第二話「読んでみたいでしょ~?」「うんみた~い」「せ~の!」「あぁ^~キンキンの音ぉ~」
「んじゃ、俺は食べ終わったから行くわ」
「おう、じゃあな」
そう言って俺の分身は窓から飛んでどこかに行った。
え?どうやって飛んでいるかって?髪の毛をプロペラみたいに回している。人間ってすげー。
「あ、やべ。絡まった」
墜落したが。
「ねぇ、御旗君。ちょっといいかしら?」
その時、俺(本体)に話しかけてくる女子生徒が一人。
彼女は「有栖川零」。この2-Aのクラス委員長であり、この学園の生徒会長。
「今日から貴方を更生させるために、貴方の面倒を見ることになったから。よろしく」
「あぁ...よろしく?」
こんなことは生まれて初めてだからどう返せばいいか分からない。
とりあえず挨拶を返しておく。今、この世の人口の1%が死滅した気がする。
「とりあえずピザ食べる?」
「え、なんでいきなり...まぁ頂くわ」
なんとためらわずキンキンに冷えたピザを食べた。彼女はシリアスだと思っていたのだが。
そういえば、俺がピザを食っているときにチラチラ見てた気がする。観察してこうやって接した方がいいと気づいたのか。
「何このピザ...キンキンね」
「キンキンだろ」
「疑いようもなくキンキンよ」
「キンキンとしか言えないだろ」
「えぇ、キンキンだわ」
「キンキンだっただろ?」
「あ、本当。もうキンキンじゃないわ」
「でもすぐにキンキンになるだろ?」
「え、本当だ...キンキンになってる」
「キンキンだろ?」
「凄いキンキンだわ」
「キンキン度が違うだろ」
「えぇ、キンキン過ぎて頭がキンキンしてきたわ」
「もっと食べるともっとキンキンになるぞ」
「じゃあもっとキンキンになってみるわね」
「キンキンしてきたか?」
「キンキンしてきたわ」
「そういえばキンキンってなんだろうな」
「なんだかキンキンがゲシュタルト崩壊してきたわね」
「そろそろキンキンって言うのやめね?」
「なんだか先にキンキンをやめると負けた気がするわ」
「それでもそろそろキンキンやめよ―――」
「いやよ、キンキン言うのやめない。貴方が先にやめれば―――」
「あ、やべ、脳震盪したわ...」
「why!?」
ここで俺が脳震盪で倒れる。ここまでか...
「ちょ、何がどうなってるの!?」
「すまねぇ...俺はキンキンを24回聞くと、脳に障害が起きるんだ...」
「本当!?」
「よっこらせ...お邪魔します」
ここでさっきの俺の分身が壁をよじ登って窓から入ってくる。
「んじゃ、さよなら」
分身は俺(本体)を姫抱きして病院へ一直線で突っ込んでいった。
「......バカらし」
今頃、正気に戻った有栖川は帰り支度を始めるのだった。