第十五話「鬼ごっこしようぜ」「俺達二人しかいないんだが」「二人とも鬼でよくね?」「せやな」
「あれ...?ここは...」
天見は保健室で目を覚ました。いつもより柔らかいベッドが気持ちよさそうだ。
ちなみにここに俺はいない。だが分かる。俺には保健室の様子が分かる。
「天見さん、やっと起きたかしら...」
「あ、貴女は...?」
天見が見たのは、この学園の生徒会長、有栖川零だ。
「有栖川よ。知って入るだろうけど、はじめまして」
「は、はじめまして...」
「それで、あれ見て頂戴」
「え?」
天見が保健室の窓から見た光景は...
「はぁ...な、なんて強大な力を持ったやつだ...!」
「...無駄だ、俺の体に傷などつけられない」
荒れ果てた運動場とボロボロの俺と見知らぬ白髪の男が一人。
あと死体となったモブA~AGまでが倒れている。
「...なんですか、あれ」
「私も分からないけど、いきなりガチバトルし始めたのよ...御旗君は既に29回死んだけど」
「なんで何回も死ねるんですか...もしかして今までも死んでました?」
「一日三回ぐらいは」
「......」
絶句するしかない天見。最近、俺の対応に慣れてきた人が多くなってきた手合い、こういうリアクションしてくれる人が貴重だ。ありがとう。
「とりあえず行ってみましょう...」
「行くのね、分かったわ...」
移動する二人。
そして運動場。
「あ、あの先輩!何してるんですか!」
「そうよ、いい加減死にまくって無駄に死体増やすのやめたら?」
「あ、有栖川さん...何回も死んでるの見たことあるからって辛辣では...」
本当だよ。最初の驚きっぷりはどこに行ったんだよ。
「空に捨てて来たわ」
鍵括弧の外にまでツッコんでこないで。
「んなこと言ったって、そうはいかねぇんだよ...」
「ていうか、そいつは何なのよ」
有栖川が白髪男を指さす。決まってる...
「同類だ」