第十三話「本読んでるのが一番いいな」「今何してるの?」「蟹食ってる」「...」
ここは図書室。実は俺は文芸部だった。
静かに漫画を読んでいるのも俺の趣味だ。部誌を書く?知らん。
「先輩、今日もマンガ読んでるんですか?」
この黒髪ロングのメガネっ子は1-Bの「天見弐葉」だ。俺の後輩でもある。普通に美人。
「あぁ、お前も読むか?」
「今日はいいです。でも、先輩。たまには難しい本でも読んでみたらどうですか?」
「嫌だ」
「たまには」
「嫌だ」
「ちょっとだけ」
「嫌だ」
「少しだけ」
「嫌だ」
「読み聞かせてあげましょう」
「それならいいや」
「え」
「頼んだ」
「......はい」
顔が赤くなってしまった。恥ずかしいならやめりゃよかったのに。自分が言ったことは成し遂げねばならない。
「では、芥川龍之介...『河童・或阿呆の一―――」
「げぼばぁ!?!?」
「ああぁぁぁ!?先輩が吐血して死んだあああぁぁぁぁ!?」
な、なんて恐ろしい文章(?)なんだ...?こんなものがあったなんて...。
「ん、きついな」
そして俺は本棚と本棚の隙間から出てきた。
「せ、先輩...今のは...」
「あれ、天見って俺が死んだの初めてだったっけ...あ、言っとくとな」
とりあえず重要そうなことを先に言っておく。
「あと5秒後にここに雷落ちるから」
「え」
そして落ちてきた雷。
学校は一発で停電した。
「え、えぇぇぇ!?」
そういえば天見のような反応はあんまり見てないな。役得とはこのことだったのか。