13
僕は彼らについて行った。
少し興味があったからだ。
「よっしゃ、楽しむぞ!」
あの大男は元気よく叫んだ。
それはまるで、ゾンビを倒すのが楽しい、とでも言っているかのようだった。
僕は気にしなかった。
彼らはついていけば面白そうだと思ったからだ。
一人で生きていく必要がある。
もしも逃げようと思えば、逃げるつもりだ。
僕はとりあえず彼らについて行った。
さっきも言ったように。
夜が近づいてきた。
だんだんと周りが暗くなってきて、ゾンビが地面から現れ始めた。
「ゾンビ狩りの時間だ!」二人は1体1体ゾンビを倒していった。
僕もだ。だが、僕は違う考えを持っていた。
ゾンビのだしたちを、飲み込んだのだった。
「おい!」向こうからびっくりしたような叫び声が聞こえてきたが、僕は耳を貸さなかった。
僕はとにかく倒した。
すると、ある力が増していった。
体内が厚くなってきた。
まるで溶けそうだ。
気づけば、道のど真ん中にいた。
地面にはゾンビの死体がびっしりとあった。
いったい誰がやったのかはわからない。
二人のほうを見ると、彼らは固まっていた。
まるで僕のことを怖がっているかのようだ。
僕は自分の手を見た。
そこには黒いものがあった。
だが、だんだんと消えて行っている。
「え?」またもや出てきたのだ。
しかも、一瞬だけは壁が透き通って見えた。
空を見ると、新月だった。
彼らは駆け寄ってきた。
だが、もう二人とも怖がってはいなかった。
真逆だ。
めちゃくちゃ興味深そうに質問を押しかけてきた。
だが、僕は全く覚えていなかった。
「なるほどね…」僕が短文で説明すると、彼らは納得した。
どうしてかはさっぱりわからないのだが。
僕は起き上がると、周りにあるものをもう一度見た。
もう全く静かな場所ではなかった。
しかも、今度はゾンビの死骸が灰になっていたのだった。
まるで、もう戻ってこないというのを示しているかのようだった。
服を見ると、めちゃくちゃ緑色になっていた。
だが、緑になっただけで、全く匂わないし、ただ単に緑になっただけのように感じ取った。
僕はとりあえず、代わりの服がないのでそのまま着ておくことにした。
服は完全に真みどりだ。
僕はそのまま帰ることにした。
血は液体だ。
なのに、もうしみ込んだのか、全く液体を感じ取ることができなかった。
僕は気にせず、町の中を歩き回った。
そこらじゅうでゾンビの死体が灰になっていた。
僕はその状況がわからなかった。
いったいどうしてこうなったのかが。
普通なら地面の底に戻っていくはずだ。
そして、その時気づいた。
僕は今までで、死体がどうなるのかを見たことがなかったのだ。
「ゾンビは死ねば消える。それが普通だ」
僕はさっとノートブックを取り出し、軽くメモしておいた。
「もしも倒しまくれば、いつかは消えるかもしれない。」
僕の考えはそうだ。
「まあ、そうなのかもしれないが、そうなれば新しいのが出てくるだろうよ」
僕は彼のことを見た。「?」どういう意味かがさっぱり分からなかった。
彼は僕のほうを見ると、聞いてきた。「見たことはないのか、ポータルを」
僕は見たことがある、と、頷いた。
「あれから現れるんだよ、もっとな」僕は考え込んだ。
そうなら、本当にそうなら、平和な場所に住むことは、不可能ということだ。
何が起こったとしても。