第12話:おばあちゃんの懐かしレシピ
おばあちゃんの古いレシピ帳に、あのシンボルが!?
伝統の味「特製おこわ」を作るため、昔ながらの食材を探してみると……
なんと、注文パネルに「シンボル認証済み商品」の文字が!
「このマーク、やっぱりただの飾りじゃない!」
昔の商店街とつながる"特別な食材"とは?
さて、ますます気になってきたぞ!
空中商店街の朝は、どこか静かだった。
昨日の特売セールの騒ぎが収まり、住民たちもいつもの落ち着きを取り戻しつつあった。
「さて、今日は何を注文しようかしら……」
高橋家の静江は、古びたレシピ帳を開きながら、二階の注文窓を見つめていた。
そこには、昔ながらの料理のレシピが丁寧に書かれている。
「最近の料理もいいけれど、やっぱり昔の味が恋しくなるわね」
「おばあちゃん、何作るの?」
孫の翔太が、興味津々で覗き込む。
「今日はね、高橋家に代々伝わる“特製おこわ”を作ろうと思ってるの」
静江は優しく微笑んだ。
しかし、その時、彼女の目にふとあるものが映った。
レシピの隅に、小さな“シンボル”の印が刻まれていた。
第一部:レシピに残るシンボル
「おばあちゃん、このマーク……」
翔太がレシピ帳を指さす。
「これ、最近よく見るやつだよ!」
静江は目を細めながら、シンボルを指でなぞった。
「そうね……昔からあるものなのかしら」
「でも、なんでレシピにこんなマークが?」
「それはね……」
静江はゆっくりと思い出すように言葉を継いだ。
「昔、この街には“特別な食材”を売るお店があったのよ」
「特別な食材?」
「そう。そのお店の商品には、いつもこのマークが刻まれていたの」
「えっ、それってもしかして……?」
翔太は興奮して、窓の外を見た。
「もしかして、このシンボルって、そのお店の名残なんじゃ……?」
静江はふふっと笑って、レシピ帳を閉じた。
「まあ、まずは料理を作ってみましょう。それで何か分かるかもしれないわ」
第二部:昔ながらの食材を探して
「おこわの材料を注文しなくちゃね」
静江は注文パネルを開き、もち米、栗、干ししいたけ、醤油、みりんなどの食材を選び始めた。
翔太も興味津々で画面を覗き込む。
「でもさ、おばあちゃんが言ってた“特別な食材”って、今も売ってるのかな?」
「さあね……でも、一度探してみましょう」
静江は、検索バーに“特別な食材”と入力してみた。
すると――
『シンボル認証済み商品』
そんな謎めいた項目が表示された。
「えっ、これ……?」
静江と翔太は驚きながら、その項目をタップした。
そこには、昔の商店街で扱っていた伝統的な食材が並んでいた。
「これって……!」
静江は、懐かしさに目を見開いた。
「まさか、この食材が今も残っているなんて……!」
翔太もワクワクしながら言った。
「じゃあ、これを注文しよう!」
静江はそっと頷き、注文ボタンを押した。
第三部:届けられた箱の秘密
数分後――。
「お待たせしましたー!」
配達員のたかしが、いつものように元気よく箱を抱えてやってきた。
「今日の配達は特別ですね!」
「ええ、懐かしい食材を注文したのよ」
静江が微笑みながら箱を受け取ると、箱の端に、例のシンボルが刻まれていた。
「やっぱり……!」
翔太が驚きながら箱を覗き込む。
「このマーク、やっぱり昔の商店街と関係してるんだよ!」
たかしも興味深そうに頷く。
「最近、このマークについて調べてる人が増えてるみたいです」
「そうなの?」
「ええ、配達員の間でも、話題になってるんですよ。このマークが付いた商品は、昔の商店街の“特別なもの”に関係しているとか……」
静江はゆっくりと箱を開け、中の食材を手に取った。
「……なるほど。やっぱりこのマークは、ただの装飾じゃなかったのね」
翔太はワクワクした様子で言った。
「ねえ、おばあちゃん、これでおこわ作ろうよ!」
「もちろんよ」
静江は優しく微笑み、さっそく料理の準備に取り掛かった。
その夜――。
「いただきまーす!」
家族みんなで囲む食卓に、静江特製のおこわが並んだ。
「うわぁ、おいしい!」
翔太が頬張りながら目を輝かせる。
「これが昔の味かぁ……!」
健一や美佐子も、懐かしそうに微笑んだ。
「おばあちゃん、このマークって、やっぱり何か意味があるんだね」
翔太が箱のシンボルを指さしながら言った。
「ええ。でも、まだ全ては分かっていないわ」
静江は、少し遠くを見つめながら言った。
「きっと、この街にはまだ知られていない秘密がたくさんあるのね……」
注文パネルの隅では、相変わらず小さく光るシンボル。
しかし、それはまるで「何か大切なものを守り続けている」ようにも見えた――。




