第十一話
『おやすみ』、と言い残して小夜は寝てしまった。
三十分くらいが経過しただろうか。学校には1,2時間遅れると言ってあるので問題はないが、もうそろそろ起こさないと小夜が怒るだろう。
「小夜、起きろ。もう三十分は過ぎたぞ。」
色付きのガラスのように澄んだ瞳は、誰にも見せないとでもいうように閉じたまま。
おれの呼びかけには応えてくれやしない。
自分で起こして、って言ったのにな。
でも、その方が楽でもあった。
決して、自分を外に晒そうとしない小夜。
基本は長袖に丈が長めのスカート。たまにズボンのときもあるが、それでも丈は長い。
スカートも、制服より短いスカートを見たことがない。
本当に暑い、夏休み直前くらいは靴下が短かったり半ズボンだったりしたが、それでもずっと、腕が隠れるような上着や長袖を着ていた。
どうしてなのか、わからなかった。
永遠の、とまでは言わずとも、ずっと疑問に思ってはいた。
その謎が今、解けてしまった。
小夜が寝返りを打ったとき、見えてしまった。
ずっと小夜が隠していた腕と、そこに刻まれた、夏になっても長袖を着る理由が。
小夜の腕には、幾重にも紅色が刻まれていて。
それを見て、わかってしまった。
そして、これを見て即座に気づいてしまう勘の良さを恨んだ。
最近小夜に感じていた違和感。それは長袖を着ているせいではなく、これのせいだったのか。
「んぅ…おはよぉ…って、星?どうしたの?」
良いやら悪いやら、絶妙なタイミングで小夜が目を覚ます。
恐らく今のおれは、間抜け面を小夜に晒しているのだろう。
小夜が起きていないから、と油断していた。もっとも、どんなに油断していなくとも小夜の腕を見せられたら間抜け面を晒す自信はあるが。
「おはよう、小夜。僕がどうかした?」
何もなかったと、何も見なかったと、心の中で唱える。
忘れた方が、小夜も、おれも、幸せだから。
「もしかして見ちゃった?左腕。」
いつも通りの、なんてことないような口調で言う小夜。
その姿に、心の底から、恐怖が湧き出す。
無言を肯定と捉えた小夜が、話し出す。
「そっか、見ちゃったかぁ…星には見られたくなかったんだけどね。」
これ以上心配も迷惑もかけたくないし、と言う小夜。
「どうして、」
口から漏れ出た声は、小夜の耳へと届いたようで、小夜の言葉がおれの部屋に放たれる。
「だって、この世界に意識を留めるにはこうするしかなかったんだもん。星がいるときはいいけど、教室とか、星がいないときは妄想の世界に意識が飛びそうになってたの。そこで痛みを与えることで、上手く意識を留めてた、ってわけ。」
どこか狂気的な笑みを作る小夜。
風船のように飛んでいってしまいそうな意識を、唇を噛んでどうにか留め置く。
「そんなになる前に、相談してくれよ、」
小夜には通じない。そうわかっていても、願いを口にしてしまう。
「いいの?星は壊れたりしない?」
「ああ、大丈夫だ。だから…」
相談してくれ。
過去一重いですねぇ…でも死なないだけまし?
どうなんだろう。
珍しく前日に完成させた私を誰か褒めて(((
頭痛が酷い。明日はもっと酷くなるだろうから先に書きました。
本当に体調が悪くならない限り、そして書くスピードが追いつく間は投稿しますので、
無事に7000文字を突破したこの作品&現体調不良の主を暖かく見守ってください!!
最後に、見てくださりありがとうございます!主は完結まで毎日投稿ができるのか?!お楽しみに〜




