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人生は最低だ。


僕はベッドに寝込んでいた。

やることもない。

なので、僕は起き上がり、前を見た。

僕の名前は名乗琉(なのる)(なし)だ。

身長は平均ほど、特に特異な特技もない。

夜は12時に寝て朝は8時に起きる毎日だ。

学校にも行っていない。

行く必要がない。

いかなくても怒る人がいないからだ。

親なんか知ったこっちゃない。

誰も僕の面倒は見ない。

見てもくれない。

僕は一人で生きると決めたのだ。

その心は変わらない。

たとえ何があったとしても。

僕は自分のために生きるのだ。

僕は自分で自分の心に鎖を刺したのだ。

ドーン‼


外から音が聞こえてくる。

だが、僕は外を見に行くことはしなかった。

いつものことだったからだ。ここら辺ではいろいろなことが起こっている。

どこかで車と車がぶ衝突したのだろう。

だが、今回はその音が大きすぎた。

しかも、そのあとからは悲鳴も聞こえてくる。

絶対に車の衝突ではないだろう。

外に出てみると、そこには確実にやばいものがあった。

空を見上げると、丸い渦があったのだ。

まるでゲームで見るポータルのようなものだ。

しかも、そこからは変な生き物が表れていたのだった。

その生き物は人間を拾い上げると、口の中に放り投げていた。

食べていたのだった。

俺は家の中に戻ると、靴を履き、外に出ると持っていた一番いい棒を拾い、駆け出して行った。

この棒はとがらせることができれば結構いいだろう。

しかも、必要な予感がしていたからだ。

「いったい何が…」だが、考えている暇などなかった。

僕は小道をとにかくポータルの反対方向へと走っていた。

ポケットに入れていたスマホを取り出すと、ニュースを見た。

だが、何もなかったのだ。電波がやられてしまったようだ。

「くそ!」僕は仕方なくそのまま走っていった。

もうこんなことになってしまっては法律などどうでもない。

自分の人生は自分で守るのだ。そう誓った。

山の中まで行こうかと考えたが、違う方向へ行くことにした。

林の中でもない。

町の中にとどまるのだった。

ここなら必要なものがそろっている。

生き残ることさえできればそのあとは楽だ。

もしも、生きることさえできればの話だが。

一つの家に入ると、そこはみすぼらしい場所だった。

家の中は赤く染まっていた。

どうやらここにもあの怪物(モンスター)が来たようだ。

鼻をつまみながら中を回ると、冷蔵庫があった。

だが、これから少しすると電機も通らなくなるだろう。

そのまま回っていると、遠くから何かの声が聞こえてきた。

声ではあるのだが、助けを呼ぶ声でもない。なく声でもない。

唸り声だった。

「!」僕は慌てて後ろに下がると、手に持っていた棒を振り落とした。

そこにいたなにかは低い唸り声をあげて、地面にばたりと倒れた。

どうやら人間も怪物(モンスター)になるようだ。

そして、僕はその時初めてのことをした。

だが、別に何とも思わなかったのだった。

怖いとも思わなかった。

この初めては初めから受け入れていたのかもしれない。

地面に倒れている女の人を見た。

まだ人生はあったのだろうに。

僕は人生で初めて、人を殺したのだった。

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