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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

テンプレ死すべし慈悲はない

転移して八時間、死刑執行されました

作者: 脇野やく

倫理は文化によるものが大きく、時代と地域によって恐ろしく変わる。

中世の女性は不倫がバレただけでおぞましい死刑を受けたりするし、逆にフェミニズムが流行っている現代では不倫した男性が財産の殆どを失ったりする。

現代のアフリカでも一人の男が数人の女性と結婚できたりするし、逆にヨーロッパではそれで重罰を受ける。

異世界ともなれば性に対する認識や法律が地球と違ってしかるべきとすら言える。

なら異世界転移のテンプレをテンプレのままに、法律や倫理だけを変えるとどうなるのか?

それを考えてみた結果の一つがこの一日立たずして死刑となった男。

因みに他にも数パターンあるので、いずれは書くかもしれません。

今回は短めです、というよりもいろいろと略した。

もし面白ければ連載小説の方も見てくださると嬉しいです、

それでは本編をどうぞ~

とある男の話をしましょう。もしも異世界転移最速の死刑というチャレンジがあれば、彼は間違いなく優勝候補の一人である。


男の名前は戸有音駒(とあるおとこ)、勿論プライバシー保護のために偽名です。

音駒はゲーム脳とラノベ脳の合わせた様な頭をしている。強いて言うならそう、ファンタジー脳とでも言おう。まあ、ともかくそういう残念な頭をしている馬鹿であり、全く持って現実と幻想の区別がついていないやつである。

毎日幻想にどっぷりハマって自分に異世界の嫁がいると思い込んでいる異常者であり、コキコキと毎日その俺が思う理想の嫁(なお、毎日姿や性格、時には性別すら変わる模様)に対して自宅発電に勤しむ魔法使い候補である彼は紛れもなく社会不適合者であろう。因みにそのせいでいろいろと体の栄養が足りていないからか、痩せ過ぎるほどの体型をしている。

そんな彼は予定調合が如く急死を遂げてみせた。理由は自宅発電の衝動を抑えきれず、一晩ぶっ通しマラソンでいろいろと出しすぎたせいで過労(?)死。


だが天とは実に不公平なものである。社会のために日々働いて過労死したものが数多くいるのに、何故かこんな情けない死に方をした馬鹿のこいつの方が転生の機会を得たのであった。


「こ、ここは」

何故か真っ白なシロすぎるテンプレのあの部屋に気が付いたらいる音駒、一瞬だけ混乱したものの、ラノベ脳の彼はすぐにその顔を喜びの色で染める。

(お、落ち着け、俺、ま、まだそうだとは決まっていないだろ?)

そう自分に言い聞かせている彼だが、その顔のニヤつき具合はますますひどくなっていく。

「ほっほっほ、ここは主の思っている通りのところじゃぞい」

「あ、あなたはまさか!」

「そうじゃ、わしこそが神じゃぞ!」

テンプレの心を読めるお爺さん神、うん、テンプレ過ぎるのであとの展開はもう略しよう。


ともかくテンプレの展開が続き。ドジで殺したお詫びでいせてん、なんかすごいスキル、なんかすごい成長率、なんかすごい鑑定とか相手のスキルを奪えたりとか、無限の容量の時間停止つきインベントリとかそういうのを揃えた音駒がなんかもうテンプレの地面から大穴を開けられて落ちてという形で転生を果たすのであった。

流石に最初からステータス無限とかは無理だったが同レベルの者の五倍のステータスを得た俺はもうチートで俺TUEEEEEで約束された勝利の人生を手に入れたようなものだとそれはもう心の中で限界オタクそのものである謎の叫びを繰り返して意識を失う音駒である。


目が覚めるとそこは森の中だった。ここまでテンプレに倣わなくともいいだろうと心の中で文句を言う音駒。

テンプレの如く能力を試していると、テンプレの如く女の子の助けを求める声が聞こえ、テンプレの如く何故か本来なら声の方向を完全に正しく判断するのは難しい筈の森の中を偏差なく一直線で駆け抜けれる音駒。少しでも試した事がある者ならわかると思うがホントの森というのは歩くことすらもとっても疲れるし、走るとか身体能力の高い軍人さんですら数週間の訓練を要するのになぜか走れる音駒。

そしてテンプレの如く何故か普通に弱いゴブリンにすら勝てない女の子がどうしてか一人で森のなかにいて、それも何故か森深くにだ。どう考えてもこんなに弱いならここまで来る前にはすでにゴブリンにくっころされている筈だろうと突っ込むなかれ、ご都合主義である。

そして例のごとく何故どう見ても血の匂いだけでも動けなくなる筈の元一般市民が迷いなくはじめての戦いを繰り広げ、普通に弱い冒険者でもこなせる戦いをみて何故かホの字になるヒロイン。因みに名付けるのも面倒いから名前はヒロインでいいや。(メタい)

突っ込みどころ満載でもうどこから突っ込めばいいのか分からんようなテンプレの物語だが、まあ、ご都合主義だ。

転生からここまでかかった時間、たった十分である。即落ち2コマの現実バージョン。


さて、なぜか森から街までたっぷり二時間かかったが、それはさておき、今音駒はヒロインの案内によって宿屋を見つけて、ヒロイン払いで一晩部屋を借りた。ラノベ脳の音駒は勿論テンプレの展開としてヒロインが自分に惚れ惚れなことをわかっており、ドキドキしながらヒロインを部屋に連れ込んだ。

裏山けしからんの展開はもう略しても読者の皆さんなら頭で補足できるでしょうからスキップスキップ~


お楽しみの時間、実に二時間、ヒロインはこう言い出した

「あのね、お母さんにも紹介したいから、うちに来ない?」

思えばこれこそが音駒の死の始まりであった。(メタい話として、こういう伏線、作者は嫌いだったりする。というか音駒の死因ってもうとっくにあるしね)

ドキドキしてヒロインの家へ行く音駒は気づかない、その先は地獄だと言うことに


「私の娘になんて、なんてことを!」

病でベッドに伏せているテンプレのヒロインの母によるこの物語はじめてのテンプレじゃないセリフ。

「え、え?」

「お母さん、何を言っているの?この方は私をt「どうした!ヒロインの母!」」同じく面倒いかr(以下略)

「あなた!あなた!ヒロインが!ヒロインが!」

入ってきたヒロインの親父、ヒロインの顔と音駒を見て数瞬考えて、察する。

「まさか!テメエ!うちの娘になんてことを!クソが!衛兵さん!」

そして衛兵を呼びに走り出す親父。


更に二時間後、冒険者ギルドの裁判の元、音駒の死刑が宣言された。罪名は強姦と身分詐欺。

翌日零時を持って串刺し刑を執行され、苦しむこと3日でようやく死ねた音駒、彼の顔には絶望と呪い、苦しみと祈りなど様々な感情が浮かんでいる。


この国では冒険者の先輩が始めに後輩に教えることとして、「助けた奴と寝るな、最低限でも二十四時間内は絶対にだ、じゃないと引っ捕らえられても知らねえからな」というのがある。

これは二百年前、助けた一般人に性的行為を強要する冒険者が次々と湧いてきて、更には言い訳として「助けた後は相手の方が自分の英姿に惚れて迫ってきたのに、熱が冷めたら手のひら返しされて訴えられただけ、嘘をついているのは相手だ」と

証拠を集めさせるにもこういうのは意外にも難しく、当時の国王は女性であったのもあり、助けてから二十四時間内で発生した性行為なら訴えられた場合に限って冒険者の有罪前提とする、という法が出来上がった。勿論当時は反論も大きかったが、それも今となればもはや習慣となって誰も従うようになった。訴えられなければ良いと勘違いした馬鹿もあったが、この国の法によって被害者の親族でも訴える権利はあるので、やがては相手を信じてもその家族は、ということで二十四時間内は絶対にだめと誰も従う。

そしてそれが逆に一般理論に反作用して、いつしか助けたからと二十四時間内でそんな行為をするのは不道徳であり、ひどいことという扱いだ。

その倫理観の変化によってこう言うことに対する風当たりが強く、地球で中世の女性の不倫に対して時に死刑になるのと同じく、かなり重い罰となり、時には死刑。


そして身分詐欺はというと彼がギルドに登録していなかったのに冒険者と名乗ったせいだ。ギルドはメンバーの権利を保証する機構である以上、登録にはちゃんとした審査とそれなりの年金を払う必要がある。登録すれば様々な特権を得られるが、逆に言えば登録していない者がそう名乗るのに対してとても厳しい。地球で言うと軍人と身分を偽るのは商人と偽るよりも遥かに重い罰が降りるのと同じだ。ギルドのメンツもあってやっぱり重い罰となり、時には死刑。


死刑になりかねない罪が2つ、ともなれば死刑は決定。そしてアイテムボックスという危険のスキル持ちは手錠とかが効かない上、不意打ちで逃げられたら困るとなればすぐに死刑執行したほうが良いのも当たり前の決断といえる。

そしてチートとはいえどレベル上げをまだしていない彼に抵抗できる力などなく、太いもんに貫かれたらアイテムボックスを使う余裕もない。絶望の中で死を待つ彼はやがては早く死なせてくれと祈るようになって死んだのであった。

そしてその死に様は見世物として扱われ、投げられた小銭はギルドによって「冒険者を偽る者の被害者への補償」 としてヒロイン一家に与えられた。その御蔭でヒロインの母の病気が直ったとさ。

ちなみにヒロインはというと出会ったばかりの男と寝る程の尻軽なだけあって、すぐに彼のことを忘れたとさ。


転移した時は16時、そして零時にはもう死刑執行。

これが転移して八時間で死刑執行された男の終わりだった。

吊り橋効果ですぐに性行為とか、実際のところ人の弱みに漬け込んでいると言えるよね

ましてやそれを言い訳として証拠の出せない犯罪を冒すとかはまじ最低。

この世界は魔法があるから女性の地位は平等とは言えなくともそれに近く、だから男性の性犯罪に対してもかなり厳しい。

そして冒険者だがガードを落としたとか、冒険者だが登録していないとかって実際のところ詐欺です。反論は認めません。冒険者と偽って悪行を繰り返して冒険者の名誉を落とされたら不利益をかぶるのはすべての冒険者、だからギルドの勢力が強ければ強いほどそういうのに対して厳しい。

この世界の冒険者ギルドもまたテンプレの国家以上の超巨大組織ですので、彼らの私刑で人を殺しても文句を言えない。ましてや犯罪者に厳しい、人の命が軽いというテンプレまであるのだし、ね。


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[一言] 野暮なツッコミかもしれませんが、あとがきについてです。 >この世界は魔法があるから女性の地位は平等とは言えなくともそれに近く、だから男性の性犯罪に対してもかなり厳しい。  現代で男性の性犯…
[良い点] キャラクターの固有名が少ないので、 いちいちキャラを記憶しないでも読み進められた [気になる点] テンプレ連呼でテンプレであることが、 すでに上級者向けな気がしてきた。 [一言] 冒険者さ…
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