第9話:隣家との窓越しコミュニケーション
最近、注文窓越しにご近所さんとおしゃべりするのがちょっとしたブームに!
「今日のごはん何?」 「おやつ交換しない?」 そんなやりとりが楽しくなってきた。
さらに、子供たちは“シンボル”を使った秘密の合図を考え出して……?
窓の向こうで、小さなサインが交わされるたび、街はもっとつながっていく――。
さて、このシンボル、ただのマークじゃなくなってきたかも!?
空中商店街の朝は、いつものように活気に満ちていた。
しかし、地上の住宅街では、ある“ちょっとした変化”が起きていた。
「おはよう、山田さーん!」
「おはようございます、佐藤さん!」
朝食の支度を終えた住民たちが、注文窓越しに会話を交わし始めたのだ。
最近、窓からの注文が増えたことで、隣家との交流も活発になってきた。
「窓越しでおしゃべりできるのって、ちょっと楽しいね!」
そんな声が、あちこちの家から聞こえていた。
そして、子供たちの間でも、ある遊びが流行り始めていた――。
「シンボルを使った秘密の合図」 だ。
第一部:注文窓を通じたおしゃべり
「ねえねえ、昨日の晩ごはん、何食べた?」
みちこが、注文窓から顔を出し、向かいの山田家の陽菜に話しかけた。
「うちは、お父さんが張り切ってハンバーグ作ったよ!」
「いいなぁ! うちはシチューだった!」
「うちのカレーと交換する?」
「えっ、そんなことできるの!?」
「たぶん、うまくやればね!」
こうして、住民たちの間で「窓越しシェア」という新たなアイデアが生まれた。
「じゃあ、お母さんに相談してみる!」
みちこはワクワクしながら、家の中へ走っていった。
第二部:シンボルを使った秘密の合図
一方、佐藤家の悠斗と駿は、別の遊びを思いついていた。
「ねえ、最近みんなが見てるこのマークさ……」
悠斗は注文窓の横にあるシンボルの形を指さした。
「これを使って、秘密のサインを作らない?」
「いいね!」
「例えば、このマークを窓に貼っておいて、『今、おやつタイムだよ!』って意味にするとか!」
「それ、めっちゃいいじゃん!」
駿は、シンボルを紙に書いて、窓に貼った。
「じゃあ、隣の山田家に送ってみよう!」
佐藤家の窓から見える山田家の窓に、シンボルが掲げられる。
「うわっ! ほんとに気づいた!」
向こうの窓から、陽菜が笑顔で手を振っていた。
第三部:広がる“窓越しの合図”
「これ、みんなにも教えよう!」
子供たちは興奮しながら、近所の家にシンボル遊びを広めていった。
「このマークを窓に貼ると、おしゃべりOKの合図!」
「これは、一緒にゲームしようのサイン!」
「こっちは、おやつ交換のマーク!」
「え、そんなことまで!?」
大人たちは驚きながらも、どこか嬉しそうに見守っていた。
「こうやって、窓越しにもっと仲良くなれるのはいいね!」
そして、数日後――。
住宅街の窓のあちこちに、シンボルの形をした紙が貼られるようになった。
まるで、街全体が秘密の言葉を交わしているようだった。
夜、みちこは窓を開けて、注文パネルの光を眺めていた。
「このシンボル、最初はただのマークだと思ってたけど……」
今では、住民たちの交流の合図として使われ始めている。
「もしかして、このマークって、私たちの“つながり”の証なのかも?」
そんなことを思いながら、みちこは小さく微笑んだ。
窓の向こうには、光るシンボルが映る注文パネル。
そのマークは、まるで街全体を優しく見守っているかのように、静かに輝いていた――。