと弱いまんまじゃないですか!これじゃあ!」
「私のせいじゃないわよぉ!…あれ?もう一つスキルがあるみたいよ。」
「あー確かにありましたね!でも、そんなことよりもこの弱スキルどうにかな…」
と言いかけた時レイラさんが慌てふためき始めたのだ。
「伝説級…!?こんなの…噂程度でしか聞いた事ないわ!!」
「え?」
「反逆者…自身にかけられてるあらゆる効果、ステータスを反転させ、さらに反転させた対象を…2倍にする!??」
噂程度って、もしかしてめちゃくちゃレアなのか?このスキル。でも。
「でも、そんな強そうなのあっても"弱者"あったら意味無いんじゃ?」
「…いえ、逆よ。おかしいと思った。初心者に"弱者"なんてスキル…。".弱者"の効果はステータス100パーセントダウン…これの反転は…」
「もしかして!」
「100パーセントアップよ…。いい?よく聞いて。」
「は、はい!」
「伝説級とはこのゲームにおける最上位のスキルの総称。伝説級は最初に取得した者以外取得することができないの。つまりその"反逆者"は貴方以外もう二度と取得するプレイヤーが現れないの。…そのスキルの価値がいくら初心者と言えど分かったかしら?」
「う、うん。」
「しっかし、すんごいルーキーが現れたものね!あなたには個人的に興味が出てきちゃった♡」
かくして俺は伝説級を所持する数少ないプレイヤーになったのだ。
とりあえずレベル上げをすることにした。"弱者"と"反逆者"の効果で取得経験値が二分の一になってしまったが、転職をするためにはレベルを10まで上げ、戦士を極めなければいけないとのことだったのだ。
「しっかし、こんなスキルどこで手に入れたんだ?取得条件がどーのって言われてたな。まぁ気が向いたらレイラさんに聞いてみるか。」
レイラさんはこの世界で有数の凄腕鑑定士らしく、上級までなら取得条件は把握しているらしい。
「…とりあえず。この辺りで一番レベル上げに向いているのは、あの'災いの樹海'か。まぁ、そんなに強いモンスターはいないでしょ!最初の街周辺だしね!」
災いの樹海にて。
「ひっ!…ぐっ!調子に乗ってしまった!レベル10の俺が推定レベル'50'のエリアなんかに来るんじゃなかった!!!ひっ…!うわぁぁぁ!」
バキバキ ブチュ
【ステータス状態 Dead】