あとがき
『広寒宮』と『Pascha』を補完するだけの内容だったはずがこんなことになるなんて。
きっと語り手とその同僚を
『三村敦宏に関わった事の有る、消息不明の元サッカー日本代表』にしてしまったのが悪手だったんでしょうね。
今回は登場人物の殆どが存命人物モデルなので慎重に解説します。
まず、語り手である『上田善治』氏について。
『残夢』の語り手はピラッツ関係者の方にしたかったんです。
(ラスト近辺の『鳥籠』云々を言わせたかったのでね)
上田氏は元々がかなりミステリアスな方で、口数は少ないけれど一度口を開けばチームの雰囲気が変わる…そんな選手だったらしいです。
そしてピラッツ退団後には引退発表も無しで消息不明。
ピラッツの強化部になったという噂がありますが真偽不明。
日本代表にまで上り詰めた選手がこんな風に(恐らく自らの意思で)サッカー界から消え去る。
何かしらの理由があってサッカーから離れたのではないかなと思ってうちの創作シリーズに繋げた結果が是です。
写真を見る限りかなり線が細い印象(正直一般的なサッカー選手とのイメージとはかけ離れている)だったので、
そういう感じの家に生まれた設定にしました。
もう一人の行方不明者『見附涼次』氏について。
上田氏がピラッツで十数年プレーできたのとは対照的に、見附氏はかなり『周囲』にサッカー人生を翻弄された印象があります。
はっきり言って上田氏の設定捏造より余程ヤバい領域に踏み込んでしまったのではと思いつつ、ラストで三村氏と桂花を再会させるきっかけとしました。
何だかんだ言って後輩である三村氏の事は気にかけているようです。
『Pascha』では書ききれなかった『三村敦宏』氏のベルデ移籍から引退試合までの経緯については、時系列が前後しつつも何とか書ききりました。
この話自体が入れ子構造みたいだからなー。
東日本大震災時に三村氏ご本人がとられた行動が私にとっての決定打となりました。
私はもう一生この人を支持します。
桂花は見附氏とは同僚ですが、上田氏とは滅多に顔を合わせた事がないそうです。
都内に彼等夫婦の子孫が居て彼等は既に組織の庇護下に入っているけれど、根っこが武人の桂花は嫁が眠り姫やっている時は進んで戦場に出たりします。
勿論嫁が目覚めたら3年間ずっとイチャイチャしています。
タオは…うん、名前は出てないけどキャラとしては出たって感じだね。
この作品のタイトルである『残夢』ですが。
実は、戦国時代に実在した怪僧からとりました。偽名ですらありません。
源平合戦の語りが得意であった事から、源義経の部下であり、不死伝説のある常陸坊海尊ではないかという噂もあったそうです。
常陸坊海尊については東北地方を中心に各地に伝承があり、私の地元の戦国大名やその子孫の藩主にも会ったという伝説があります。
…はい、冒頭の流人は作者の故郷の人間です。
例のお家騒動は多分、江戸時代の大名家のお家騒動では一、二を争う程有名ではないでしょうか。
歌舞伎にもなっています。
流人さんは一般的に『悪の親玉』的な扱いをされていますが、最近では『藩内の中央集権化に失敗した』という評価が強くなっています。
彼が海尊に会ったという話は何処にもありませんが、父親や藩主が会っているという事は彼にも会っているかも知れないという事で。
私事ですが日本史ではこの人あたりの時代が一番好きです。
大坂の陣終結~綱吉将軍就任あたりまで。
島原の乱とか由比正雪の乱とか本当に好きなんだよ。
地元の藩のお家騒動とか糞萌えの塊なんだよ!!
この作品群は、もうちょっと設定を固めたいです。
それでは、ここまで全て読んで下さった方に、この場を借りて御礼申し上げます。
2017/09/15イヌワシの雛