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恋する氷華の星間戦争  作者: 遊観吟詠
破章十三、終戦編
124/126

14-(10) 国子僑と天儀

 天儀てんぎみかどへの拝謁はいえつの翌日、帝の側にひかえていた1人である国子僑こくしきょうに内々に話がしたいと申し込まれた。


 国子僑は長いまつげに女性が羨むほどの黒々とした直毛の美男子。寺中からグランダ議員になり、今は内務省にいる男だ。


 ――李紫龍りしりゅう雅味がみがあるが、この男の明朗とした美しさはそれ以上だな。

 というのが天儀へ、国子僑への印象。


 天儀は戦争再開にあたって、当初この国子僑を中軍の将として担ぎあげて戦争をするという妄想に近い構想を描いていた。結局それは、実行に移されることはなかったが、国子僑は国政の中枢を担い、国家の未来図を描ける人物。

 

 そんな国子僑が、自分と会いたいという。天儀に断る理由はない。


 国子僑は対面の場所にテンロン特区の料亭を指定してきた。


 料亭はグランダ議会の置かれる区画から目と鼻の先、企業の接待や商談、要人や政治家が利用するような店だ。

 

 ――議員殿らしい場所だな。

 と、天儀は思い定日、料亭へとおもむくと、そこには広い敷地に、大きな木造の門、中の建物も和式の木造で、一見するととても料理屋には見えない。豪邸といったところだ。


 元々は天京に入植が開始された当時の政治家の私邸だったものを、料亭として使っている。ということを天儀は、案内の女主人から聞かされた。


 建物の内は、落ち着いた雰囲気ではあるが高級感あふれる和風の作り。

 天儀からして、朝廷内とは違った場違い感がある。天儀は思わず物珍しさで目をせわしくしていた。


 天儀が案内された部屋にはいると、すでに国子僑がいた。


 対面して座る天儀と国子僑。

 

 最初は、他愛のない世間話から切り出してきた国子僑は、軍の今後について質問してきた。

 

 ――国子僑には駆け引きは通用しない。

 天儀が国子僑と少し話してわかったことがこれ。

 

 そして性格にねじまがったものがないと感じた。だが、相手は国政の中枢を担う政治家。甘さを見せれば刺されるという危険がある。

 

 天儀は、覚悟を決め、


「わかりました。忌憚なく所見を述べさせていただきます。先ずは軍の再編成をします。旧星間連合軍との統合がありますら」

 と、思い切って自身の考えを述べ出した。


 これに国子僑が、少し笑みを浮かべた。天儀には、この笑みの理由は分からないが、悪い気分にはならなかった。

 微笑を浮かべる国子僑が応じていう。


「なるほど。すでにその話は聞いています。3日前に李紫龍りしりゅう将軍から朝廷へ提案が上がっております。このことを言っているのでしょうか」


「それです。私も軍縮の必要性を感じており、紫龍の意見はすでに聞いております。帝からの内示さえ頂ければ大将軍府から軍縮を布告できます」


「そこで私が興味あるのは、具体的な軍規模です。艦隊数はどの程度と、お考えでしょうか?」

 天儀は、国子僑の問に、


「数ですか。これは数字のできる方と詰める必要がるとは思いますが」

 と、前置きをしてから


「グランダと星間連合を合わせて、どんなに多くても10艦隊以下」

 これに国子僑が少し驚きの色を見せた。


「その程度の数でよろしいのですか」


「思ったより少ないでしょうか?」

 

 この言葉に国子僑が、うなづくと天儀が続ける、


「旧星間連合9個艦隊と言っても内情は、旧式どころか廃艦寸前なのも並べていたのが実情で、軍縮を行い編成数を大幅に減らしたい。どうせ後から増えます。9個艦隊以下にしてしまえばいいと思います」

 

 天儀の随分いい加減な物言いに、国子僑は思わず口元が緩んでしまう。

 

 国子僑は、天儀と顔を合わせてからここまでの会話で、天儀へ憎めないものを感じていた。

 国子僑は、この男に駆け引きは必要なさそうだなと思い、


「私が思っていたより、大幅に少ないですね。因みに、内務省独自の試算では予算上、11個が限界で、ちょうどいいのが9個だ」

 と、素直に自分の考えを述べた。


 自らの意見を物腰柔らかくいった国子僑に、天儀がその意図を汲み取り、

 ――国子僑の目的は天儀の排除ではない。

 と判断しでき、思わず安堵の息を吐いた。


 極端な話、戦争が終われば武功輝かしい大将軍など邪魔だ。抹殺される可能性もある。

 天儀から当初あった心の硬さが抜けていくのを国子僑は感じた。


「どうされましたか。そんなに安心して。軍縮に反対する政治家は基本的にはいませんよ」


「実は、お呼び出しを受けた時に真意が読めなく」


「呼び出したなどと、天下の大将軍を」

 と、国子僑は笑った。


 天儀は、これに真剣な顔で応じ、


「人ほど恐ろしい物はないと思っております」

 と、断言した。

 

 国子僑は、天儀から見れば政界の巨人。若くして朝廷にも議会にもしっかりとした地歩を持つ。天儀の見立てでは、国子僑は近い将来国務大臣となるだろう。しかも法相の可能性が高い。天儀は、国子僑が法度に明るいということも軍をコントロールすることに向いていると見たのだ。

 

 天儀からすれば、そんな男からの誘いは、呼び出しととらえるべきで、辞を低くして、隙きを見せずにひたすら息を潜めるに限る。


 最悪想定を前提として妄想を進めれば、国子僑が、天儀を『不要、危険』と思えば、党派、派閥を持たない天儀など法令の玄妙さ間に消し飛ぶ。


 天儀が唯一頼むのは、

 ――みかどちょうのみ。


 天儀が全軍の長たり得たのは突き詰めれば、1人の男の個人的な信頼、政治的に見れば天儀の地歩ちほは極めて脆弱ぜいじゃくだった。


 ――微罪びざいで拘束され、軍内の不正の責任を取らされ実刑か。

 そんな想像は天儀からしてたやすい。


 グランダの7星系8惑星に展開する軍という組織は巨大だ。その中で不正がない、はずがない。大将軍は全軍の長であり、最高責任者、部下の不正も大将軍の罪に紐付ひもづけできる。


「部下が、そんな勝手をしていたなど知らない」

 など通らない、監督不行き届きでお終い。

 

 雑で、拙劣せつれつな想像ではあるが、国子僑なら可能だった

 国子僑が、かしこまる天儀へ柔らかい雰囲気を向ける。


「そうなのですか。星系軍を率いて艦隊決戦を行おうというものはそうそういませんよ。今まで誰も一度もやらなかったぐらいです。よほどの度胸です」


「人の心は読めません。故に恐ろしい。戦場を離れればただの盲人です」

 

 この天儀の言葉に、国子僑は真摯なものを感じつつも随分と謙遜するものだと思いそれを指摘する。


「まさか。人を知り己を知れば百戦危うからず。人の心が読めないと事はありますまい。星間戦争は、多惑星間国家による宇宙戦争。巨大な戦争です。人の心が見えなければ勝ちようがない。それに帝の前であれほど堂々と論じられる方はそうそういませんよ」


 国子僑が見るに、天儀は帝の心の中までかなり正確に忖度そんたくして、万事をはかっていた。故に星間戦争の再開で、故に大将軍に任命されのである。


「戦場を通して人を知るのです。生死において人は地が出ます。そうなると、軍人は平時においてもある意味常に生死の選択をしているようなものですからね。それに宇宙で甘い選択をすれば死にます」


「つまり軍内においては、人を知りやすいと」


「そのようなところです。帝とも戦争のお話でしたから」

 

 これに国子僑が、また微笑で応じ、杯を勧めた。天儀が杯を一気にあおると、国子僑もそれに応じ杯を空にした。

 

 若干の沈黙後、国子僑の方から、しかし将軍は、と前置き喋りだした。


「5星系、11惑星を版図に加えた、とも見れるわけですが、これ政治家の私から見れば羨望ものですよ」

 

 国子僑は、まず天儀を持ち上げ、合わせて敵意のないことを含んで切り出した。


 ――天儀の今後の志望しぼうが知りたい。

 国子僑の言葉の裏にはこれがある。


「政治家から見れば、領土拡大したという実績は、何よりわかりやすく有権者へ説明しやすい。領土拡大したというのはまさに垂涎すいぜんの業績。将軍は、よくなされましたな」


 政治家からすれば大きな実績とは、つまり国子僑は天儀へ、

 ――貴方は政治家へ転身しても、すでに有無を言わさない実績がありますよ。

 と暗にいったのだ。


 もう少し踏み込んだ解釈をすれば、国子僑は天儀へ政治家になる気はないのかと婉曲えんきょくに聞いたのだ。

 

 だが天儀は、


「加えることは、除くことにしかず」

 と、鋭く応じていた。


 ――無駄を省くことは、新たに制度を新設することに優る。

 これが、天儀が発した言葉の語意。政治の奥義の一つである。

 

 天儀が続ける。


「加えたのではありません。仮にグランダの版図はんとに5星系11惑星を書き込んだと定義するならば、除いたがゆえに、5星系11惑星が浮上してきたと見るべきです」

 

 国子僑のいったことの、

 ――加えた。

 という部分に天儀が強烈に反応をして正言を吐いていた。

 

 天儀から言葉に含まれた問の気づいてもらえず、鋭く応じられた国子僑に、婉曲にいった、

 ――政治家になりませんか?

 という問を無視された残念さはない。むしろ好感さえいだき、


「なるほど、星間戦争という問題を除いた。将軍はそうおっしゃりたいのですね。そして星間戦争という問題を解決したら5星系11惑星が手中あったというわけですか」

 と、嬉々として返していた。

 

「そうです。奪ったのではありません。除いたら結果そうなったのです。寸土すんどを目指して戦えば、勝つのは難しかったでしょう。ただ戦争を終わらすという一事のみに徹したのです。戦争を終わらすことを一度の会戦に集約したともいえます」


 力強く応じる天儀に、国子僑が笑声をあげた。なんと痛快な応じかたであろうか。

 天儀は5星系11惑星を寸土と切って捨てたのだ。


「大きなことを申しました」

 

 天儀が、再びかしこまっていったが、国子僑はそれを微笑で受けると、天儀も柔らかさをだし、笑った。

 

 2人が対面した当初より、場に和んだ空気がでていた。


 しばらく歓談した後に、国子僑は、天儀には、先程婉曲に向けた問をはっきりしても問題ないと感じていた。


 問とは、政治家への志望があるかという問いだ。先程は、婉曲すぎて天儀にどかなかった。


 国子僑は、何度か顔を合わすのを重ねてから聞こうかとも考えたが、天儀の真っ直ぐで、飾らず慎ましい様子を見て、思い切って問いを口にすることにした。


「軍事において、今、大将軍は、その位だけでなく実績も貴顕の極みにある。これ以上登ろうとなさいますか」


「これ以上登るとなると、政治家ですか」

 

 国子僑がうなづく。


「よして下さい。政治家には向いていません」


「そうですか?」


 国子僑は、天儀の否定の言葉に少し残念そうにいった。


「軍の統合を発令するのが、大将軍府の最後の仕事です。軍統合の発令後に、大将軍の役目を解いて頂きます」


 この唐突な言葉に国子僑は驚いた。あくまで大将軍はあるものだと思っていた。政治家にならないなら大将軍のままだろうという漠然とした結論が国子僑にはあった。いや、悪くいえば天儀は最悪固執するとすら思っていた。


「解任は体裁がわるいでしょうか。でも朝廷のしきたり上、不祥事がない限り辞任は無理らしいのですが」


「いえ、私が驚いたのはそういう意味ではありません。わざわざ大将軍を辞めたいという人はそうはいません」


「統治上、軍が力を持ちすぎるのはよくない。今まで大将軍を拝命した方たちが、運良く賢良揃けんりょうぞろいだっただけで、大将軍はあまりに権能が強すぎます」


「なるほど、しかも各艦隊司令官は議会に解任権限がありますが、大将軍は議会が解任できませんからね」


 国子僑の指摘した解任権限は、近衛艦隊と呼ばれる帝に人事権のある第一艦隊も含まれる。ただもしそんなことをすれば議会と皇帝との深刻な対立になるし、今までそんなことはなかったが。


「そして、あくまで軍の統合を指導するのは議会です。後々その方がいいでしょう。軍の統合が先行し、共通の議会が間に合わなければ両国の議会で法案を通せば問題ないはずです」


 天儀はこともなげにいったが、それをするにはかなり強力に指導力を発揮する機関なりが必要である。

 

 国子僑は、天儀がそのようなことも含めて、大筋の方針を語っているのだろうと想像して、天儀の言葉にうなづいて返した。

 

 しかし――。

 と、国子僑は思う。一連の軍縮を語る天儀の口ぶりにはどうだ。大将軍だけでなく、いまにも軍人を辞めてしまいたいというような色が出ている。

 

 天儀の明け透けな態度に、国子僑は思わず苦笑。


「随分と辞めたそうですね」


「それを肯定できないのが今の私の立場です。勝ったから後は好きにしろと行きません。責任は果たす必要があります」


 この天儀の言葉を聞いて国子僑は、なるほどこの人は軍人も辞める気だなと察して寂しくなった。

 

 国子僑は天儀とは今日初めて会ったようなものなのに、随分と心の深いところが通じあった気がする。


 国子僑は、天儀の根底にある真心のようなものを感じていた。天儀も同様に国子僑にそれを感じたから忌憚ない意見をほぼ初対面の自分にぶつけてくれたのだろう。と、国子僑は感じた。

 

「でも大将軍を続けるにしても、辞めるにしても今後は、定期的に朝議でなければなりませんよ」

 

 天儀が、

 

「廷臣ですか?」

 と、いってから自身の希望を思い切って国子僑へ吐露した。


「朝議に出るのはともかく、時には朝廷の代表者として議会で演説して、政治家のような立場になるのはどうしても避けたい」

 

 なるほどやはり天儀の望みは引退かと国子僑は確信した。

 この問題は、廷臣で育った自分ならアドバイスが出来る。


「半年です。廷臣として朝議には出席して下さい。その後は休暇をもらう。この休暇は何度でも延長の申請ができます」

 

 天儀は、なるほどという顔をすると国子僑は付け加える。


「それでその問題は格好がつきます。自然に消えれます」


「それだけで、いいのですか?」


「帝がよほど望まれなければね。競争相手が減るんです。年次の予算策定の際に、廷臣たちは喜んで除籍してくれますよ」


 朝廷では年に一度独自の予算を組むが、この折に理由なく出席率の悪いものは、俸給の対象から外される。一度与えられた廷臣の身分は消えるかは法制度上定微妙だが、これで実質解雇されたような状態になる。


 いまは帝という1人の人間の気を引けば、栄達できるのだ。帝の視界に入る人間は少なければ少ないほどよい。


 覚えめでたい人物が、顔を出さなくなれば騒ぎ立てずに内心細く微笑みながら慣習通り俸給名簿から外すだけだ。

 

 国子僑の助言に、天儀が頭を下げて礼を言った

 その様子を眺めながら国子僑は、重要なことを口にする。

 

「あとは大将軍の今の思いを反映させる後任を探して下さい」


「後任ですか」


「正確には、今後のためにご紹介いただきたいといったところです。どの軍人で誰が信用できるかと私個人としても知っておきたい」


「なるほど、そのようなことなら目星はあります。惑星アミンに滞在中に、星間連合の軍部の資料を洗いざらい見てきました。優秀そうなのを見つけました」


 天儀のはっきりした回答を聞いた国子僑は、少し安心して、次にゆるい話題を口にする。


「これはとりとめのない話なのですが、仮に今後大きな戦争があり、強力に全軍を統括する人間が必要となった場合それは誰が適任でしょうか?」


 この国子僑の問に天儀が、


「大戦争ですか、それは考えていなかった」

 と黙り考えこむようにした。


 国子僑は、この天儀の態度を見て、

 

「なにこの問自体に大した意味はありませんよ。ですので失礼ながら予想を口にすることをお許し下さい。やはり李紫龍りしりゅうですか?」


 流麗な貴公子李紫龍は、中央での死闘と祖父の雪辱という話題も相まって戦後の英雄で一番の大人気。


 が、天儀は即座に反応し、


「紫龍は、だめです。彼は弱い。全軍を統括する立場になっても不幸になるだけです」

 と、断言した。

 

 思わぬ天儀の受け答えに、国子僑が天儀の目を見る。目は真剣だ。冗談をいったようには見えない。

 

 驚く国子僑へ、天儀は、


「紫龍に限らず強さというものは常に弱さを内包している。紫龍は特にその傾向が強い。彼が特筆して強いというなら、その強さは、それだけ深い弱さを持っている。いや、あれの強さはむしろ弱さの裏返しと言ってもいい。紫龍の強さほど危ういものはない」

 と、言葉の意味を補足したが、やはり国子僑には要領を得なかった。


 言葉を継いできた天儀の語気は強かったが、特に気分を害しているというふうでもなさそうだ。得意分野の話になったので、口調が強くなったのだろう。そしてより正確には軍事の話ではなく、戦いの話が得意と見た。


 国子僑は、なるほど天儀とはこういう男かと思い、天儀の心の深いところを見たような気がして悪い気はしなかった。気が合うと見られたのではっきり意見を述べられたと感じもした。

 

 国子僑が黙っているので天儀は取り繕うように、


「失礼。これは、他愛のない話なのについ真剣になってしまいました」

 と、いうとこれを国子僑が微笑して受け、

 

「いえ、そんなことはない。私には見えない話なので面白かった。なるほど強さの中にある弱さですか。面白いですね。確かに有能な人物にも苦手なことはあります」

 

 これに天儀は、恐縮な素振りを見せつつ、


「ご紹介出来る人物はいます。ただ編成と論功が終わってからでないと動きようがない」

 と、締めくくったのだった。


 2人の会合は終わった。いまは、まだ大将軍にある天儀を国子僑が見送る。

 去り際に天儀はいった。


「私に欲が少ないと思いますか。違います。私の目的は達成されたのです。ならば素早く去るべきです。志のない者が、いる場所はありません。政界にも軍にもです。あえて居座るというなら、これほど危ういことはない。」

 

 さらに天儀は、


「今、私が立っている場所は、戦場より危険と思うべきです」

 ともいった。

 

 この言葉に国子僑は、強くうなづいた。

 

 確かに権力を握るというのは、中途半端なことではすまされない。

 

 国子僑は今後天儀とともに国政を担いたいという淡い期待は完全にはずれる形になったが、天儀は悪い男ではなかった。


 国子僑は、今夜は気持ちよく妻と晩酌できそうだと思いながらその場を去ったのだった。

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