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商店街のご近所さん  作者: クロクマせんぱい
12/20

第12話:おばあちゃんの懐かしレシピ

おばあちゃんの古いレシピ帳に、あのシンボルが!?

伝統の味「特製おこわ」を作るため、昔ながらの食材を探してみると……

なんと、注文パネルに「シンボル認証済み商品」の文字が!


「このマーク、やっぱりただの飾りじゃない!」

昔の商店街とつながる"特別な食材"とは?

さて、ますます気になってきたぞ!

空中商店街の朝は、どこか静かだった。

昨日の特売セールの騒ぎが収まり、住民たちもいつもの落ち着きを取り戻しつつあった。


「さて、今日は何を注文しようかしら……」


高橋家の静江しずえは、古びたレシピ帳を開きながら、二階の注文窓を見つめていた。


そこには、昔ながらの料理のレシピが丁寧に書かれている。


「最近の料理もいいけれど、やっぱり昔の味が恋しくなるわね」


「おばあちゃん、何作るの?」


孫の翔太しょうたが、興味津々で覗き込む。


「今日はね、高橋家に代々伝わる“特製おこわ”を作ろうと思ってるの」


静江は優しく微笑んだ。


しかし、その時、彼女の目にふとあるものが映った。


レシピの隅に、小さな“シンボル”の印が刻まれていた。



第一部:レシピに残るシンボル

「おばあちゃん、このマーク……」


翔太がレシピ帳を指さす。


「これ、最近よく見るやつだよ!」


静江は目を細めながら、シンボルを指でなぞった。


「そうね……昔からあるものなのかしら」


「でも、なんでレシピにこんなマークが?」


「それはね……」


静江はゆっくりと思い出すように言葉を継いだ。


「昔、この街には“特別な食材”を売るお店があったのよ」


「特別な食材?」


「そう。そのお店の商品には、いつもこのマークが刻まれていたの」


「えっ、それってもしかして……?」


翔太は興奮して、窓の外を見た。


「もしかして、このシンボルって、そのお店の名残なんじゃ……?」


静江はふふっと笑って、レシピ帳を閉じた。


「まあ、まずは料理を作ってみましょう。それで何か分かるかもしれないわ」



第二部:昔ながらの食材を探して

「おこわの材料を注文しなくちゃね」


静江は注文パネルを開き、もち米、栗、干ししいたけ、醤油、みりんなどの食材を選び始めた。


翔太も興味津々で画面を覗き込む。


「でもさ、おばあちゃんが言ってた“特別な食材”って、今も売ってるのかな?」


「さあね……でも、一度探してみましょう」


静江は、検索バーに“特別な食材”と入力してみた。


すると――


『シンボル認証済み商品』


そんな謎めいた項目が表示された。


「えっ、これ……?」


静江と翔太は驚きながら、その項目をタップした。


そこには、昔の商店街で扱っていた伝統的な食材が並んでいた。


「これって……!」


静江は、懐かしさに目を見開いた。


「まさか、この食材が今も残っているなんて……!」


翔太もワクワクしながら言った。


「じゃあ、これを注文しよう!」


静江はそっと頷き、注文ボタンを押した。



第三部:届けられた箱の秘密

数分後――。


「お待たせしましたー!」


配達員のたかしが、いつものように元気よく箱を抱えてやってきた。


「今日の配達は特別ですね!」


「ええ、懐かしい食材を注文したのよ」


静江が微笑みながら箱を受け取ると、箱の端に、例のシンボルが刻まれていた。


「やっぱり……!」


翔太が驚きながら箱を覗き込む。


「このマーク、やっぱり昔の商店街と関係してるんだよ!」


たかしも興味深そうに頷く。


「最近、このマークについて調べてる人が増えてるみたいです」


「そうなの?」


「ええ、配達員の間でも、話題になってるんですよ。このマークが付いた商品は、昔の商店街の“特別なもの”に関係しているとか……」


静江はゆっくりと箱を開け、中の食材を手に取った。


「……なるほど。やっぱりこのマークは、ただの装飾じゃなかったのね」


翔太はワクワクした様子で言った。


「ねえ、おばあちゃん、これでおこわ作ろうよ!」


「もちろんよ」


静江は優しく微笑み、さっそく料理の準備に取り掛かった。



その夜――。


「いただきまーす!」


家族みんなで囲む食卓に、静江特製のおこわが並んだ。


「うわぁ、おいしい!」


翔太が頬張りながら目を輝かせる。


「これが昔の味かぁ……!」


健一や美佐子も、懐かしそうに微笑んだ。


「おばあちゃん、このマークって、やっぱり何か意味があるんだね」


翔太が箱のシンボルを指さしながら言った。


「ええ。でも、まだ全ては分かっていないわ」


静江は、少し遠くを見つめながら言った。


「きっと、この街にはまだ知られていない秘密がたくさんあるのね……」


注文パネルの隅では、相変わらず小さく光るシンボル。


しかし、それはまるで「何か大切なものを守り続けている」ようにも見えた――。

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