タケノコ林には魔女がいる

「とある王国の端にある竹林には魔女が住んでいる」

世に幾人しかいない魔女の一人がかつて王国の都に住んでいたらしいが、王族の後継争いで世が荒れたのを儚んでいた
荒れながらも何とか後継争いが終り漸く新しく王が即位した頃、僅かな華やかさと若干の便利さだけは残っていた都の生活をも捨てさり、魔女は王国の端っこで人の手が入らず荒れ果ててうら寂しい竹林へ移住する
移住から約十年、魔女は竹林を程よく管理しながら穏やかな日々を過ごしていた…そんな初夏のある日

整備された竹林…タケノコ林に一体の死体がぶら下がる

「今年は死体も生えるのか」と魔女が呟いた時、平穏だった日々はあっと言う間に魔女の手元から遠のいて行ってしまったのだった