5.皐月と提出物の係。
START
「枚川ぁ」
「んー?」
いつも通り、一番乗りで窓から弓道場を見ていた私こと枚川醒に、加賀野っちこと加賀野結が話しかけてきた。
「あれ書こー、宿泊学習の」
「あ、うん」
窓から離れ、いつもの加賀野っちの隣に座った。カバンから提出物のプリントを出し、スケッチブック等々をどかした。
もうすぐ、宿泊学習!
2年生になって初めての一大イベント!初日は工場見学とキャンプファイヤー、最終2日目はメインのカレー作り!でも提出物多いんだよねぇ。
そして、今回の提出物は、カレー作りの係を第1から第3候補まで書くものだった。
「えーと……第1候補は野菜係でー」
「え!?野菜!?」
「そ、そんな驚く?」
「だって、枚川手切るから」
「断定なんだ。えー、だってカレーだよ?メインだよ?これは、野菜係として参戦しないと」
「それ、ご飯係でもいいんじゃない?てか、宿泊学習のセットでご飯炊く方がなかなか無いし」
「………確かに!加賀野っち天才!」
「枚川が天然すぎるだけだから」
「そーれな!そういえば、加賀野っちは何やる」
カララ
と、ドアが開いて先輩後輩達が入ってきた。挨拶をし、加賀野っちに続きを聞いた。
「えーと、加賀野っちは何や」
カララ
と、ドアが開いて先輩後輩達が入ってきた。挨拶をし、もう一度加賀野っちに続きを聞いた。
「で。加賀野っちは何」
カララ
と、今度は同級生たちが入ってきた。挨拶をし
「……って、なんでこんなタイミング悪いの!?」
「うわあwww枚川、マンガ並に言えないねwww」
「笑わないでよー。で、何やるの?」
「んー、誘った側で悪いけど考え中www」
「……そっか」
はぁ……。
あ。ため息といえば。
宿泊学習スマホ禁止だからキャラクオ出来ないじゃん。我が王子、真田八江先輩も見れないじゃん。うわあ、ため息しか出ない。
「はぁ……しかも、真田先輩は2日間見れないのか……あ、でもゲームは次の日出来るし。元気出そう、私」
「枚ちゃん独り言?」
「うわあ、いとーちゃん」
「うわあ、は酷いな醒さん」
「ごめんしょーこっち。てか、いつの間に3人いたの」
「ついさっきだよー。あ、私もそれ書かないと」
と、私の前にいのちゃんこと飯野澄奈、隣にいとーちゃんこと伊藤彩燈、その前にしょーこっちこと芹田翔子が座った。
「ねーねー、みんな何係にするー?」
「何係って……醒さんの机のやつか?」
「うん。みんなの考えを参考にしよっかなーって」
「まだ考え中かなー。あ、枚川ちゃん。野菜係にしてないよね?」
「うん。さっき加賀野っちに言われてご飯係にした」
「そっか!これで安心して楽しめるね、枚ちゃん」
「あのー……そんな私って危なっかしいですか?」
「「「「うん!!!!」」」」
………そっか。
「まあ、危なっかしいとこも枚ちゃんのいいとこだって〜笑」
「そうそうwww」
「半笑いじゃん。あーあ。やっぱり野菜係諦められないかなー」
「あ、でも野菜って家でも切れるじゃん。それに、第1候補にする人多いと思うし、選ばない方がいいことばっかだよ」
「あ!いのちゃんの言う通りだ!じゃあ第2候補に書いても大丈夫!?」
「………まあ、大丈夫かも」
「やったあ!」
みんな心配そうに見てくるけど、気にしない。
「てか、その前に中間テストあること忘れるなよー」
「うわあそれ言わないでえ」
「そんなこと言っても、枚川どうせオール100点でしょ」
「うんうん。枚ちゃん頭いいし」
「さすがにそれはない。あ、てか顧問杯も提出すぐだよね?」
「それは6月だよー。あ、私書き終わったけど、枚川ちゃんと加賀野っちは?」
「私はおっけい」
「やっぱり家で考えよっかなー。もう絵の続き描きたい!」
「じゃあ皆!顧問杯の準備しよーう!」
「「「「おーーーー!!!!」」」」
いとーちゃんのかけ声で、私たちは楽しく顧問杯の準備をし始めた。
楽しみだなー、宿泊学習!
トゥービーコンティニュウ