第三話「病院って静かだよね」「静かだからギャグが捗るんやで」「え」
「貴方...本当に入院したのね」
「あ、有栖川。おはよー」
「今は昼よ。夕方っぽいけど」
「俺の頭はいつでも朝だ」
「頭もおかしいけど、身体もおかしいと思うんだけどね、私は」
至極真っ当な評価をしてため息をつきながら、俺の体をまじまじと見る。
すっごくどうでもいいことで脳震盪になったとはいえ、一応心配はしてくれてるようだ。優しい。
「ねぇ、貴方右腕はどうしたの?」
有栖川は俺の右腕の所在を言及してくる。
右腕は肩の部分からごっそり無くなってしまっていた。
「点滴ってあるやん」
「あるわね」
「あれ右腕にぶっさされたら、右腕が壊死した」
「壊死!?」
ベッドの下に転がっている点滴がぶっささっている右腕を有栖川が見つける。
ちなみに、俺の右肩から今も血が流れている。死ぬんじゃね?
「あ、やべ...意識が朦朧としてきたわ...」
「マジで言ってるの!?」
「あ、あとで...俺の分身に言っといてくれ...」
「え...な、なにを...」
俺は満を持して言った。
「俺が死んだらお前も死ぬからって...」
バタリという音がして有栖川が後ろを振り返ると、そこには死んだ俺の分身がいた。
そして本体の俺の方を見れば、そこには安らかな死に顔の俺が...
「......帰ろ」
そんな俺になんの悲しみも抱かずに有栖川は帰っていった。有栖川、俺に適応し過ぎじゃない?
「おはよーございます」
翌朝、俺は教室で挨拶して席に座った。