こまちちゃん!
コウレイジャー 9
「まぁ、元気だしなよ」
半蔵さんが売れない漫画家さんの肩を叩きながら一応慰めた
『夢を追う若者は、嫌いじゃ、ない(う~んマンダム、みたいな渋い声で)』
「そーよそーよ、人間生きてりゃいいことあるって!(最終的な励まし)
その、ナントカっていうアンタの漫画の連載(読んだことない)、まだ4回はあるんでしょ?
その間にどうにかしなさいな!」
と言ったのは梨乃さん
業界の事情を知らない人間の励ましはかなりイイカゲンでテキトーなのだが、まあナイよりマシなのではと思ったりする
【ちなみに漫画を簡単に、すぐに描けるもんだと思っている人が多い気がするんだよなー
24枚1人で描いてるっていうのに、2、3日で終わる?って聞いてくるとか】
「漫画ナンテタダの趣味、オアソビでヤッテルクセニ
ハヤクちゃんとした仕事ニツキナサイ」
世間一般の声代表、元教師の秀治さん
「おお、そうだ、コレやるから元気だしなよ、商店街の福引券」
三郎さん1番マシなことを言う
そういえばこの話に季節感はなかったが、今は年末、商店街歳末大売り出しの時期である
年々廃れていく近くの商店街加盟店が今年もなんとか開催に漕ぎつけた恒例福引大会!
一等商品は『熱海温泉旅行1泊2日、5名様分』である
バブル時代はハワイ旅行だったのに…と呟く人も今はもう多くはない
察しがいい人はもうお分かりだと思うが、このあと売れない漫画家さんは福引で一等賞を引き当て、
どういうわけかコウレイジャーと共に温泉旅行に行く羽目になるのだった
カランコロン!
なにやらいつもより元気なドアベルの音がした
「みなさぁ~ん、大丈夫ですかぁ〜??」
鼻に抜けたような独特の声におっさん連中が色目きたった
店に入ってきたのは
近所の花屋さん「レイニーレインボー」の一人娘「大角こまち」ちゃん、20歳
短大出たけどプー太郎ナウ、実家花屋の手伝いを気ままににやっている
低身長ちょいぽちゃで顔が可愛い系(メイクが上手い)、くるくるふわふわした髪、くりくりの瞳、低い鼻、
いわゆる“ちょうどいい”感じで、愛嬌と若さもプラスして今のところモテまくり無双している
「さっきぃ、タコのお化け?が出たじゃないですかぁ〜
ここの通りとK駅は被害がなくてぇ良かったですぅ」
こまちちゃんはこの喫茶店にお花を持ってきてくれているので一応配達のついでに心配してくれたらしい
「こまちちゃん、今日も可愛いねぇ」
半蔵門さんがデレデレ話しかける
好みのタイプらしい
「ありがとぉございますっ
でもぉオッサンに褒められても嬉しくはないですぅ」
実はこまちちゃんはゆるふわな外見とは裏腹に、超がつくほどの毒舌キャラなのであった…
が、それもスイカに塩みたいなもんで、その塩梅が意外と男女問わず愛されているヒ・ミ・ツ♡なのである
毒舌に慣れている半蔵さんは「うへへ」と笑ってむしろ嬉しそう
ハッと気がつくと、
売れない漫画家さんが少し男前ムーブをかましている
こまちちゃんをチラチラ見ながら、髪をほんの少し整え、米津玄◯っぽく振る舞っているような…?
お察しの通り、売れない漫画家さんはこまちちゃんのことが好きなのであった
ていうかもはや、現在少しでも接触がある女子がこまちちゃんしかいないという悲惨な現状
さらに、こまちちゃんがたまたま売れない漫画家さんのスーパーストライクゾーンだったので、控えめに言ってベタ惚れである
家から出ない、出てもコミュ障な漫画家なんてそんなものです
DT確定演出です、でもまだ3次元が恋愛対象になっているだけマシ説まであります
そんなDTの視線を知ってか知らずか、こまちちゃんは持ってきた小さな鉢植えを入り口付近の窓辺にちょこんと置いた
「ポインセチアでぇす♡
赤と緑がかわいいでしょぉ〜
コレね、おひさまに当てるから赤くなるんですよぉ〜」
「ポインセチア可愛いけど枯れやすいわよねぇ」
梨乃さんが呟く
「大丈夫でぇす!
こまちがおまじない、かけときまぁす」
おまじない…メイド喫茶のメイドさんみたいな、
ラブラブキュン♡
を想像しました?
こまちちゃんはひと味違います
真っ直ぐにポインセチアを睨みつけて
「枯れたら引っこ抜くぞオラァ!」
とドスの効いた声で話しかけました…♡
気のせいか、ポインセチアが焦って“ピシッ”としたような?
こんなところもこまちちゃんが愛される理由だったりします




