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ひだまり童話館参加作品集

四季折々の詩(うた)

作者: 葵生りん

 とろり とろり

 とろとろ ぴたん


 氷の柱は溶け落ちて

 黒く湿った土を打つ


 とろり とろり

 ゆっくり 大地に染みた雪解け水は

 春を告げるレンゲを育てる

 レンゲはうるうる光る蜜をため、

 蜂はレンゲの蜜を巣に集める


 景色すら溶かす夏の日差しに

 かわいい幼子を団扇であおげば

 ちりん ちりんと 風鈴が鳴る

 幼子がそれに手を伸ばすと

 笑うようにちりちりちりりと鳴り響く


 焼き芋をはじめて頬張った幼子がへらりと笑う

 その笑顔を照らした秋の夕日が揺れていた


 はじめて触れた雪で紅葉のように赤くなった小さな手

 よちよち歩きで霜柱を踏み 霜焼けで小豆のようになった足の指

 身を寄せ 湯たんぽを引き寄せて

 手足をさすり 包み込み


 この子はどんな夢を見ているだろう?


 思いを馳せる母も

 とろりとろりとまどろんで


 暖を求めた三毛猫は縁側でまるくなり

 気の早い庭の梅の木は

 目覚めはまだかと朱を帯びる



 穏やかな早春のひだまりは

 とろり とろり

 とろとろ とろり



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― 新着の感想 ―
[良い点] 感想が遅くなり、申し訳ありませんm(__)m とても優しく柔らかな表現が素敵だと思いました。 身の回りにはたくさんのとろとろがあるのですね。それに気づいたら、温かな生活が待っている気がし…
[良い点] 優しい詩でした~♪ 四季折々の様子がとろとろ、とろりなどの言葉で表されていて面白いなと思いました。 柔らかなひだまりをイメージしましたよ! まさにひだまり童話館ですね。
[一言] まずは、読んでとても心地が良いと思いました。 雰囲気もですし、「とろとろ」「うるうる」「ちりんちりん」などのおのまとぺも、とても心地がよく、うっとりしました。
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