タイトル回収!
「アナタたち、その変身後の名前はあるんですか?」
売れない漫画家がそう聞くと、みんなは顔を見合わせた
「あったっけ?」
「タスキマンじゃないの?」
「え、ナニソレいやよダサい」
イケおじは「タスキマンダメですか!」と必死で言っているが、還暦4人はヤダなーという顔をしている
「ぼ、ボクが考えてあげましょう
てか考えました!
みなさんたしか60過ぎてるじゃないですかぁ
だ、か、ら
還暦戦隊コウレイジャー!
とかどうです?」
「!!!!」
あまりのカッコ悪さにみんなが返事もできず固まる
「還暦戦隊コウレイジャー!
還暦戦隊コウレイジャー!」
売れない漫画家さんだけはしゃいでいた
「いやだっ…」と誰かが口を開いた時、
ピローン
と登録完了の音がした
イケおじが回収していたタスキが、
売れない漫画家さんが2回繰り返したことで認識してしまったのだ!
「還暦戦隊コウレイジャー、承りました」
無情な機械音声が響く
「あっ…」
さすがに少し気まずそうな売れない漫画家さんがみんなの顔を見た
まー、怒っている風
イケおじ「正式に登録されたので変えられませんよ!
だからタスキマンにしよって言ったのに」
「タスキマンよりマシか…」
「うーん」
「還暦戦隊、ねぇ」
「コウレイジャーってのがさぁ」
それぞれが思いを巡らせる
まあとにかく決まってしまったのだ
これからは還暦戦隊コウレイジャーとして生きていくしかない
ん?
「あのさ、そういえばどうして私たちにタスキを渡したの?
もっと若い子の方が、化け物と戦うならよくない?…売れない漫画家さんもいたんだし」
イケおじは
ふー、やれやれ
みたいなジェスチャーをした
「ニホンハチョットオカシイデース」
「なぜカタコト」半蔵さんが軽くツッコむ
「いやね、常々思っていたんですよ
日本のアニメや漫画のヒーローって、
若すぎるんです!ソーヤング!
下手したら中学生でしょう…
あんな子供に戦わせてどーするんだってね
大人が!もう追い先短い人間が命をかけて戦うべきなんですって!」
イケおじは熱弁する
「そんなん描いてて楽しくないやん」
売れない漫画家さんは反論した
「とにかく!我が団体はヒーローにするなら60歳以上と決めたんです!」
(我が団体ってなんやねん)とみんな思ったが、面倒臭そうなのであえて聞かなかった
「まあいいや、ところであのタコの化け物は一体何なんだい?」
半蔵さんが急に思い出した
「アレは宇宙の狭間からやってきた"スキーマー"です」
「スキーマー⁈」
「面倒くさいので簡単に言いますが、要するに宇宙の"通路"が何らかの理由で壊れてしまって、そのせいで本来"通路"のルートになかった地球に繋がってしまったのです
この通路は文明レベルがもっと上がらないと使用できないものです
さらに他の次元とも繋がってしまい…」
「地球に怪物が寄り道している、と」
神妙な顔で分かった感じを出してくる秀治さん
「我が団体は、地球に来てしまった怪物たちをある程度弱らせてから"通路"に返す、という仕事をしているのです」




