全員60代!
♪主題歌♪
ゴーゴー(ゴーゴー)
ゴーゴー(ゴホッゲホッ)痰が絡むんだ
還暦戦隊
コウレイジャー!(ダンダダンタンタタン)
合わせて俺たちは300歳以上(3世紀!)
還暦祝いのちゃんちゃんこ(赤いやつ!)
腰が痛いぞ(腰痛だ!)
目が霞むよ(老眼だ!)
物忘れだね(ボケてきた!)
でーも大丈夫
敵の前では
勇敢な戦士ぃぃぃぃ
若いものには負けないぞーー
コウレイジャー!
ダンダダンタンタタン
*****
東京某区
いい感じの下町、昔ながらの喫茶店
流石に最近「純喫茶」の前置きをやめて、ちょっといい感じの名前に変えた(孫アドバイス)
カフェ「おさんぽがてら」
ここには今日もご近所のご老人たちが集っている
この店の看板娘(昔は可愛かった)梨乃さんは、トイレに立とうとした半蔵さんに向かって言う
「ちょっと半蔵さん、おしっこする時は絶対座ってやって下さいよ!
もー、すぐにビシャビシャに汚すんだから」
半蔵さんはテヘッと頭を叩き可愛子ぶって、(分かったよ〜)と言わんばかりに手をひらひらさせながらトイレに行った
半蔵さんの隣に座っていた秀治さんは、眉間に皺を寄せる
「梨乃ちゃん、コーヒー飲んでるんだからおしっことか言わないでくれるか
半蔵さんのおしっこを想像して不味くなるじゃないか」
「耳が遠いくせに、こんな時はよく聞こえるわねぇ
いいのよ、他にお客さんがいない時は何言ってもさ…
あ、三郎さんまた寝てる!店で寝ないで!」
カウンターの端に座っていた三郎さんは、新聞を読みながらウトウトしていた
おっと、ここいらで物忘れが激しいエイジのために登場人物をまとめてみよう!
◯梨乃 (なしの)…62歳、カフェ「さんぽがてら」の店長、紅一点、割と毒舌
◯半蔵 (はんぞう)…60歳、最年少、お茶目な性格、庭師
◯秀治 (しゅうじ)…63歳、元教師、クール系
◯三郎 (さぶろう)…61歳、おっとりデブ、よく寝るよく食う、黄色系
↑コレはこの後もたまに出てくるから、名前を覚えられない民も安心してほしい⭐︎
60代って微妙な年齢だ
若者には想像もつかないだろうが、60歳を超えても
気持ちは27歳ぐらい
で止まっていたりする
「まだまだイケる」と思ったりする時も全然ある
しかしあちこちガタがきて、
「そうでもない」と思う日もすごくある
ここはそんな60代が集う場所ーーーなのだ
カランコロン
レトロな手動の扉が開いた
見ない顔が入ってきた時、60代たちは普通の客のフリをする
(三郎さんだけはいつも若干空気を読まないが)
入ってきたのは、イカしたハンチング帽をかぶり、仕立てが良さそうなスーツを着た70代ぐらいのイケおじ紳士
皮が光るちゃんとした黒い鞄を持っている
(コレは吊りじゃなくてデパートのオーダーメイドスーツね)と梨乃さんは思った
実は梨乃さん、若い頃デパートのアパレルで働いていたのだ
(鞄も高そうだし、ここに居座ってるいつもヨレヨレのオッサンたちとはドえらい違いだわー)「いらっしゃいませぇ」精一杯可愛い声でご挨拶
「ブレンドを下さい」
紳士はメニューを見ず、帽子を脱ぎながら注文した
その他のおっさん連中はなんだかちょっと面白くない
(こいつイケスカないなー
俺の方がイケテルモン!)
謎の対抗意識が芽生える
「はい、ブレンド一丁〜」梨乃さんだけが上機嫌
ブレンドはいつもより美味しそうに淹れられて、紳士の前に置かれた
紳士は微笑みながら「ありがとう」と言い、カップの取っ手に指をかける
梨乃さんはその他のおっさんに目で語った
(聞いた⁈聞いた⁈ありがとうですって〜!久しぶりに聞いたわ〜〜アンタたちとは大違いよね〜!!)
おっさんたちも目で返事した
(けっ、気取ってらぁ!こーゆー奴ほど信用ならねぇんだよ!ヤダヤダ!)
その時
紳士の高そうな腕時計から
ビービービー
と大きな警戒音が鳴った
「⁈」
そこにいる全員が、
スマホの地震速報だと思う
「相変わらず嫌な音だなぁ」と半蔵さんがトイレから出てた
紳士は焦った様子で「さんぽがてら」の店内を見回す
「1、2、3、4…よし、足りる!」
「足りる?」三郎さんが呑気に聞く
「みなさん、コレをつけて下さい!早く!」
紳士はカバンから4つのタスキを取り出した
それぞれ色が違う
赤、青、黄色、ピンク
「火の用心当番なら先月やったばかりだけど」
秀治さんが嫌そうに言った
「とにかく早く、急いで!
でないと…」
どーーーーん
近くの銭湯から大きな音と共に、人々の
キャー
ワー
と言う叫び声が聞こえてきた!




