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勇者だった魔王  作者: 空愚木
14/26

元勇者一行の魔法使いと出会いました

 本文に書かれていることはすべてギャグです


 実際するあらゆるものと関係ございません

 「さて、レベルも上がったことだ。次の街へ行こう」


 「えーっと、次の街はヒルズですね、って…あれ?ここでパワー系は仲間になるはずなんですよ。ゼゴンはなんであの街にいたの?」


 三人がお互いに名前で呼ぶようになってから数日後。勇者一行はレベルを十分に引き上げて中盤の街『ヒルズ』へ向かっていた。

 攻略本改め前勇者の冒険の書を呼んでいるミルゴはおかしな点に気づいて質問する。


 「あー、ホントはすぐにヒルズに戻るはずだったんだがな。セイロンにいい傭兵はいないかって聞かれて。自分を売り込まないと生きていけないのが騎士と傭兵の違いだーとか聞いてたから自分をアピールしたわけよ」


 「んー、今一個目のダンジョンに戻って大岩イベントしちゃう?ストーリー的には十分のレベルですけど、あのイベント経験値美味しいって書いてあるよ」


 「一応ヒルズのイベント終わらせようぜ。おれのズレを修正してからにしよう。もしかしたら仲間に成ってない設定のままかもしれねーじゃん」


 「あー、そっか。ヒルズのイベントってなんだっけ。他のイベント」


 「ん?あー、そろそろ四獣だな」


 「お茶切れちゃったからうれしー!あのお茶本当に美味しいんだよね!なんで魔物が人間の飲み物持ってるかわかんないけどさ」


 「不思議だよなー。もしかしてこのお茶って魔王の正体の伏線じゃないのか?」


 「そんな馬鹿なー。それだと魔王が人間よりの存在になっちゃうじゃなーい」


 「だなー。我ながら苦しいかー」


 ミルゴとゼゴンが笑いあい、遠くで元勇者現魔王が冷や汗をかき、現勇者セイロンは一人で黙々と歩く。黙々と、とはいうが歩きながら元勇者の冒険の書を呼んでいた。アルバスという元勇者一行だった人が書いたそうだが、物語風であったり、説明書風であったり、謎の読物だ。


 「せいろーん、そういうのが勇者だよ?物語の中で役目としての勇者。わかった?」


 「思ったのだが、ここに殆ど勇者については書かれていないと言えないだろうか。勇者がしたことは書いてあるが、勇者がどう感じたかは書いていない。ここから勇者がどうあるべきかは読み取れないと思う」


 「かたいな。まぁ、そう言うところも嫌いじゃねーけど」


 「うんうん。大好きだよ、セイロン!純粋馬鹿!」


 「相変わらず褒めてくれないのだな」


 仲良くはなっている三人である。


 そんな三人の前にヒルズの街が広がっていた。門から見るだけでも、今まで見てきたどの街よりも大きい。そして何より、門の前に仁王立ちする女性が三人の視線をひきつけた。特にミルゴの視線を。


 「お、おししょー様!」


 「あら、ミルゴちゃんじゃないの。リヴァリガイトにいるということはちゃんと勇者様のお仲間になれたのね。偉いわー」


 「おししょー様こそ!なんでここにいるんですか!?セミリヒールに居るはずじゃ…」


 「お馬鹿さんね、ミルゴちゃん。私は大魔法使いウィル様よ、国と国の移動なんて一瞬で事足りるの。ドッペルゲンガーの呪文をミルゴちゃんに教えたのは私でしょう」


 「魔法で国境越えは禁止ですよ!」


 「越えてないわよー、国境は足で跨ぎました」


 「屁理屈ぅ!」


 うふふ、と余裕たっぷりに笑うウィルは、愛しい弟子であるミルゴから視線をゼゴン、セイロンへと移動させる。セイロンに向き直りたっぷり時間を置いてから、はっきりとした声でふーんと笑みを携えて言う。


 「残念ねー、数日前には勇者様、あ、元だっけ。とりあえず先代の勇者様がこの街にいたのよ~?今の勇者ちゃんのこと気にかけてたわ。忙しいみたいですぐにどこかに行っちゃったんだけどね」


 「えぇ!?先代の勇者様がいたんですか!」


 「えぇ。宝剣もちゃーんと持っていたわー。宝剣を探しているんでしょう?魔王を倒すために」


 「はい。ですが先代の勇者様にもお会いしたいです」


 「おほほ、やめておきなさいよー、あんな屑と会っても価値なんてないわ」


 「え?」


 「あらいけない。思わず本音が出てしまったわ。とりあえず言いたいことがあったからここで待ってたのよー。ミルゴちゃん、これからも今の勇者ちゃんと仲良くね?私がここで交替するはずなんだけど、ほら、私って前の勇者様の仲間なのよねー。掛け持ち禁止らしいの。仲間になってあげられないのよー」


 これはあげるわ、とウィルはセイロンに装備品を渡した。ミルゴがアイテム詳細画面を開くと魔法使い専門アクセサリーのようだ。


 「これは…?」


 「聞く前に説明読みなさいな。二行ぐらいでわかりやすく書かれてるし、そこに書いてある以上は必要ない情報なのよー」


 「え、どこだ、ミルゴ」


 「これですよー、ここここ。『大魔法使いウィルの魔石』?うわ、すごい!『状態異常にかからない。消費MP10%低下』!もらっていいんですか、おししょー様!」


 「いいのよー。頑張ってねー。魔王は装備品さえそろえれば楽勝だから」


 「らく、しょう?」


 「えぇ。攻略の詳しい情報はリバータウンの川に家作った大馬鹿にお聞きなさい。一週間ぶっとうしで語ってくれるわよ。あ、でも魔王は前回と違うだろうから装備品なんてなくても楽勝かもしれないわね。なんと言ってもあの屑だもの」


 あの屑、とウィルは何度も繰り返した。屑という強い蔑みの言葉を口にしているというのにどこか楽しそうだ。親しい友人に毒を吐いているような感じといえばいいだろうか。いくら親しくとも屑は言いすぎだろうが。


 「魔王とお知り合いなんですか?」


 「会えばわかると思うわ。あんな屑には一生出会えないもの」


 「おししょー様も人のこと言えないでしょう…?」


 「そうよ、大魔法使いにて超がつく変人で一番の屑といわれたこのウィル様が言うの。今回の魔王は屑よ」


 セイロンたちが疑問符を頭の上に浮かべるが、ウィルは楽しそうに笑うだけだ。


 「会えばわかるとしかいいようがないわね。今度は終盤の街にして魔界への転送装置がある遺跡の最寄となる街、『ゲルト』へ行くことね。そこにアルバスというまた別の屑が住んでいるわ。彼に頼めば魔界へ飛ばしてくれるでしょう」


 「ですが宝剣を手に入れなければ」


 「大丈夫。前の勇者様も魔界にいる。まっ、ゲルトへ行くには四獣が住まう峠を越えなければ成らないのだけれど、それぐらいできるでしょう。じゃ、この街で準備を整えてから行ってね」


 それではさようなら。

 そんな言葉でウィルは光と共に消えた。隣でエルゴがドッペルゲンガーと言っていたので移動魔法の類なのだろう。


 「………」


 「………」


 「………」


 「…街に、入ろうか」


 「はーい」「あぁ」


 

 エルゴは"未熟魔法使い"から"大魔法使いの弟子"になりました!

 キーワード"魔王の正体その1=屑="を手に入れました!


 >>セーブしますか?

  >はい

   いいえ


 


 

現在の勇者一行


 セイロン Lv.25 "未熟者の勇者"

 ミルゴ  Lv.28 "大魔法使いの弟子"

 ゼゴン  Lv.33 "伝説の騎士崩れの傭兵"


前勇者一行の公開情報

 全員漏れなく屑

 前勇者現魔王 Lv.?? "元屑勇者現屑魔王"

 ウィル    LV.87 "大魔法使いにて超がつく変人で一番の屑"

 アルバス   LV.85 "??"

 ????   Lv.89 "水に住む変人"


 

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