勇者はヤルフト港へ到着しました
本文に書かれていることはすべてギャグです
実際するあらゆるものと関係ございません
がやがやとにぎやかな場所である。人が多いのかぼうっとしていると人の波に流されてしまいそうでもある。
というか、田舎から出てきた勇者セイロンは帝都並みの人の多さに、早速人に酔っていた。
「ここがヤルフト港…」
よって、港に入って一番に言うはずの台詞が口にされたのは宿についてからで、すでに勇者はぐったりとしていた。
先代の勇者であり現魔王に言わせると、「人なんて勇者の俺からすればみんなモブだから!気にする必要なし!」らしいのだが、真面目なセイロンはそうは考えられない。そもそも自分は勇者として何かかけていると考えているのだ。
「泊まってくかい?一泊200Gだよ」
「あ、いや…。人に酔っただけですから」
「泊まらないなら出ていきな!」
「す、すいません!」
人酔いなどという異常状態は無いのか、ステータス欄には麻痺のマークが付いている。確かにまともに動けない辺り麻痺に近いのかもしれないが。
だが勇者はステータス欄の見方がわからない。そもそもステータス欄の開き方を分かっていない。仲間が出来れば違うのかもしれないが、今セイロンに仲間は居ない。
「そうだ。この港町に『ミルゴ』という魔術師が居ると聞いたのですがご存じないでしょうか?」
「ミルゴ?あぁ、町にいるというのは間違いだよ。港町から離れた場所に塔があるだろ?町からでも見えるほど高い塔だ。あの塔に住んでるのさ。ミルゴは先代の勇者にも旅に誘われたが断ったらしいぞ?あの塔から出るつもりは無いんだとさ」
「ですが、私には仲間が必要なのです。一人旅には限界がありますから」
四獣サクロス戦にて助っ人に入った謎の男が言うには、セイロンに足りないものは仲間だという。どんな勇敢な勇者にも欠点はあり、その欠点を補い、さらには力を高めあう仲間が必要なのだと。
なるほど、とセイロンが納得すると、謎の男はなぜか安心した様子で去った。その裏話として、先代の勇者であり現魔王である男が「じゃお前が仲間一号だ!名前はぺペロンな!」などと言ったということがあるのだが、セイロンが知るところではない。
「ミルゴに会いに行くんだったら手土産に魔法石を持っていくといい。この港に来るまでにある洞窟で山ほど取れる。中でも価値があるものは真珠魔法石と呼ばれて、その名の通り真珠のような見た目をしてるのさ。山の洞窟の中に真珠なんてあるわけねーから、見ればすぐにわかるよ」
「ありがとうございます。そうしてみますね」
こうして勇者セイロンは、いつの間にか来た道を戻ることになっていた。
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