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商店街のご近所さん  作者: クロクマせんぱい
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第4話:鈴木家の忙しい午後

午後の鈴木家はいつもバタバタ。

注文したおやつが間違って届いたり、空中通路がガタついていたり……。

そんな中、またまた“あのシンボル”が!?


子どもたちの間でも気になり始めたこのマーク、

やっぱりただのデザインじゃない……かも?


さて、みんなでちょっと調べてみるか!

午後の日差しが傾き始め、空中商店街の影がゆっくりと地上に伸びていく。


「ただいまー!」


鈴木家の玄関から、元気な声が響いた。


「おかえり、駿!」


母の真由美が台所から顔を出す。

駿しゅんは小学3年生、いつも元気いっぱいの男の子だ。


「お腹すいたー!」


「はいはい、おやつはもうすぐ届くから待っててね」


真由美は注文窓を操作しながら、チラリと時計を見た。


(今日はちょっとバタバタしてるけど、なんとかなるかな……)


シングルマザーとして二人の子供を育てながら、仕事と家事をこなす真由美にとって、空中商店街の注文システムはなくてはならないものだった。


「それにしても……」


注文パネルの隅に光る小さなシンボルが目に留まる。

最近よく見かけるようになった、不思議なマーク。


(まあ、気にしても仕方ないか)


そう思いながら、彼女は注文を確定した。



第一部:注文ミス発生!

「ピンポーン!」


注文窓の向こうから呼び鈴の音が聞こえた。


「お待たせしましたー!」


配達員のたかしが、ちょっと慌てた様子で現れる。


「すみません! 今日は注文が多くて、ちょっとバタバタしてまして……」


「大変そうね」


真由美が苦笑いしながら、商品を受け取る。


「さて、おやつは……って、あれ?」


真由美が袋の中身を確認すると、そこには 頼んでいないもの が入っていた。


「え? これ、うちの注文じゃないわよ?」


「えっ、本当ですか?」


たかしが伝票を確認する。


「えーっと……あっ! 間違えました! これ、隣の山田家のやつですね!」


「ええー!」


駿が驚いた顔をする。


「じゃあ、うちのおやつは?」


「すみません、入れ違っちゃったみたいで……すぐ持ってきます!」


たかしは急いで注文窓を駆け上っていった。


「まったく、忙しいのは分かるけど、もう……」


真由美は苦笑しながら、間違って届いた箱を手に取る。


「……ん?」


箱の端に、小さなシンボルが刻まれていた。


「また、このマーク……?」



第二部:空中通路のトラブル

「よし、じゃあ山田家に持っていこう!」


駿が箱を抱え、家の空中通路に向かう。


鈴木家の通路は、少し狭く、雨の日は滑りやすい。

駿は慎重に進みながら、隣の山田家へ向かった。


「おーい、山田さーん!」


「はいはい、あれ? どうしたの?」


山田家の陽菜が注文窓から顔を出す。


「これ、うちに間違って届いたんだ! たぶん、山田さんの注文のやつ!」


「えっ、ほんと? ありがとう!」


陽菜が受け取ろうとした、その時――。


ガクン!


階段が少し揺れた。


「わっ!」


駿はバランスを崩しそうになり、思わず手すりを掴む。


「ちょっと大丈夫?」


「へ、へーきへーき!」


駿は笑ってごまかすが、陽菜は心配そうに階段の接続部分を見つめた。


「これ、ちょっと緩んでるかも……」


「うちの階段、狭いし古いからなぁ」


「直さないと危ないかもね」

(やっぱりうちも通路を作らなくっちゃ)


そんなやりとりをしているうちに、たかしが慌てて戻ってきた。


「すみません! 本当にごめんなさい!」


彼は鈴木家の正しい注文品を持ってきた。


「やっとおやつゲット!」


駿が嬉しそうに手を伸ばす。




第三部:謎のシンボルの広がり

「ところで、たかし君」


真由美が箱を見せながら言った。


「このマーク、何か知ってる?」


「えっ……」


たかしは少し考え込んだ。


「最近、いろんな注文品に出てくるんですよね。でも、僕たち配達員も、詳しいことは聞かされてなくて……」


「へえ……」


陽菜も近づいてきて箱を覗く。


「実はうちの朝食の箱にも、同じマークがついてたんだよ」


「え! うちのも!」


駿も驚いて声を上げた。


「じゃあ、みんなの家の注文品にこのマークがあるの?」


「そういうことになるね……」


「うーん……やっぱり気になる!」


みちこが勢いよく窓から顔を出した。


「ねえねえ、今度みんなで調べようよ!」


「賛成!」


陽菜と駿が元気よく答える。


こうして、子供たちを中心に、シンボルの謎を探る動きが少しずつ広がり始めた。



その夜、真由美はふと考えていた。


(注文窓のおかげで、日々の生活は楽になったけど……)


(いつの間にか、何か見えないものが動いている気がする)


部屋の隅に置かれた箱を見つめる。


小さなシンボルが、薄暗い光に照らされ、ぼんやりと浮かび上がっていた――。

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