勇者一行の絆が深まりました
本文に書かれていることはすべてギャグです
実際するあらゆるものと関係ございません
「レベル上げはこんなもんか。休憩しようぜ」
「はーい」
「………」
元気な返事が一つと、声も聞こえない返事が一つ。
ゼゴンは苦笑して、返事のあった魔法使いのほうへ寄った。
「拗ねてるのか?あれ」
「拗ねてますねー。勇者様、一応私と二人のときは主導権握ってましたし。なにより、あの膨らんだほっぺた。拗ね方まで王道しか知らぬあたりが勇者っぽいです」
「でもなー、経験値稼ぎはしないと一発で死ぬぜ?」
「それが、必要ないんですよ、勇者様には。ここまで殆どまともに戦ってないとか」
「はぁ?」
「一匹目の四獣はお茶を飲み交わした仲だそうです」
「どういうことだ、それ」
「さぁ…。私はいなかったので。さて、勇者様のほっぺたつつきに行きますか」
「あー、フォローは頼むわ」
「はいはーい」
ミルゴは短い間でこの勇者の扱いを心得た。
純朴なのだ。良くも悪くも。きっと相手が敵でも魔物でも魔族でも、傷つけることを嫌がるのだろう。勇者と魔王の物語としては邪道の話し合いを成し遂げるだろう、と。
「勇者様ー。そろそろ勇者様の戦闘に参加しましょ!レベルもかなり上がったはずですし、まだゼゴン様の補助なしじゃ辛いですけど、逆に言えばゼゴン様が居れば勇者様でも魔物を倒せますよ」
「う、うむ…。わかっている。ゼゴンが優秀なのも…。ただ、自分が努力していないのにれべるがあがるというだけで戦えるようになるというのはどのような仕組みなのだろう、と」
「まぁ、冒険の書によると先代の勇者のレベルは高すぎたそうですからね。セイロンはセイロンでいいと思う。仲間はそのためにいるんだから!」
「…そ、れは、そうだが」
「ね?私たちは仲間。勇者と魔法使いだけじゃない。セイロンとミルゴ。大切なお茶友達」
「うむ…」
「たとえセイロンが戦えなくてもへぼっちくてもよれよれでも、船代のために汗水たらして働いてる姿かっこよかった!最近お茶淹れるの上手になった!それでいいじゃない。ね、勇者じゃなくてもいいんだよ」
「褒められては、いないな」
「よろしく、セイロン。勇者と魔法使いだけじゃ、悲しいし、この旅を成し遂げられないと思う」
「よろしく、ミルゴ。この通り、経験値すら自分で稼げない勇者だがな」
「おれも混ぜてくれよ。よろしくな、セイロン、ミルゴ。雑魚はおれに任せてろ。セイロンは勇者にしか倒せない奴を。ミルゴは物理防御高い奴頼むな」
「はーい!」
「よろしく、ゼゴン」
ミルゴの言ったことは本音だ。強大な存在である魔王を倒すことは勇者一行であるだけでは出来ないだろう。勇者とその仲間であらなければならない。
強い結束を持って一つ一つを成し遂げなければ、成らないのだ。
このとき、この結束のせいで四人目の仲間が遠ざかったことを、三人は知らない。
>>セーブしますか?
>大丈夫なの?
しなくて平気