第17話 ブックマンのルール説明② 【日曜日:Sunday】
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「001」=「001」→pt「*****」
「002」=「諸星健」→pt「*****」
「003」=「弓木可憐」→pt「*****」
「004」=「三木元隆之」→pt「*****」
「005」=「小鳥遊優奈」→pt「*****」
「006」=「006」→pt「*****」
「007」=「宮野亮」→pt「*****」
「008」=「門倉清太」→pt「*****」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
出版条件が載っていたモニターの画面が変わった。
――このアスタリスクの部分を特別に表示いたしま~~す。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「001」=「001」→pt「10900」
「002」=「諸星健」→pt「10900」
「003」=「弓木可憐」→pt「10900」
「004」=「三木元隆之」→pt「10903」
「005」=「小鳥遊優奈」→pt「10900」
「006」=「006」→pt「10900」
「007」=「宮野亮」→pt「10902」
「008」=「門倉清太」→pt「10900」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
――はい。現段階では三木元様の出版が確定ということになります。
三木元さんと宮野さんのブックマンのミスを指摘したポイントがすでに加算されてる。
俺ってすでに出遅れてるじゃん。
三木元さんの頬がかすかに緩んだのがわかった。
やっぱり嬉しいんだ。
――私ブックマンによるブックマンポイントはポイント贈呈後、即反映となります。ではまた再度ポイントを非表示にいたします。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「001」=「001」→pt「*****」
「002」=「諸星健」→pt「*****」
「003」=「弓木可憐」→pt「*****」
「004」=「三木元隆之」→pt「*****」
「005」=「小鳥遊優奈」→pt「*****」
「006」=「006」→pt「*****」
「007」=「宮野亮」→pt「*****」
「008」=「門倉清太」→pt「*****」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「なるほど。互いのポイントを知らないままここで過ごせということか。疑心暗鬼をあおるにはちょうどいいね」
出版確定の三木元さんよりも一ポイント少ないだけの宮野さんも俄然やる気だ。
宮野さんなら些細なきかっけですぐに追い越してしまいそうだ。
――最終日にすべてのかたの総合ポイントを表示いたします。まあ、生きている人のですけど。
ブックマンのやつ嫌な倒置法を使うな。
「ブッちゃん。最終日っていつ。優奈たちはここに何日いればいいのぉ?」
「005」の一人称が”ゆうな”だった小鳥遊さんが語尾を上げてブックマンに良質質問をした。
それはみんな絶対に知りたいことだ。
にしても小鳥遊さんにかかるとブックマンはブッちゃんに変換されるのか。
個性的だな。
――ブッちゃんですか。ぬはっ!
おいおい、ブックマンのやつ、ブッちゃんって呼ばれて喜んでるじゃん。
中の人も案外、人間味あるな。
ゲームマスターなんだからもっと厳格な人がやってんのかと思った。
――はい。ではお知らせいたします。
そんな長期間は無理だから良いかんじの日程で頼むぞ。
――一週間です。
一週間。一週間か、まあ、まあそれならなんとか。
ただバイトに一週間も顔を出せないとなると……アウトだな。
それでも出版の手土産を持って帰るしかない。
いまは、初日の朝の九時時過ぎ。
このゲームが終わるのが一週間後の土曜日か。
時間で換算するなら約百五十八時間ってことになるのか。
時間にすると長くかんじるな。
――一週間、生きていればみなさんが喉から手が出るほどに欲していた夢への第一歩が拓けるでしょう。現在、すでに九時間強の時間が経過していますので残りは六日と十四時間弱でしょうか。要約しますと、ここで一週間生き残り最高点をとればいいんです。
「一週間もぉ? 優奈のスマホ使えなかったんだけど」
――インターネットはできませんのでご了承ください。
「ブッちゃん。優奈それ困るぅ。配信できないじゃん」
――小鳥遊様。どうかご理解ください。
「急病のときはどうするんだよ?」
「006」が詰問したとたんに大広間全体の空気がピリついた。
――残念ながら何があっても一週間はここを出られません。
小鳥遊さんにデレってたブッちゃんの和やかな雰囲気が消えていった。
「はっ?」
「006」が顔をしかめる。
みんな同じ気持ちだろう。
――契約書に当社管理施設に移動してもらうこともあると書いてありました。お読みなっておられませんか? でしたらそれは006番さんの落ち度です。みなさんからきちんと署名、捺印もいただいています。
あっ、俺が作家気分になれるって喜んでたあの館詰めの文言か。
俺、あれ読んだうえで舞い上がったまま同意のサインしてるわ。
ここで館詰めってマジなのか? これが現在ふうの館詰めなのか?
みんな心当たりがあったのか意気消沈している。
とくに「006」は一回、舌打ちをしたあとはそのまま腕組みいっさい動かなくなった。
「006」ぐうの音も出せず心当たりありってことだろう。
――ご理解いただけたようで安心いたしました。では今日一日ぶんの必要最低限の物資を無料で支給いたしますのでお受けとりください。翌日分からはどうするんだという疑問の声がきこえてきそうですので先に答えてしまいます。それこそがこのゲームの醍醐味。
「と、いうと?」
宮野さんは眉ひとつ動かさずに努めて冷静だった。
――各部屋に置かれていたテレビのようなモニターの存在にはお気づきでしょうか? あのモニターじつはタッチパネルになっています。あれを使いネットショッピングの要領で一週間の生活必需品を注文してください。ここでもまた支払いはどうするんだ、と疑問に思うかたもいらっしゃるかもしれません。それは皆さんがお持ちのポイントで支払ってください。PS、送料は一律無料ですので、送料に関する計算は無視してもらってかまいません。
ここでみんながどよめく。
じゃあ俺は、いま一万九百円持ってるのと同じってことか。
これってみんなの手持ちのポイントが相当動くんじゃないか? そして誰がどれだけポイントを使ったのか本人以外はかわからない。
だからブックマンはこれをゲームの醍醐味って言ったのか。
ブックマンポイントが霞んでいく。
――なお商品は提携コンビニの親会社運営ECサイトで販売されている物しか買えませんのでご注意ください。例えばペットや劇物や危険物等は買えないと思ってください。嗜好品の類は問題なく買えると思います。また価格は非表示になっていますので世の中の相場を想像しながら注文してくださいね。ここでのECサイトの機能は提携先のシステムをそのまま活用していますのでコンビニ独自のポイントも使用可能となっております。
「つまり提携先のコンビニのポイントも僕らの出版ポイントとイコールという解釈でいいのかな? ああ、出版ポイントは便宜上僕が名付けたポイント名だけどね」
――おお!? 宮野さんいいネーミングですね。二ポイント贈呈。これからは出版ポイントお呼びいたします。少々お待ちを。
ブックマンがいや、VTuberでいうところの中の人が画面の後ろで何かやってる。
――おっと、注意事項がまだありました。皆さんがご着用のつなぎによって生命反応を確認をしておりますのでつなぎは着つづけることおすすめいたします。一定期間以上つなぎを脱いでいますと生存ポイントは付与されませんのでご注意ください。なお、日本の平均的な入浴時時間を鑑みまして二十五分はつなぎを脱いでいても大丈夫なセーフティータイムとなっております。
早い話が風呂は二十五分以内で終わらせろってことだな。
――服の話題をもうひとつ。みなさんが着ていた服は最後にお返しいたしますのでご安心を。
とうとつなブックマンの話。
俺の服はチェーンでぐるぐる巻きになってたけど。
ないと思うけどその最後っていうのが最期になったらどうするんだよと、不安になる。
あっ、服ことも契約書にあったな。
こちら指定の服に着替えてもうらうってやつ。
俺はてっきりどっかの旅館で浴衣に着替えて館詰め状態で原稿執筆するんだと思ってたよ。
モニターの中でブックマンが静止した状態のまま、もう十秒ほどが経過した。
なんかブックマンの中の人が静かになったんだけど。
なにかハプニングでもおこったか?
――では、こちら再公開となります。




