星間戦争の世界(プロローグ)
世の中は宇宙時代を、さらに先へとすすみ
「多惑星間時代」。
ようはこの時代の国家は、複数の惑星と星系で構成される宇宙規模の超巨大領域国家。
そんな時代の町並みは、未来だからといって、長いポールの先にバレーボールがついてるような、なーんて建物が並んでいるなんてことはない。
現代人から見ても、一見するだけでは町並みはごく普通。
過去の人々が、タイムトラベルしてこれば、
「なーんだ。これが未来か。思ったほどでもない」
だなんてガッカリするだろう。
だがよく見てみると少し違う。
目に映る風景は、和洋中からあらゆる人類の文化を色濃く残す家々が雑居している場所もあれば、なんとなく統一感のある町並みとなっている場所など様々。
人々の服装から町並みまで、集団入植した人々の文化ルーツによって、地域の個性が決定づけられる。
それが多惑星間時代の街の風景。
つまり「欧米っぽい」ところもあれば「東アジアっぽい」ところもあり、「中東っぽい」とこもろもあるし、「南アジアっぽい」場所もある。
例えば日本なんて国があったらしいが、その日本を文化ルーツに入植地域は「瓦」なんてものが屋根にのっている、なんてこともない。そんな地域の家々には、畳というものがしいてあって、紙と木でできた「ふすま」や「障子」で仕切られた部屋が一室あるぐらいだ。
そもそも一般人からすれば、「ルーツ中国」と「ルーツ日本」違いは「なに?」となれば、これはむずかしい。
それぞれのルーツをもつ本人たちの
『何となく違う』
という認識と、学者先生のご高説に任せるしかない。
そんな何となく違う文化ルーツの色を出しながら、都市部は近代的なビルが立ち並び、郊外には農地、もしく住宅地が広がる。そうした地球時代の人々も見慣れた風景が広がっているというのが、はるか未来の地上の町並みだった。
そう。はるか未来なんだから「地中」や、「高山」、はては「海中」に住んでいるはず、なんてこともない。
何でわざわざ宇宙開拓までして住める惑星を見つけたのか。
――地中や高山、海中。
こんなところに家を建てるのは労力が大きすぎる。
人間が最も簡単に、安全で丈夫な家を立てやすいのは平地。
つぎに宇宙間航行のために莫大なインフラ投資をした宙域。つまり宇宙。
惑星への入植が計画的におこなわれるのだから、都市計画も安全第一。
地表の居住適切地域に枯渇すれば、宇宙に浮かぶコロニーを増やすか、新しい入植惑星を探すだけだ。
この物語は、そんな宇宙でのお話。
ここで時代錯誤な、わがままな皇帝陛下が、
「宇宙を統一したい」
といいだしたから大変。
星系軍のトップから国務大臣まで、陛下のために東奔西走。
いや、宇宙だから東奔西走は、おかしいか。なにせ宇宙は、上下左右がないのだから東西南北もありようがない。
年内には完結させます。最後までお付き合いいただけたならば至福のいたいりです。
この文章を読んでくれた方が、巷間の煩わしさを忘れ一瞬でも想像の世界へと旅立たのなら無上の喜びです。