第3話:山田家の朝食大作戦
朝の空気が気持ちいい、雨上がりの空中商店街。
今日は山田家が気合いの入った“特製モーニング”を作るらしい。
こだわりの食材を注文したら、またまた謎のシンボルが……?
美味しい朝ごはんと、ちょっと気になる謎。
さてさて、今日はどんな発見があるかな?
朝日が差し込む空中商店街の屋根。
昨夜の雨が上がり、きらきらとした水滴が軒先に残っていた。
「おはよう!」
みちこは大きく伸びをして、二階の注文窓を開けた。
冷たい朝の空気が流れ込み、鼻をくすぐる。
隣の山田家からも、元気な声が聞こえてきた。
「お父さん、お母さん、朝ごはんの材料、もう注文した?」
「今やるぞ! 今日の朝食は特別だからな!」
山田家の父・誠司が意気揚々とパネルを操作している。
「特別な朝食?」
みちこは気になって、窓の外から山田家の様子を覗き込んだ。
(何を作るんだろう……?)
その時、山田家の注文パネルの隅に、一瞬シンボルが光るのを見た。
(やっぱり、このマーク、最近よく見る……!)
第一部:こだわりの食材探し
「よーし、今日は久々に“山田家特製モーニング”を作るぞ!」
誠司の声が響く。
「お父さん、そんなに張り切らなくても……」
娘の陽菜が少し呆れたように笑う。
「いや、こだわりの食材を集めるのも料理の醍醐味だ!」
誠司は注文パネルを操作し、様々な食材を選び始めた。
「まずは、新鮮な卵! そして特製のハム! パンも最高級のものを……」
「ちょっと、お父さん、それ全部高いやつじゃない?」
陽菜がパネルを覗き込む。
「いいんだよ、たまには贅沢しないと!」
山田家の注文が確定すると、すぐに「配達員が向かっています」の表示が出た。
「ふふっ、楽しみだね!」
みちこは興味津々で山田家を見つめた。
第二部:届いた箱の謎
数分後、配達員が通路を駆け上がってきた。
「山田家のご注文、到着です!」
たかしが大きな箱を抱えて窓の前に立つ。
「おお、来た来た!」
誠司が箱を受け取り、中身を確認する。
「……ん?」
「どうしたの?」
陽菜が箱を覗き込む。
「この箱……ちょっと変じゃないか?」
誠司が箱の側面を指さすと、そこには小さなシンボルが刻まれていた。
「またこのマーク!」
注文窓からのぞき込んでいた みちこは驚いた。
「この前、うちの注文品にもあったよ!」
「え? じゃあ、これは何かの共通マークなの?」
陽菜が考え込む。
「お父さん、これって何かのブランドなの?」
「うーん、そんな話は聞いたことないな……」
誠司は少し不思議そうに箱を眺めた。
第三部:特製モーニングの準備
「まあ、とりあえず朝ごはんにしよう!」
陽菜がそう言って、箱を開けた。
中には新鮮な卵、ハム、パン、野菜がぎっしり詰まっていた。
「さあ、みんなで作るぞ!」
誠司が張り切り、家族総出で朝食の準備が始まった。
「目玉焼きは半熟がいい?」
「ハムはカリカリに焼いて!」
「パンはトーストで!」
キッチンからはジュージューと美味しそうな音が響く。
「おいしそう!」
みちこも羨ましそうに注文窓から覗いていた。
「お父さん、コーヒーも淹れる?」
「もちろんだ! 最高の朝ごはんにするぞ!」
山田家特製モーニングが、ついに完成した。
「いただきまーす!」
家族みんなで食卓を囲む山田家。
「うん、やっぱり最高だな!」
誠司が満足そうに頷いた。
陽菜もパンを頬張りながら、「やっぱり、こだわると違うね!」と笑う。
「……でもさ」
陽菜がふと箱を見つめた。
「このシンボル、やっぱり気になるなぁ……」
「……だよな」
誠司も少し考え込む。
「みちこちゃん、このマーク、今度みんなで調べてみようか?」
「うん! 絶対に何か意味があるはず!」
こうして、山田家とみちこたちの「シンボル調査計画」が、少しずつ動き始めた。
窓の外では、朝の光が街を包み、空中商店街は今日も活気に満ちていた――。