ようこそ!
「やあ、君が例の新人クンだね」
「ボクは和田。ここの園長をしている者だよ……って、面接の時にちらっと会ったから知ってるよね。あっはっはあ」
「え? なんで園長が一人で正面入り口の掃き掃除をしてるかって? あっはあ、だってここはお客様が来園して一番初めに目につくところだからね。ボクが自らお掃除して出迎える準備をするのさ」
「なんて、単にお掃除が好きなだけだったりしてね」
「さて、じゃあ事務所に向かいながら簡単に説明しようか」
「君も知っての通り、ここはただの動物園じゃあない」
「一昔前と比べたら一般的になってきたとは言え、ここの展示コーナーにいる皆はまだまだ未知な生態を持つものも多い。そんな彼らの研究や、傷ついた子たちの保護を目的としている――と言えば、やや大仰かもしれないけど、ボクとしては、皆に彼らのことをもっと知ってほしいっていうのが一番大きいんだけどね」
「君には今日からしばらくの間、研修として各展示エリアの担当者のサポートをしてもらおうと思ってる。だいたい1週間くらいで次の担当についてもらう予定だから、しっかりと彼らからノウハウを叩き込まれてくれ」
「ま、うちは種類も多いしその分スタッフも多いから、研修期間は丸1年くらいになっちゃうのかな。長い研修になるんだ、張り切りすぎないで当たってくれるといいな。その中で特に「この子!」って感じた仕事に来年から本格的についてもらうよ」
「ああ、そうだね。基本的にうちはスタッフの希望を第一に考えてるよ。この子の世話をメインでやりたいって思ったら、その通りにシフトを組むことにしているんだ。だってその方が君たちスタッフにも、彼らにとっても良いことだろうからね。まあ主担が休暇中は他の担当者がサポートしないといけないから、そこのところは勘弁してね」
「いやあ、それにしても今年は楽しくなりそうだ!」
「なんせ学芸員資格持ちで――幻獣生態学を専攻している子は珍しいからね!」
「君には大いに期待しているよ!」
「さて、ここが事務所だ」
「君は一体、どんな子に気に入られるのかな?」
「ようこそ! 北部幻獣研究所――通称『幻獣パーク』へ!」